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悲しき想い出

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日記を開くと沢山書かれていた。10歳より前からずっと書いてたのね‥‥。真面目なのね、お母様は。なんだかプライベートの事を読むのって良くないけれど‥‥気になる!
パラパラとめくると小さな薔薇模様の付箋が挟んであった。

「‥‥この日記は‥‥」

日記の内容を見ると、当時婚約者となったヘルザ・シルベスタル国王の事を書いてあった。



◯月◯日

今日は初めてお会いするヘルザ王子と会った。とても優しい男の子だったわ。口下手な私なのに、彼は薔薇園を一緒に見てまわろうと手を繋ぎ歩いて。
これからこの子と一緒に手を取り合いながら素敵な国にしなきゃいけないし、ヘルザ王子を支えようと決めたわ!

◯月◯日

ヘルザ様とお忍びで教会の炊き出しを一緒に行った。私は勿論、ヘルザ様も驚いたわ。だって、みんな服は毎日同じ物でお風呂は週に一回だけ‥‥。

私達は何ができるのかしら‥‥今の私達ではダメ。沢山勉強をして良き王と王妃になろうと、ヘルザ様と約束した。お勉強ももっと詰め込んで頑張らないといけないわ。


◯月◯日

王妃教育は厳しいと言われて覚悟はしたけれど、本当に厳しい‥‥ちょっと辛いわ。でもヘルザ様やみんなの為だし、未来の王妃たるものこのぐらいで泣いてはダメだとわかっても、音楽教室で一人で泣いていたら、いつぞやのクロワッサン好きの男の子に見られてしまった。その後ヘルザ様と少し会って、ホッとした。そうね、泣くのは我慢してもっと頑張りましょう!

◯月◯日

中等学園へ通ってから、ますますヘルザ様は忙しくなりなかやか会えないけれど、毎日のように手紙が送られてくるからとても嬉しい。私の好きな薔薇を送ってくれて‥‥‥。来週はヘルザ様の誕生日パーティーだわ。久しぶりに会ってゆっくり話したい。それとヘルザ様の瞳色に近いドレスにしたけれど、ヘルザ様は似合うと言ってくれるかしら?楽しみだわ。




…日記には沢山、ヘルザ国王陛下の事が書かれていた。彼の好きなもの、嫌いなもの、苦手なもの。自分はどう彼を支えようとするべきか、もっと完璧にならなければならないと……。

◯月◯日

高等学園へ通ってから、何かがおかしいと気づいたけれど既に遅かったみたい。

彼は……ヘルザ様の気持ちは私に向いてなどいなかった。

私はそれでも貴方をお慕いしているけれど……冷たい視線に耐えられない。

泣きたくても泣けない。

もう私の隣で笑ってはくれないのかしら……。




「……お母様…っ」



日記の内容はお母様がヘルザ国王陛下を想っていた気持ちが沢山書かれていた。

そんな日記を見て私は涙が沢山でてしまった。

悪役令嬢にされてしまったお母様。

それでも最後までヘルザ国王陛下を信じようとしていたんだわ。
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