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■どうやら掴むつもりらしい②
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■どうやら掴むつもりらしい②
「水野」
「おはようございます、加藤主任」
今日も社会人として、お仕事宜しく! と出社した俺であるが、加藤先輩も出社。その手には、いつもの仕事用のバッグとは別に握られているバッグが一つ。それからどこか、顔の表情も明るい。その手にしていたバッグを軽く持ち上げて言った。
「俺も今日、昼自炊してきた」
(は????)
これが今日の朝の出来事。
だからどこか自慢げなのかと思えば、先輩が可愛く見えた。しかし、まさか本当に自炊してくるとは……。良い意味で素直だと思う。
「水野、今日の昼食は絶対一緒に食べるぞ」
「加藤主任、まだ来たばかりじゃないですか、それにまだ朝ですよ」
そう言って笑えば、普段と違う様子の加藤先輩に女性陣が集まった。先輩は、今でもイケメンだと大人気。その目に、あわよくば加藤先輩とお近づきに……! という意志を感じる。
「加藤主任。今日お弁当なんですか?」
「主任、自炊も出来るんですね」
キャッキャと黄色く高い声に、また気配を消して静かにする俺。(こういうのは、関わらないのが一番だ。台風が通り過ぎるのを待つ気持ちで静かにいよう)
スンッ……としていたのに、先輩ときたら俺の気持ちなど知らぬとばかりに台風の暴風域へ入れようとしてきた。
「ああ、水野にカップ麺ばかりは不健康だと注意されたからな」
ちょっと、加藤先輩!? と声に出しそうになった。ただ黙って、ギョットした顔で先輩を見れば、「どうした?」という表情の先輩。俺からしたら、どうしたじゃない。
「え!? 加藤主任、そういうのも食べるんですか」
「水野君に注意される主任も、可愛いですね」
意外! と声を揃える女性陣は、どうやら俺のことは特に気にしていないらしい。良かったと思いつつ、話が早く終わらないかなぁと思う。そんな中、一歩踏み込んだ勇者が一人。
「良かったら、私も加藤主任の手作り食べてみたいです」
つよっ!! と内心思ったのと同時に、先輩はどうするんだろう? という僅かな不安。
(先輩、初日から俺と……とか言ってたけどな)
俺自身は距離を置こうとしているくせに、こういう時に限って嫉妬する俺は都合が良いと思う。それでも、やっぱり気になってしまうわけで。
(どうするんだろうな、先輩。やっぱり女性の方が……)
チラリと女性陣に囲まれた先輩を見れば、相手の言葉の裏にある希望だとか、そんなの全く気にしていない様子だった。(寧ろ気づいていない可能性すらある)
「悪い。申し出は嬉しいが、俺は水野に食べて欲しいから」
「そっ……そうなんですね~!」
やんわりと断るとこなく、ストレートに一刀両断。
(うわぁあああああ……!)
俺がダメージを受けたわけじゃないが、言われた女性の気持ちを思えば、ドンマイと駆け寄りたくなった。それと同時に、俺だけという特別感に嬉しくなりながら。
「すみません、主任。そういえば、今日の予定なんですが……」
仕事の開始を知らせながら、人だかりの解消を試みたのだった。
■どうやら掴むつもりらしい②
*******
②といいつつ、これで終わるか、③にいくかというところ…!
お気に入り少し増えて嬉しいです(^^)
別の「くっコロ~」も最近更新したので、見て頂けると嬉しいです
「水野」
「おはようございます、加藤主任」
今日も社会人として、お仕事宜しく! と出社した俺であるが、加藤先輩も出社。その手には、いつもの仕事用のバッグとは別に握られているバッグが一つ。それからどこか、顔の表情も明るい。その手にしていたバッグを軽く持ち上げて言った。
「俺も今日、昼自炊してきた」
(は????)
これが今日の朝の出来事。
だからどこか自慢げなのかと思えば、先輩が可愛く見えた。しかし、まさか本当に自炊してくるとは……。良い意味で素直だと思う。
「水野、今日の昼食は絶対一緒に食べるぞ」
「加藤主任、まだ来たばかりじゃないですか、それにまだ朝ですよ」
そう言って笑えば、普段と違う様子の加藤先輩に女性陣が集まった。先輩は、今でもイケメンだと大人気。その目に、あわよくば加藤先輩とお近づきに……! という意志を感じる。
「加藤主任。今日お弁当なんですか?」
「主任、自炊も出来るんですね」
キャッキャと黄色く高い声に、また気配を消して静かにする俺。(こういうのは、関わらないのが一番だ。台風が通り過ぎるのを待つ気持ちで静かにいよう)
スンッ……としていたのに、先輩ときたら俺の気持ちなど知らぬとばかりに台風の暴風域へ入れようとしてきた。
「ああ、水野にカップ麺ばかりは不健康だと注意されたからな」
ちょっと、加藤先輩!? と声に出しそうになった。ただ黙って、ギョットした顔で先輩を見れば、「どうした?」という表情の先輩。俺からしたら、どうしたじゃない。
「え!? 加藤主任、そういうのも食べるんですか」
「水野君に注意される主任も、可愛いですね」
意外! と声を揃える女性陣は、どうやら俺のことは特に気にしていないらしい。良かったと思いつつ、話が早く終わらないかなぁと思う。そんな中、一歩踏み込んだ勇者が一人。
「良かったら、私も加藤主任の手作り食べてみたいです」
つよっ!! と内心思ったのと同時に、先輩はどうするんだろう? という僅かな不安。
(先輩、初日から俺と……とか言ってたけどな)
俺自身は距離を置こうとしているくせに、こういう時に限って嫉妬する俺は都合が良いと思う。それでも、やっぱり気になってしまうわけで。
(どうするんだろうな、先輩。やっぱり女性の方が……)
チラリと女性陣に囲まれた先輩を見れば、相手の言葉の裏にある希望だとか、そんなの全く気にしていない様子だった。(寧ろ気づいていない可能性すらある)
「悪い。申し出は嬉しいが、俺は水野に食べて欲しいから」
「そっ……そうなんですね~!」
やんわりと断るとこなく、ストレートに一刀両断。
(うわぁあああああ……!)
俺がダメージを受けたわけじゃないが、言われた女性の気持ちを思えば、ドンマイと駆け寄りたくなった。それと同時に、俺だけという特別感に嬉しくなりながら。
「すみません、主任。そういえば、今日の予定なんですが……」
仕事の開始を知らせながら、人だかりの解消を試みたのだった。
■どうやら掴むつもりらしい②
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②といいつつ、これで終わるか、③にいくかというところ…!
お気に入り少し増えて嬉しいです(^^)
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