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4】再会したら
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4】再会したら
(まさか本当に告白なんて……いやいやいや。僕ってば、何変に意識してるんだ。フラッと会いに来る卒園生は、今までだっていたじゃないか……!)
随分と顔が良く成長した教え子との再会に、緊張している自身に対し平常心。平常心と言い聞かせる。自分の家のように慣れた廊下の足取りが重く感じたが、行かないという選択肢は無い。あっという間に職員室が見えて来て、透明の窓越しに中が見える。確かに、斎藤先生が言っていた通り。どことなくソワソワしている様子が見えている。
(そういえば、昔もあんな感じで座ったままキョロキョロ周りを見ていたっけな)
大きな身体だというのに、僕の視界に見えるのは昔の久保君に見えた。だが、廊下で盗み見するわけにはいかない。
(……よしっ!)
「失礼します」
ガラガラと扉を開けば、園長先生が待っていました! とばかりにニコニコと笑いながら席を立つ。
「お! 久保君。お待ちかねの水野先生が来たぞ」
「あ、先生」
「ちょっ、園長先生?」
「まぁまぁ。あとは若い二人でごゆっくり」
それはお見合いでは!!! と思ったが、園長先生にツッコミを入れることが出来るわけがない。それに斎藤先生と同じようにニコニコとしながら園長先生も部屋を出て行ってしまって、静かな職員室に残されたのは僕と久保君だけ。
「えっと……」
無言のままでいるのも辛い。それに、僕だけ意識するのも変だ。
「久保君、元気にしてた?」
「うん。見ての通り、元気だよ先生」
「健康であれば良いんだよ。それより、学生生活はどう?」
「もう、すっっっ……げぇ大変!」
顔が無駄に良いだけに、やはり緊張していまうが僕が学校生活について聞くと年相応反応を見せた久保君。表情豊かに間を置いた回答は、本当に大変なんだろう。
「今は、昔以上に大変そうだからねぇ」
「あ! でも成績はそこそこだから安心して!」
あはは、とつい笑ってしまった。
そうすれば、緊張も解けて案外と話に花が咲く。最近学校であったことだとか、学校の先生のこととか。久保君が充実した学生生活を送っているようで、良かったと安堵する。
「久保君が、楽しい高校生活を送っているみたいで良かったよ」
「うん。それなりに楽しいよ、先生」
「先生って呼ばれるのは、ちょっと変な感じがしちゃうな」
「だって先生は、先生だし」
久保君にとって、僕はずっと先生なんだと思うと感慨深く嬉しくなった。
「そっか……」
嬉しいな、と僅かに視線を逸らした時だ。ふっ……と顔を上げると、急に久保君の表情が変わっている。真剣そうな表情は、何か言いたげで。
「?」
何か悩み相談かな? と、先程まで悩んでいた「あの事」を頭から抜けていた僕はすっかり油断していたんだ。
「そのっ……先生。やっぱり俺は、先生が好きなんだけど」
********
(まさか本当に告白なんて……いやいやいや。僕ってば、何変に意識してるんだ。フラッと会いに来る卒園生は、今までだっていたじゃないか……!)
随分と顔が良く成長した教え子との再会に、緊張している自身に対し平常心。平常心と言い聞かせる。自分の家のように慣れた廊下の足取りが重く感じたが、行かないという選択肢は無い。あっという間に職員室が見えて来て、透明の窓越しに中が見える。確かに、斎藤先生が言っていた通り。どことなくソワソワしている様子が見えている。
(そういえば、昔もあんな感じで座ったままキョロキョロ周りを見ていたっけな)
大きな身体だというのに、僕の視界に見えるのは昔の久保君に見えた。だが、廊下で盗み見するわけにはいかない。
(……よしっ!)
「失礼します」
ガラガラと扉を開けば、園長先生が待っていました! とばかりにニコニコと笑いながら席を立つ。
「お! 久保君。お待ちかねの水野先生が来たぞ」
「あ、先生」
「ちょっ、園長先生?」
「まぁまぁ。あとは若い二人でごゆっくり」
それはお見合いでは!!! と思ったが、園長先生にツッコミを入れることが出来るわけがない。それに斎藤先生と同じようにニコニコとしながら園長先生も部屋を出て行ってしまって、静かな職員室に残されたのは僕と久保君だけ。
「えっと……」
無言のままでいるのも辛い。それに、僕だけ意識するのも変だ。
「久保君、元気にしてた?」
「うん。見ての通り、元気だよ先生」
「健康であれば良いんだよ。それより、学生生活はどう?」
「もう、すっっっ……げぇ大変!」
顔が無駄に良いだけに、やはり緊張していまうが僕が学校生活について聞くと年相応反応を見せた久保君。表情豊かに間を置いた回答は、本当に大変なんだろう。
「今は、昔以上に大変そうだからねぇ」
「あ! でも成績はそこそこだから安心して!」
あはは、とつい笑ってしまった。
そうすれば、緊張も解けて案外と話に花が咲く。最近学校であったことだとか、学校の先生のこととか。久保君が充実した学生生活を送っているようで、良かったと安堵する。
「久保君が、楽しい高校生活を送っているみたいで良かったよ」
「うん。それなりに楽しいよ、先生」
「先生って呼ばれるのは、ちょっと変な感じがしちゃうな」
「だって先生は、先生だし」
久保君にとって、僕はずっと先生なんだと思うと感慨深く嬉しくなった。
「そっか……」
嬉しいな、と僅かに視線を逸らした時だ。ふっ……と顔を上げると、急に久保君の表情が変わっている。真剣そうな表情は、何か言いたげで。
「?」
何か悩み相談かな? と、先程まで悩んでいた「あの事」を頭から抜けていた僕はすっかり油断していたんだ。
「そのっ……先生。やっぱり俺は、先生が好きなんだけど」
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