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悪役令嬢の実家

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「ねぇ、アクア。ちょっといいかしら?」

教室で静かに本を読んでいるアクアに私は声をかけた。どうも最近…アクアはよそよそしいのよね。
お茶会など誘っても

《王子としての仕事があって》

ベル達と干し芋を食べに行こうと声をかけても

《今から、用事があって》

と、何かと断っている。もう一人の王子様なんて、呑気に遊んでるのに仕事って……。

アクアはニッコリと私を微笑んで挨拶をしてくれるけど、何故か…壁を感じてしまうわ。

「それで用事って何?」

「…あの、今日は午前授業だけで、お昼は私の母の実家であるロベリア家にお邪魔することになったんだけど、アクアも一緒にどうかしら」


アクアは申し訳なさそうに、丁寧に断った。

「ごめん、この本を読んで課題を済ませておきたいんだ」

「……そう。わかったわ」

「最近、いそがしーな!ま、ジュリアの事は俺らに任せろ!じゃあな!」

「……うん、ベル、サーシス、レイトまたね」

自分達を、いや、ジュリアを妙に避けている事に気づいたサーシスとレイトだけはお互い顔を見合わせた。

「ジュリア嬢、ベル、俺とレイトは後で行く」

「おーわかった!」

ジュリアとベルを先に行かせた二人は、アクアに向かって話す。

「…アクア、一体どうされたのです?らしくありませんが」

「……レイト…そうだね」

「そうだよ!俺達に何を隠してるんだ」

「隠しはしてない。…今は何も言えないんだよね」

そうアクアが話すと、何かを察したレイトはアクアに問いかける。

「…もしかして、あのジュリア様の母君であるリリアーナ様の件ですか?何かわかったことが?」

「…レイト、君って本当に察しが良いね」

そう二人を褒めているアクアにハァと溜息を出すサーシスはアクアに話した。

「まったく、君だけじゃないんだ。この件で悩んでるのは。俺達は親が何をしたのか今調べてるけど、どうやらアクア、先に君がその顔知ったみたいだな…今は聞かないし、俺は自分の目と耳で確認したいしな」

「そうですね。私もそう思います…とりあえず私達はもう行きますね」

「サーシス、レイト、まだ何も言えないけれど…今日サーシスの家に行くんだよね?……多分リリアーナ様の部屋もあるはずなんだ。何かあったら教えて欲しい。自分は言えず、君達には教えて欲しいとかは虫が良すぎるのはわかってる」

そうアクアは二人にお願いをして、二人はコクンと頷いた。





沢山の可愛らしい花に囲まれている屋敷…ここがお母様の実家であるロベリア家!!

「いつきても、サーシスの家は花だらけだな!」

「うるさいなーベル走り回るなよ。犬か!」

「サーシス、彼は犬なんですよ」

そう走り回るベルに、サーシスとレイトは呆れており、サーシスは私に声をかけた。

「……正直、君を連れてきていいかわからないんだよな。でも、来たがってたから。多分リリアーナ様の部屋はそのままだと思う。親には入るなと言われてるけど。それと…南の屋敷は行かないで」

「わかったわ。ありがとう。私もなかなかお父様にお願いが出来ないし、一度は来てみたかったから」

悪役令嬢と呼ばれていたお母様の実家、ロベリア家!!!お母様が育った家だわ!



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