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最悪。
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「ごめん」
高校生のころ、同級生に告白された。それなりに仲も良かったし、別に嫌いというわけでも、裏で悪口を言われたり、言っていたりしたわけでもない。それでも断ることしかできなかった。その時の俺には、まだ高校生の時の俺には、同性からの恋への答え方がわからなかった。
どうすればいいかわからなかったけど、でも誰かに相談もすることもできずにただ心の中に重く澱を残した。その重みと、その時のあいつの諦めと絶望がないまぜになった表情が働き始めた今でも忘れることが出来ない。
「久しぶり~」
久しぶりに会う高校の同窓たちはみなどこか高校の頃の面影を残したまま年をとっている。時折イメチェンが激しすぎてわからない人や、数年ぶりどころか卒業以来会っていない友人もいたが、話せばすぐにわかった。青春の一ページを飾った友人たち。仲が悪いままだったやつも、喧嘩したままの友達も、この年齢になってしまえば、全て過去の懐かしい思い出でしかない。お互いに握手なんかしてみたりなんかして、楽しく過ごしていた。
その中にあいつはいた。俺が未だに高校の暗い思い出として残してしまったあいつと。あそこがきっと分岐点だった。あいつに告白された時に適当に茶化したりしていればきっと一人の友人を失ってしまっただろう。でもきっと俺はそのままでいれた。女を好きで、女に欲情する、ありふれた性愛を持った人間として。でもそうはならなかったのだ、残念ながら。
あの日、あの後、ずっと残ったこの感情を何というのかは知らない。でも真面目にこの感情に向き合った。あいつをせめて理解してやらないと何かがダメな気がして調べたりするようになった。そして、ドツボにはまった。いつしかあいつの顔だけが浮かぶようになった。大学で誰かに告白されたりしてもあいつの顔がチラついて断った。それでも付き合うようになった女もいたが、ダメだった。常にまとわりつくあいつの顔がどうしたって俺の心を締め付けて離そうともしない。俺が離さないのか、あいつが離してくれないのかは考えないようにしていた。
「久しぶり」
「おう、久しぶり」
何の問題もなかったはずだ。表面上は久しぶりに会った旧友にあっただけのはずだ。そしてそいつの中指にはシンプルなデザインの指輪がはまっていた。
「け、結婚したんだ」
「ああ、うん。会社の人とね。半分押し切られた感じだけど、なんだかんだ楽しいよ。子供も可愛いしね」
子供もいるらしい、結婚しているだけでも今吐きそうなのを我慢したというのに。あの時の顔なんて残り香すら感じさせない笑顔であいつは喋る。正直そこからあいつと何を話したのか覚えていない。でも、なんでこいつは俺を忘れて幸せそうなんだと、強く強く、思ってしまったことだけは覚えている。
「二次会行く人~」
いつしか宴もたけなわ、二次会に行く時間になっていた。家族がいるから、仕事があるからと帰る人も多かったが、それでもそれなりの数が二次会に参加することになっていた。問題はその中にあいつもいたことだった。他の誰が参加していようが関係ない。俺に関係あったのはあいつが参加している、していないのか、ただそれだけだったんだから。
「行こうかな。行くだろ?」
あいつは屈託のない笑顔でそんなことを言ってくる。俺が今どういう気持ちなのかも知らないで、一緒に行ったら自分が何をするのか予想がついてしまう。どうあっても俺はコイツを抱く。どれだけ拒否しても絶対に俺のモノにする。あいつのおかげで男を抱くのだけは上手くなった。大学でも社会に出てからも、男としかできなくなった。それすらもあいつの面影を追っていただけだ。
「んあ?」
ベッドの下で組み敷かれているアイツは少し正気に戻ったらしかった。同級生とベッドの上で組みつ解れつを正気と言えるかはさておき。散々鳴いているうちにアルコールが抜けてきたようだった。とはいえ、既に穴も乳首も触るだけで声が出る程度には開発できてしまっている。
「おはよ。元気?」
「あ、え、今何時?」
「時間?んと、三時ぐらいかな」
「頭痛いし、なんか寒い・・・」
「・・・だろうな」
酒精に浸された脳細胞では現状を理解するのに少し時間がかかる。ここがどこか、誰といるのかもよくわかっていない顔をしている。こんな無防備だと押し切られて結婚というのも既成事実を作られたのではないだろうか。そう、ちょうど、今の俺のように。
「「・・・」」
「ここ、どこ」
「ん?ホテル」
「なんで俺は服を着てないんだ?」
「自分の体に聞いた方がいいんじゃない?」
今に至るまでに、散々使い倒した。何度鳴かせたのか、何度絶頂させたのか、五回を数えたあたりから数えるのを止めた。時間で考えると十回は超えていそうな勢いだ。ビンビンにいきり立った乳首は既にどう言い訳をすればいいのかわからないほど大きく膨らんでいる。最早人前で服を脱ぐのは難しいだろう。
「お前、納得のいく説明できるんだろうな」
「いいよ、いくらでもしてやるよ。ベッドの上で、だけど」
「は?おま」
これ以上の問答に意味は無い。ベッドの上で起こったことはベッドの上で説明するほうがいいだろう。それに、理解できていないという間抜けな顔を眺めていたらまた催してきた。
「んーーーっ」
呼吸すらさせない熱いキスは俺なりのコイツへの返事だ。あの時の、俺が答えられなかったあの日の答えだ。もう互いに交わることのないと思っていた、居住地から何もかもが違ってしまった俺たちの視線がまた交わる、今回はお互いに融けて混ざってしまいそうな距離で。
頬に当たるどかそうとする手はキスの時間が伸びるにつれて弱くなる。代わりにその手は首にそして肩から背中へ恋人がするように抱きしめ方に変わっていく。舌が自然と入っていた。今回の酒の入らない本物のキスはどう言い繕うことも出来ない。俺も、あいつも、酒を言い訳にできる段階を超えた。
「ぷはっ」
「お前・・・」
「自分で舌入れた癖に今さら何を言い繕うんだ?」
「・・・ぅ。ていうか体なんか変だし、お前俺が酔ってるうちに何したんだ」
「だ、か、ら、自分の体に聞きなって、ば」
ピンと弾いた乳首は男のだと言っても信じられないほど立派に育っている。不意を衝いて弾いたこともあって、体が思わず前に折れる。敏感になりすぎると暫くはシャツすら我慢できなくなる。少し下から涙目で睨んでくるアイツはもう、どうあっても、俺から離れられない。
「もう一回、するか」
「は?」
「さっきまでのこと覚えてないんでしょ?ちゃんと意識あるうちにしてあげるから」
「ふざけ、んぅ」
手を伸ばした穴は既にさっき俺が出したのが潤滑油になっていつでも入れられそうだ。指がするりと飲み込まれる。どれだけ否定しようとしたってさっきまでの快楽を体が忘れるはずがない。
体は正直だ、なんて言うが俺に言わせれば正直なのは体だけだ。口で四の五の言っても体は、コイツの乳首も穴も数十分前までのことを忘れるわけじゃない。首輪が付いたも同然だ。
「ほいっと」
さっきまでで膝が笑っているコイツにもう押されて堪えるだけの体力は残っていない。無様に、またさっきみたいに、ベッドに伏した。立つこともままならないアイツとは対照的に穴はまだ足りないと言うように、誘っているかのように、ひくつく。
「なぁ」
「あん?」
「お前さ、乳首もケツの穴も自分で弄ってただろ」
「は、は?」
「隠すなって。どっちも数時間やそこらで感じられるわけじゃない。自分で開発したのか、それとも奥さんが案外そういう趣味か?」
「・・・うるせぇよ」
答える気はないらしい、別に答えが返ってくるとは思っていたわけじゃない。いつか、口を滑らせることもあるだろう。それよりも、今はコイツとスる方が重要だ。
「まぁいいや。ほら見て見て」
「おっ前、は本当にっ」
そのままの勢いでそのまままた挿入する。ぽっかりと開いた穴はそのまま中に受け入れてもう馴染んだかのように、抱きしめるようにキュッと締める。
さっきこいつの正気が戻る前に撮ったコイツとの録画はいつの間にか一時間近くになっていた。今の悪態顔が嘘のような蕩けた顔も、甘えて媚びた声も、全てが扇情的で劣情的で色情的だ。
「最高だろ?」
「俺は最悪だよ」
高校生のころ、同級生に告白された。それなりに仲も良かったし、別に嫌いというわけでも、裏で悪口を言われたり、言っていたりしたわけでもない。それでも断ることしかできなかった。その時の俺には、まだ高校生の時の俺には、同性からの恋への答え方がわからなかった。
どうすればいいかわからなかったけど、でも誰かに相談もすることもできずにただ心の中に重く澱を残した。その重みと、その時のあいつの諦めと絶望がないまぜになった表情が働き始めた今でも忘れることが出来ない。
「久しぶり~」
久しぶりに会う高校の同窓たちはみなどこか高校の頃の面影を残したまま年をとっている。時折イメチェンが激しすぎてわからない人や、数年ぶりどころか卒業以来会っていない友人もいたが、話せばすぐにわかった。青春の一ページを飾った友人たち。仲が悪いままだったやつも、喧嘩したままの友達も、この年齢になってしまえば、全て過去の懐かしい思い出でしかない。お互いに握手なんかしてみたりなんかして、楽しく過ごしていた。
その中にあいつはいた。俺が未だに高校の暗い思い出として残してしまったあいつと。あそこがきっと分岐点だった。あいつに告白された時に適当に茶化したりしていればきっと一人の友人を失ってしまっただろう。でもきっと俺はそのままでいれた。女を好きで、女に欲情する、ありふれた性愛を持った人間として。でもそうはならなかったのだ、残念ながら。
あの日、あの後、ずっと残ったこの感情を何というのかは知らない。でも真面目にこの感情に向き合った。あいつをせめて理解してやらないと何かがダメな気がして調べたりするようになった。そして、ドツボにはまった。いつしかあいつの顔だけが浮かぶようになった。大学で誰かに告白されたりしてもあいつの顔がチラついて断った。それでも付き合うようになった女もいたが、ダメだった。常にまとわりつくあいつの顔がどうしたって俺の心を締め付けて離そうともしない。俺が離さないのか、あいつが離してくれないのかは考えないようにしていた。
「久しぶり」
「おう、久しぶり」
何の問題もなかったはずだ。表面上は久しぶりに会った旧友にあっただけのはずだ。そしてそいつの中指にはシンプルなデザインの指輪がはまっていた。
「け、結婚したんだ」
「ああ、うん。会社の人とね。半分押し切られた感じだけど、なんだかんだ楽しいよ。子供も可愛いしね」
子供もいるらしい、結婚しているだけでも今吐きそうなのを我慢したというのに。あの時の顔なんて残り香すら感じさせない笑顔であいつは喋る。正直そこからあいつと何を話したのか覚えていない。でも、なんでこいつは俺を忘れて幸せそうなんだと、強く強く、思ってしまったことだけは覚えている。
「二次会行く人~」
いつしか宴もたけなわ、二次会に行く時間になっていた。家族がいるから、仕事があるからと帰る人も多かったが、それでもそれなりの数が二次会に参加することになっていた。問題はその中にあいつもいたことだった。他の誰が参加していようが関係ない。俺に関係あったのはあいつが参加している、していないのか、ただそれだけだったんだから。
「行こうかな。行くだろ?」
あいつは屈託のない笑顔でそんなことを言ってくる。俺が今どういう気持ちなのかも知らないで、一緒に行ったら自分が何をするのか予想がついてしまう。どうあっても俺はコイツを抱く。どれだけ拒否しても絶対に俺のモノにする。あいつのおかげで男を抱くのだけは上手くなった。大学でも社会に出てからも、男としかできなくなった。それすらもあいつの面影を追っていただけだ。
「んあ?」
ベッドの下で組み敷かれているアイツは少し正気に戻ったらしかった。同級生とベッドの上で組みつ解れつを正気と言えるかはさておき。散々鳴いているうちにアルコールが抜けてきたようだった。とはいえ、既に穴も乳首も触るだけで声が出る程度には開発できてしまっている。
「おはよ。元気?」
「あ、え、今何時?」
「時間?んと、三時ぐらいかな」
「頭痛いし、なんか寒い・・・」
「・・・だろうな」
酒精に浸された脳細胞では現状を理解するのに少し時間がかかる。ここがどこか、誰といるのかもよくわかっていない顔をしている。こんな無防備だと押し切られて結婚というのも既成事実を作られたのではないだろうか。そう、ちょうど、今の俺のように。
「「・・・」」
「ここ、どこ」
「ん?ホテル」
「なんで俺は服を着てないんだ?」
「自分の体に聞いた方がいいんじゃない?」
今に至るまでに、散々使い倒した。何度鳴かせたのか、何度絶頂させたのか、五回を数えたあたりから数えるのを止めた。時間で考えると十回は超えていそうな勢いだ。ビンビンにいきり立った乳首は既にどう言い訳をすればいいのかわからないほど大きく膨らんでいる。最早人前で服を脱ぐのは難しいだろう。
「お前、納得のいく説明できるんだろうな」
「いいよ、いくらでもしてやるよ。ベッドの上で、だけど」
「は?おま」
これ以上の問答に意味は無い。ベッドの上で起こったことはベッドの上で説明するほうがいいだろう。それに、理解できていないという間抜けな顔を眺めていたらまた催してきた。
「んーーーっ」
呼吸すらさせない熱いキスは俺なりのコイツへの返事だ。あの時の、俺が答えられなかったあの日の答えだ。もう互いに交わることのないと思っていた、居住地から何もかもが違ってしまった俺たちの視線がまた交わる、今回はお互いに融けて混ざってしまいそうな距離で。
頬に当たるどかそうとする手はキスの時間が伸びるにつれて弱くなる。代わりにその手は首にそして肩から背中へ恋人がするように抱きしめ方に変わっていく。舌が自然と入っていた。今回の酒の入らない本物のキスはどう言い繕うことも出来ない。俺も、あいつも、酒を言い訳にできる段階を超えた。
「ぷはっ」
「お前・・・」
「自分で舌入れた癖に今さら何を言い繕うんだ?」
「・・・ぅ。ていうか体なんか変だし、お前俺が酔ってるうちに何したんだ」
「だ、か、ら、自分の体に聞きなって、ば」
ピンと弾いた乳首は男のだと言っても信じられないほど立派に育っている。不意を衝いて弾いたこともあって、体が思わず前に折れる。敏感になりすぎると暫くはシャツすら我慢できなくなる。少し下から涙目で睨んでくるアイツはもう、どうあっても、俺から離れられない。
「もう一回、するか」
「は?」
「さっきまでのこと覚えてないんでしょ?ちゃんと意識あるうちにしてあげるから」
「ふざけ、んぅ」
手を伸ばした穴は既にさっき俺が出したのが潤滑油になっていつでも入れられそうだ。指がするりと飲み込まれる。どれだけ否定しようとしたってさっきまでの快楽を体が忘れるはずがない。
体は正直だ、なんて言うが俺に言わせれば正直なのは体だけだ。口で四の五の言っても体は、コイツの乳首も穴も数十分前までのことを忘れるわけじゃない。首輪が付いたも同然だ。
「ほいっと」
さっきまでで膝が笑っているコイツにもう押されて堪えるだけの体力は残っていない。無様に、またさっきみたいに、ベッドに伏した。立つこともままならないアイツとは対照的に穴はまだ足りないと言うように、誘っているかのように、ひくつく。
「なぁ」
「あん?」
「お前さ、乳首もケツの穴も自分で弄ってただろ」
「は、は?」
「隠すなって。どっちも数時間やそこらで感じられるわけじゃない。自分で開発したのか、それとも奥さんが案外そういう趣味か?」
「・・・うるせぇよ」
答える気はないらしい、別に答えが返ってくるとは思っていたわけじゃない。いつか、口を滑らせることもあるだろう。それよりも、今はコイツとスる方が重要だ。
「まぁいいや。ほら見て見て」
「おっ前、は本当にっ」
そのままの勢いでそのまままた挿入する。ぽっかりと開いた穴はそのまま中に受け入れてもう馴染んだかのように、抱きしめるようにキュッと締める。
さっきこいつの正気が戻る前に撮ったコイツとの録画はいつの間にか一時間近くになっていた。今の悪態顔が嘘のような蕩けた顔も、甘えて媚びた声も、全てが扇情的で劣情的で色情的だ。
「最高だろ?」
「俺は最悪だよ」
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