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■何気ない誘い②
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■何気ない誘い②
「嬉しい申し出ですが、レオ殿もお疲れでしょう?」
「アラン殿との時間は別です」
「ですが……」
「あの夜のように、是非ゆっくりアラン殿とお話したいです」
休暇を貰ったと、わざわざ会いに来てくれたレオ殿。普段と異なる軽装姿に、おまけに久しぶりの手合わせ。一日楽しく、充実した時間だったと思いながらレオ殿にお礼を言っていると、レオ殿が私と話したいと言ってくれた。レオ殿からの申し出に、僅かに迷った私。だが、こんなにレオ殿が話してくれているのだ。断る理由なんて無い。
「分かりました。私が、お伺いします……」
そう言えば、嬉しそうにレオ殿が微笑んで触れる口づけを頬に落とした。
「レオ殿……!」
「親愛のキスです。色々済ませてからで大丈夫ですので! 私が泊っている宿は……」
レオ殿の説明を聞きながら、私はといえばドキドキとして、あまり頭に入らなかった。
「では、アラン殿。お相できるのを楽しみにしています」
「はい……」
手を振って来た道を戻って行ったレオ殿を見送って、一人地面にしゃがみ込んだ。
(ど……どうしたら……!)
レオ殿に会えるのは嬉しい。だが、先ほど反応した身体をどう誤魔化そう。ヒクリと締まったアナルに、余韻に残るようにヒクヒクと未だに収縮しているアナル。
「また変な声を出さないようにしなくては……!」
一度だけでなく、今だって驚いた拍子に漏れてしまった声。親愛のキス一つに、慌てることはないだろうに、何も知らない初心な生娘のように狼狽えて。
「…………はぁ」
しゃがみ込んだ身体を、もう一度起こす。
気分を切り替え、これからすることを考えた。簡単に夕食を取って、湯浴み。何かお土産になる物。
「レオ殿は、この前果実酒を褒めて下さったから、また果実酒をお贈りしよう」
よし! と前を向いた時には、訓練場には私一人。武具を仕舞う当番が小屋に残っている程度だろう。あまり遅くに訪ねては失礼だと、すぐに食堂へ向かい夕食を取った。
******
****
**
「アラン殿、来てくれて嬉しいです」
「こんばんは、レオ殿」
そうこうしているうちに時間は過ぎて、私はレオ殿の宿へと足を運んでいた。
宿屋の店主だって、私を知っている。「アラン様!」と歓迎されつつ、レオ殿の部屋へ向かえば今もこうしてレオ殿に歓迎された。
ガチャリと扉が開けば、水滴の残る髪。色っぽい姿にドキリとしつつ、また違った軽装姿に少し見惚れた。
「さぁ、どうぞ」
「お邪魔します」
「好きに座って下さい」
「分かりました」
レオ殿の部屋に脚を踏み入れ、空いているイスに腰かける。レオ殿は鍵を閉めた様子で、私が座っている方へと戻って来た。
「レオ殿。これ、お土産です」
「これは、この前の果実酒ですね。とても美味しかったので嬉しいです」
「喜んで頂けて嬉しいです」
ギシッ、と互いに座った木製の椅子が軋んだ。
「レオ殿は、何か召し上がりましたか?」
「はい。帰りに外の店で。気さくで親切な方が多くて、本当に良い国ですね」
「有難うございます。そう言って頂けて、私も嬉しいです」
「ああ、そうだ。今回は私もお土産があるんですよ」
談笑をしながら、レオ殿が席を立つ。戻って来て手にしていたのは、私が手渡したものと違う酒瓶だった。
「私の国で作った果実酒です。海辺の潮風と強い日差しを浴びて育った果実から作るので、こちらの口の果実酒とはまた味が異なるんですよ」
カップに注がれた果実酒が、テーブルに置かれる。私たちの親しんでいる色の付いた果実酒と異なり、透明に黄味がかった色の果実酒。
「頂きます」
早速コクリと飲んでみれば、あっさりとしながら喉越しは柑橘系の味がした。
「美味しいです」
「私もアラン殿のお口に合って嬉しいです」
また二人して笑って、談笑して。
私は注がれるまま、一杯、二杯とレオ殿の持参した果実酒を飲み続けた。胃から熱くなっていく感覚と、身体が弛緩する感覚。
(酔い始めている……?)
自覚はありつつも、会話は続く。談笑を交えながらも、確実に頭の中がぼんやりし始めていた。
「そういえば、アラン殿。最近、獣人の村を訪れたそうですね。どうでしたか?」
「ああ……そうですね……」
ニコリと微笑むレオ殿の顏は分かる。だが、頭の中がぼんやりとし始めている。ただ、獣人という言葉に、尻を嗅がれたことを思い出し思わずフニャリと頬が緩んだ。
「アラン殿。言いそびれていましたが、その果実酒は度数が高いんです」
アラン殿が小さな声で何を言っていたか聞き取れなかったが、獣人の村はどうでしたか? という問いに、頭の緩んだ私は「レオ殿だけに……」答えたのは。
「実は……お尻を嗅がれました」
********
短く・軽度のぬるさで終わる予定です
「嬉しい申し出ですが、レオ殿もお疲れでしょう?」
「アラン殿との時間は別です」
「ですが……」
「あの夜のように、是非ゆっくりアラン殿とお話したいです」
休暇を貰ったと、わざわざ会いに来てくれたレオ殿。普段と異なる軽装姿に、おまけに久しぶりの手合わせ。一日楽しく、充実した時間だったと思いながらレオ殿にお礼を言っていると、レオ殿が私と話したいと言ってくれた。レオ殿からの申し出に、僅かに迷った私。だが、こんなにレオ殿が話してくれているのだ。断る理由なんて無い。
「分かりました。私が、お伺いします……」
そう言えば、嬉しそうにレオ殿が微笑んで触れる口づけを頬に落とした。
「レオ殿……!」
「親愛のキスです。色々済ませてからで大丈夫ですので! 私が泊っている宿は……」
レオ殿の説明を聞きながら、私はといえばドキドキとして、あまり頭に入らなかった。
「では、アラン殿。お相できるのを楽しみにしています」
「はい……」
手を振って来た道を戻って行ったレオ殿を見送って、一人地面にしゃがみ込んだ。
(ど……どうしたら……!)
レオ殿に会えるのは嬉しい。だが、先ほど反応した身体をどう誤魔化そう。ヒクリと締まったアナルに、余韻に残るようにヒクヒクと未だに収縮しているアナル。
「また変な声を出さないようにしなくては……!」
一度だけでなく、今だって驚いた拍子に漏れてしまった声。親愛のキス一つに、慌てることはないだろうに、何も知らない初心な生娘のように狼狽えて。
「…………はぁ」
しゃがみ込んだ身体を、もう一度起こす。
気分を切り替え、これからすることを考えた。簡単に夕食を取って、湯浴み。何かお土産になる物。
「レオ殿は、この前果実酒を褒めて下さったから、また果実酒をお贈りしよう」
よし! と前を向いた時には、訓練場には私一人。武具を仕舞う当番が小屋に残っている程度だろう。あまり遅くに訪ねては失礼だと、すぐに食堂へ向かい夕食を取った。
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「アラン殿、来てくれて嬉しいです」
「こんばんは、レオ殿」
そうこうしているうちに時間は過ぎて、私はレオ殿の宿へと足を運んでいた。
宿屋の店主だって、私を知っている。「アラン様!」と歓迎されつつ、レオ殿の部屋へ向かえば今もこうしてレオ殿に歓迎された。
ガチャリと扉が開けば、水滴の残る髪。色っぽい姿にドキリとしつつ、また違った軽装姿に少し見惚れた。
「さぁ、どうぞ」
「お邪魔します」
「好きに座って下さい」
「分かりました」
レオ殿の部屋に脚を踏み入れ、空いているイスに腰かける。レオ殿は鍵を閉めた様子で、私が座っている方へと戻って来た。
「レオ殿。これ、お土産です」
「これは、この前の果実酒ですね。とても美味しかったので嬉しいです」
「喜んで頂けて嬉しいです」
ギシッ、と互いに座った木製の椅子が軋んだ。
「レオ殿は、何か召し上がりましたか?」
「はい。帰りに外の店で。気さくで親切な方が多くて、本当に良い国ですね」
「有難うございます。そう言って頂けて、私も嬉しいです」
「ああ、そうだ。今回は私もお土産があるんですよ」
談笑をしながら、レオ殿が席を立つ。戻って来て手にしていたのは、私が手渡したものと違う酒瓶だった。
「私の国で作った果実酒です。海辺の潮風と強い日差しを浴びて育った果実から作るので、こちらの口の果実酒とはまた味が異なるんですよ」
カップに注がれた果実酒が、テーブルに置かれる。私たちの親しんでいる色の付いた果実酒と異なり、透明に黄味がかった色の果実酒。
「頂きます」
早速コクリと飲んでみれば、あっさりとしながら喉越しは柑橘系の味がした。
「美味しいです」
「私もアラン殿のお口に合って嬉しいです」
また二人して笑って、談笑して。
私は注がれるまま、一杯、二杯とレオ殿の持参した果実酒を飲み続けた。胃から熱くなっていく感覚と、身体が弛緩する感覚。
(酔い始めている……?)
自覚はありつつも、会話は続く。談笑を交えながらも、確実に頭の中がぼんやりし始めていた。
「そういえば、アラン殿。最近、獣人の村を訪れたそうですね。どうでしたか?」
「ああ……そうですね……」
ニコリと微笑むレオ殿の顏は分かる。だが、頭の中がぼんやりとし始めている。ただ、獣人という言葉に、尻を嗅がれたことを思い出し思わずフニャリと頬が緩んだ。
「アラン殿。言いそびれていましたが、その果実酒は度数が高いんです」
アラン殿が小さな声で何を言っていたか聞き取れなかったが、獣人の村はどうでしたか? という問いに、頭の緩んだ私は「レオ殿だけに……」答えたのは。
「実は……お尻を嗅がれました」
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短く・軽度のぬるさで終わる予定です
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