1 / 13
1】最悪の目覚め
しおりを挟む
1】最悪の目覚め
今朝の目覚めは、今まで生きてきた中で一番最悪の目覚めかもしれない。いや、きっとそうに違いない。
「ん……、ん……?」
もう朝だと頭では分かり始め、起きようとした頃だった。頭が覚醒するよりも早く、ギシリと何故かベッドが軋んだかと思えば、自身の唇が塞がれた。ちゅっ、と柔らかな感触を感じたかと思えば、ゆっくりと入り込んでくる何か。
「ん、ぁ……っ、あ゛……っ?」
(何か入ってきている……?)
何かと思えば、このヌロリ動くコレは恐らく舌だ。なぜだか舌が入り込んできている。
気持ち良く寝ていたというのに起きて早々、口が塞がれ頭がクラクラする。おまけに、身体に力も入らない。抵抗しなくては、そう頭では分かっていても、何をどうしたら口内に侵入した舌を。私の身体に覆いかぶさる身体を、どうやったら、どかせることが出来るだろう?
(このっ……!)
心の中で、思わず悪態をつくが状態は変わらない。未だ瞼は重たく、開いて相手を睨むことも出来ない。
「ん……ふ、ぅ゛……♡」
ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅぷっ♡ レロォッ……♡
舌先を合わせたかと思えば、そのまま舌先を絡ませる。それから私の舌先と唾液を吸い上げて、自分の唾液を送り込んで飲ませてようとしてくる。苦しさを感じつつ、どうにか精一杯の抵抗に力が入り始めた腕で相手の胸元を押せば、ゆっくりと口内から舌が出て行った。
レロォッ……ちゅっ♡
最後に触れるだけのキスを一つ、頬にして。
「は……っ、はぁっ……!」
頭と身体に酸素を送るために、大きく深呼吸をする。濡れた口元を手の甲で拭き取って、覚醒し開いた瞳でキッ……! と相手の方を、思わず睨んだ。
(一体誰だ!?)
この家には、私一人しかいない。そもそも、この家には昨日越してきたばかり。強盗か? と思ったが強盗が、寝ている男にキスなんかするだろうか。
相手────名前をろくに知らない男性がそこには立っていた。身長は高く、漆黒の髪に所作はどこか上品さを感じる人物。それでも人の寝込みを襲うような人。
「君は……っ、君は朝から一体何を……っ!?」
そう言えば、私の言葉を聞いた相手は怒る私と異なり。随分と落ちついた様子で、私が怒っていることなど知らぬとばかりに、平然とした様子で言った。
「何って、食事ですよ? 人間でいうところの朝ごはんってやつです」
(キスが食事……?)
「なら、ちゃんと食事を取れば……」
「まぁ人間の食事で取れないこともないですが、俺は淫魔なので。それに食べるなら、美味しい方がいいでしょう?」
「な……にも言って……」
(淫魔? いや、淫魔がどうして私の家に? いや、待て。そういえば彼は昨日……)
どこかで見覚えがあるような……と思えば、私よりも早く相手がオーバーなリアクションをしながら言った。
「やだなぁ、忘れたんですか? 昨日も俺に食事をくれたじゃないですか。ねぇ……神父様?」
ニコリと綺麗に微笑んだ彼に、私は何も言えなかった。
(一体どういうことだ……!?)
*****
新しく始めました(^^)
今度は騎士団長じゃない…!(笑)
お気軽にコメントなど頂けると嬉しいです
今朝の目覚めは、今まで生きてきた中で一番最悪の目覚めかもしれない。いや、きっとそうに違いない。
「ん……、ん……?」
もう朝だと頭では分かり始め、起きようとした頃だった。頭が覚醒するよりも早く、ギシリと何故かベッドが軋んだかと思えば、自身の唇が塞がれた。ちゅっ、と柔らかな感触を感じたかと思えば、ゆっくりと入り込んでくる何か。
「ん、ぁ……っ、あ゛……っ?」
(何か入ってきている……?)
何かと思えば、このヌロリ動くコレは恐らく舌だ。なぜだか舌が入り込んできている。
気持ち良く寝ていたというのに起きて早々、口が塞がれ頭がクラクラする。おまけに、身体に力も入らない。抵抗しなくては、そう頭では分かっていても、何をどうしたら口内に侵入した舌を。私の身体に覆いかぶさる身体を、どうやったら、どかせることが出来るだろう?
(このっ……!)
心の中で、思わず悪態をつくが状態は変わらない。未だ瞼は重たく、開いて相手を睨むことも出来ない。
「ん……ふ、ぅ゛……♡」
ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅぷっ♡ レロォッ……♡
舌先を合わせたかと思えば、そのまま舌先を絡ませる。それから私の舌先と唾液を吸い上げて、自分の唾液を送り込んで飲ませてようとしてくる。苦しさを感じつつ、どうにか精一杯の抵抗に力が入り始めた腕で相手の胸元を押せば、ゆっくりと口内から舌が出て行った。
レロォッ……ちゅっ♡
最後に触れるだけのキスを一つ、頬にして。
「は……っ、はぁっ……!」
頭と身体に酸素を送るために、大きく深呼吸をする。濡れた口元を手の甲で拭き取って、覚醒し開いた瞳でキッ……! と相手の方を、思わず睨んだ。
(一体誰だ!?)
この家には、私一人しかいない。そもそも、この家には昨日越してきたばかり。強盗か? と思ったが強盗が、寝ている男にキスなんかするだろうか。
相手────名前をろくに知らない男性がそこには立っていた。身長は高く、漆黒の髪に所作はどこか上品さを感じる人物。それでも人の寝込みを襲うような人。
「君は……っ、君は朝から一体何を……っ!?」
そう言えば、私の言葉を聞いた相手は怒る私と異なり。随分と落ちついた様子で、私が怒っていることなど知らぬとばかりに、平然とした様子で言った。
「何って、食事ですよ? 人間でいうところの朝ごはんってやつです」
(キスが食事……?)
「なら、ちゃんと食事を取れば……」
「まぁ人間の食事で取れないこともないですが、俺は淫魔なので。それに食べるなら、美味しい方がいいでしょう?」
「な……にも言って……」
(淫魔? いや、淫魔がどうして私の家に? いや、待て。そういえば彼は昨日……)
どこかで見覚えがあるような……と思えば、私よりも早く相手がオーバーなリアクションをしながら言った。
「やだなぁ、忘れたんですか? 昨日も俺に食事をくれたじゃないですか。ねぇ……神父様?」
ニコリと綺麗に微笑んだ彼に、私は何も言えなかった。
(一体どういうことだ……!?)
*****
新しく始めました(^^)
今度は騎士団長じゃない…!(笑)
お気軽にコメントなど頂けると嬉しいです
13
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
【R18】らぶえっち短編集
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)
R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。
※R18に※
※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。
※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。
※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。
※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。
日乃本 義(ひのもと ただし)に手を出すな ―第二皇子の婚約者選定会―
ういの
BL
日乃本帝国。日本によく似たこの国には爵位制度があり、同性婚が認められている。
ある日、片田舎の男爵華族・柊(ひいらぎ)家は、一通の手紙が原因で揉めに揉めていた。
それは、間もなく成人を迎える第二皇子・日乃本 義(ひのもと ただし)の、婚約者選定に係る招待状だった。
参加資格は十五歳から十九歳までの健康な子女、一名。
日乃本家で最も才貌両全と名高い第二皇子からのプラチナチケットを前に、十七歳の長女・木綿子(ゆうこ)は哀しみに暮れていた。木綿子には、幼い頃から恋い慕う、平民の想い人が居た。
「子女の『子』は、息子って意味だろ。ならば、俺が行っても問題ないよな?」
常識的に考えて、木綿子に宛てられたその招待状を片手に声を挙げたのは、彼女の心情を慮った十九歳の次男・柾彦(まさひこ)だった。
現代日本風ローファンタジーです。
※9/17 少し改題&完結致しました。
当初の予定通り3万字程度で終われました。
※ 小説初心者です。設定ふわふわですが、細かい事は気にせずお読み頂けるとうれしいです。
※続きの構想はありますが、漫画の読み切りみたいな感じで短めに終わる予定です。
※ハート、お気に入り登録ありがとうございます。誤字脱字、感想等ございましたらぜひコメント頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】誰そ彼(黄昏)に濡れる
エウラ
BL
死にかけたときに見た綺麗な瞳に恋をした。
雨に煙る黄昏時。藍色と橙色の黄昏時の色の・・・・・・。
唐突に異世界転移した俺は、助けて保護してくれた人に恩返しをしたくて頑張って鍛えて、結果、それなりに強くなった・・・はず。
さあ、これから恩返しをするぞ・・・?
R18には*付きます。
不定期更新。長くはならない、はず。
タイトルちょっと変えました。
誰(たれ)そ彼(かれ)に→誰そ彼(黄昏)
※ちょっとですがワイバーン飛来の理由を付け足しました。気になっていた方は再読して下さい。(2023.4.4)
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
汚名返上・痴漢激減プロジェクト
夜月光
大衆娯楽
日本の痴漢犯罪を減らすべくして立ち上がったプロジェクトチーム、このプロジェクトチームのアプリ開発部門のチームリーダーを任されたIT企業部長、佐々木稔(ささきみのる)、このアプリを使って痴漢プレイにハマって行く銀行員の青島茜(あおしまあかね)、果たしてこのアプリが日本にどのような影響を与えて行くのか!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる