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【終】■すきだらけのなのは当たり前■
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■すきだらけのなのは当たり前■
「水野って、本当に隙だらけだな?」
先輩の言葉に、「は?」と思いながら顔を見上げたら確かに。その言葉を、今は甘んじて受けましょう。なぜか? 顔の良い先輩の、手の平以外に見ることのない素肌が見えたから。一瞬で俺は、キャパオーバー。
「うわあああああ!?」
刺激が強い! 強すぎる! おまけに何か、不思議と良い匂いがする!
俺の煩い悲鳴を聞いたところで、先輩はどこ吹く風。気にしないどころか、今こそ攻め時とでもいうように、言葉を続けた。
「水野。俺はずっと恋なんて知らなかったし、特別誰かに固執したりしなかった。告白されるたびに、好きですって何だろう? って」
先輩の瞳に映る俺の顔は、どう見ても焦っていた。それに色は分からないにしても、きっと真っ赤なんだろう。囁かれた耳が熱いし、何も無いのに乾いたように唾を飲み込んでばかりだ。
「そうですか、分かりました。ちゃんと話を聞くので、あのっ、体勢をですね……っ」
グググッ、と押し返そうとしてみたが無意味。またギシッ、とソファーを軋ませて、先輩が俺の耳元で囁いた。
「水野、好きだ」
「先輩っ、ちょっ……! 本当にやめっ……!」
「嫌だ」
「我儘!」
ふっ、と小さく笑った後。「知っているだろう?」と聞こえた。
「水野に言われた時は、分からなかっただけじゃなくて、本当は少し怖かったんだ。もし恋人になったら? 一線を越えたら? って思うと、嬉しいと思うのと駄目になった時に元に戻れない気がして怖かったんだ」
「そ……んなこと……」
今さらだ。俺は、「あの時」先輩の好きが欲しかった。特別になりたかったのに。
「今さらだって思うよな? 勝手だって思うよな? 俺もそう思う。だけどさ。やっぱり好きだから。水野に再会したら、もう今度こそ好きだって言うって決めたんだよ、俺」
「…………」
ドッドッドッドッ。
心臓は煩いし、先輩の耳元の囁きで、熱でもあるんじゃないかと思うくらい身体も熱い。理由は、至近距離だからじゃない。先輩の言葉を聞いたから。嬉しいと思っている俺がいるから。それからやっぱり…………俺も先輩が好きだから。
「水野、もう一度言うぞ」
先輩がようやく少し離れてくれた。といっても、俺たちは変わらずソファーの上で向かいあったまま。俺の心臓の音が、外に漏れてるんじゃないかと思うくらい、心臓が煩いまま。
「水野、好きだ」
「…………~~~~っ! おっ……俺も……好きです……」
最後の言葉は段々と小さくなってしまったけれど、この距離だ。問題なく聞こえただろう。俺の中にいた、高校生の俺がまたチラリと顔を出す。幻覚のように、俺の頭の中に出て来ては、「やったじゃん! 俺!」とエールを送っていた。
■すきだらけのなのは当たり前■
(だって、俺も先輩もどっちも両想いなんだから)
好きだらけにもなるわけで。
愛でたく恋人同士か? と考える俺に、もう一度先輩が言った。
「あー……そのっ、何だ。今後のことを話すとだな……笑うなよ? 俺……そういう経験無いからな……?」
「大丈夫です。俺も無いですし。まぁ、二人して魔法使いにギリならなくて良かったですね?」
「魔法使い?」
「こっちの話しです」
クスクスと笑いながら、俺達の時間は過ぎて行った。
■俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?■
*********
これで一応こちらは完結です!
見切り発車で始めましたが、放棄せずちゃんと終わらせられて良かったです
拍手ありがとうございました。気づいた際、嬉しかったです
感想頂けると嬉しいです(強欲)
次回作などは特に今のところ考えていません><
オリジナルはやっぱり難しいですね。チマチマ別の年齢制限を単発でたまに更新していくかなぁという感じです。
「水野って、本当に隙だらけだな?」
先輩の言葉に、「は?」と思いながら顔を見上げたら確かに。その言葉を、今は甘んじて受けましょう。なぜか? 顔の良い先輩の、手の平以外に見ることのない素肌が見えたから。一瞬で俺は、キャパオーバー。
「うわあああああ!?」
刺激が強い! 強すぎる! おまけに何か、不思議と良い匂いがする!
俺の煩い悲鳴を聞いたところで、先輩はどこ吹く風。気にしないどころか、今こそ攻め時とでもいうように、言葉を続けた。
「水野。俺はずっと恋なんて知らなかったし、特別誰かに固執したりしなかった。告白されるたびに、好きですって何だろう? って」
先輩の瞳に映る俺の顔は、どう見ても焦っていた。それに色は分からないにしても、きっと真っ赤なんだろう。囁かれた耳が熱いし、何も無いのに乾いたように唾を飲み込んでばかりだ。
「そうですか、分かりました。ちゃんと話を聞くので、あのっ、体勢をですね……っ」
グググッ、と押し返そうとしてみたが無意味。またギシッ、とソファーを軋ませて、先輩が俺の耳元で囁いた。
「水野、好きだ」
「先輩っ、ちょっ……! 本当にやめっ……!」
「嫌だ」
「我儘!」
ふっ、と小さく笑った後。「知っているだろう?」と聞こえた。
「水野に言われた時は、分からなかっただけじゃなくて、本当は少し怖かったんだ。もし恋人になったら? 一線を越えたら? って思うと、嬉しいと思うのと駄目になった時に元に戻れない気がして怖かったんだ」
「そ……んなこと……」
今さらだ。俺は、「あの時」先輩の好きが欲しかった。特別になりたかったのに。
「今さらだって思うよな? 勝手だって思うよな? 俺もそう思う。だけどさ。やっぱり好きだから。水野に再会したら、もう今度こそ好きだって言うって決めたんだよ、俺」
「…………」
ドッドッドッドッ。
心臓は煩いし、先輩の耳元の囁きで、熱でもあるんじゃないかと思うくらい身体も熱い。理由は、至近距離だからじゃない。先輩の言葉を聞いたから。嬉しいと思っている俺がいるから。それからやっぱり…………俺も先輩が好きだから。
「水野、もう一度言うぞ」
先輩がようやく少し離れてくれた。といっても、俺たちは変わらずソファーの上で向かいあったまま。俺の心臓の音が、外に漏れてるんじゃないかと思うくらい、心臓が煩いまま。
「水野、好きだ」
「…………~~~~っ! おっ……俺も……好きです……」
最後の言葉は段々と小さくなってしまったけれど、この距離だ。問題なく聞こえただろう。俺の中にいた、高校生の俺がまたチラリと顔を出す。幻覚のように、俺の頭の中に出て来ては、「やったじゃん! 俺!」とエールを送っていた。
■すきだらけのなのは当たり前■
(だって、俺も先輩もどっちも両想いなんだから)
好きだらけにもなるわけで。
愛でたく恋人同士か? と考える俺に、もう一度先輩が言った。
「あー……そのっ、何だ。今後のことを話すとだな……笑うなよ? 俺……そういう経験無いからな……?」
「大丈夫です。俺も無いですし。まぁ、二人して魔法使いにギリならなくて良かったですね?」
「魔法使い?」
「こっちの話しです」
クスクスと笑いながら、俺達の時間は過ぎて行った。
■俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?■
*********
これで一応こちらは完結です!
見切り発車で始めましたが、放棄せずちゃんと終わらせられて良かったです
拍手ありがとうございました。気づいた際、嬉しかったです
感想頂けると嬉しいです(強欲)
次回作などは特に今のところ考えていません><
オリジナルはやっぱり難しいですね。チマチマ別の年齢制限を単発でたまに更新していくかなぁという感じです。
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初めまして!(^-^)
お読み下さり、またコメント下さり有難うございます!
とっても嬉しいです
現代の話も初めてで見きり発車で不安でしたが、本当にそういって頂けて嬉しいです!
何か浮かべば……!
たぶんしれっと指輪あたりプレゼントしてますよ←
完結おめでとうございます!
面白かったです
わ~~!コメント有難うございます!
また、おめでとうと面白かったまで!とっても嬉しいです!(∩´∀`)∩