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111】久しぶりに声をかけてみた④
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111】久しぶりに声をかけてみた④
互いに顔を合わせて笑って。握手して。
良かった、仲直り出来たと思っていたが、話は終わらなかったらしい。
「さて。この件は終わりですが、話を戻しても良いですか?」
「はい?」
良かったとレオ殿も言いながら、話を戻そうとする。今仲直りしたばかりだというのに、何に話を戻すのだろうと思ったが、他に話していたことは一つしか無かった。
「で? 本当にナイト殿とは何もなかったんですか?」
ニコリ、と今度は笑ったレオ殿笑顔が以前のように何かを含んでいるような笑顔で。これは何か言うまで逃げられないと悟った。
「あー……」
「その反応は何かありましたよね?」
思わず視線を逸らしてしまったが、何かあったことの肯定を否定できない。
(だが、ナイト殿の告白は私とナイト殿のもので、レオ殿には関係の無い話だし……)
そもそも、人の好意を伝えても良いものだろうか? と経験の少ない私は考えをまとめるまで時間がかかってしまう。
「アラン様」
「あ、そのっ……あまりお話して良い事かどうか……」
「つまり、俺に言えないようなことがあったってことですね?」
「いや、そこまでは」
「じゃあ、教えてくれても良いのでは?」
「……何でそこまで聞きたがるんですが」
「俺にとって大事なことだからですかね?」
「誰にも言いませんか?」
「勿論。誰にも言いませんよ」
「分かりました。そのっ……ナイト殿に好きだと言われたくらいですかね」
「は?」
「え?」
「ちょっと待って下さいよ。くらいの話じゃないですよ、それって返事は……。待って下さい。もしものことを考えると聞きたくないかもしれない……! ぐっ……!」
ガタン! と席を立ち、表情がコロコロと変わりレオ殿。
「別に好きだと言われた程度ですよ?」
「言われただけですか? 何もされてないですか?」
「何も……されて……」
「あるんですね!? あー、もう! 以前から押しに弱いと思っていましたが、ここまでとは。戦場と違い、アラン様は私生活において気が抜けすぎてますよ!」
「な……っ! そんなことは……!」
「じゃあ、何をされたんですか!?」
「く……口づけを少しだけ……」
「は?」
また驚いたのか、怒っているのか。何とも気持ちが分からない表情をしたレオ殿。
「口づけなら、レオ殿だって私にするじゃないですか……!」
「そ……うですけど……あ゛―……! これも俺が悪いですね。で? アラン様は、ナイト殿の気持に応えたんですか?」
「いえ。私にはまだ、ナイト殿の好きの意味がよく分からないので。ナイト殿とあったことは、この程度ですよ。納得しましたか?」
「良かった……いや、良かったのか? いや、うん……?」
レオ殿が、私の言葉一つに忙しそうだ。一喜一憂しながら、今度は私の番だとレオ殿に声を掛けた。
「レオ殿。私からもお話が。これからは、そのっ……私の悩み解決に付き合って貰っていますが、今度は止めませんか? レオ殿とは普通の友人として接していきたいです」
「……は? アラン様?」
ピタリと止まった身体が、驚いたように一番目を見開いて私を見つめる。
「どうしてですか? やっぱりナイト殿と?」
「いえ、ナイト殿とは何の関係もありません。ただ……レオ殿のことを思えば、恋人でもないのに、ああいったことをするのは良くないなと思いまして」
「俺は……俺だって、アラン様のことが好きなんですよ……!」
「え……!?」
*******
互いに顔を合わせて笑って。握手して。
良かった、仲直り出来たと思っていたが、話は終わらなかったらしい。
「さて。この件は終わりですが、話を戻しても良いですか?」
「はい?」
良かったとレオ殿も言いながら、話を戻そうとする。今仲直りしたばかりだというのに、何に話を戻すのだろうと思ったが、他に話していたことは一つしか無かった。
「で? 本当にナイト殿とは何もなかったんですか?」
ニコリ、と今度は笑ったレオ殿笑顔が以前のように何かを含んでいるような笑顔で。これは何か言うまで逃げられないと悟った。
「あー……」
「その反応は何かありましたよね?」
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(だが、ナイト殿の告白は私とナイト殿のもので、レオ殿には関係の無い話だし……)
そもそも、人の好意を伝えても良いものだろうか? と経験の少ない私は考えをまとめるまで時間がかかってしまう。
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「つまり、俺に言えないようなことがあったってことですね?」
「いや、そこまでは」
「じゃあ、教えてくれても良いのでは?」
「……何でそこまで聞きたがるんですが」
「俺にとって大事なことだからですかね?」
「誰にも言いませんか?」
「勿論。誰にも言いませんよ」
「分かりました。そのっ……ナイト殿に好きだと言われたくらいですかね」
「は?」
「え?」
「ちょっと待って下さいよ。くらいの話じゃないですよ、それって返事は……。待って下さい。もしものことを考えると聞きたくないかもしれない……! ぐっ……!」
ガタン! と席を立ち、表情がコロコロと変わりレオ殿。
「別に好きだと言われた程度ですよ?」
「言われただけですか? 何もされてないですか?」
「何も……されて……」
「あるんですね!? あー、もう! 以前から押しに弱いと思っていましたが、ここまでとは。戦場と違い、アラン様は私生活において気が抜けすぎてますよ!」
「な……っ! そんなことは……!」
「じゃあ、何をされたんですか!?」
「く……口づけを少しだけ……」
「は?」
また驚いたのか、怒っているのか。何とも気持ちが分からない表情をしたレオ殿。
「口づけなら、レオ殿だって私にするじゃないですか……!」
「そ……うですけど……あ゛―……! これも俺が悪いですね。で? アラン様は、ナイト殿の気持に応えたんですか?」
「いえ。私にはまだ、ナイト殿の好きの意味がよく分からないので。ナイト殿とあったことは、この程度ですよ。納得しましたか?」
「良かった……いや、良かったのか? いや、うん……?」
レオ殿が、私の言葉一つに忙しそうだ。一喜一憂しながら、今度は私の番だとレオ殿に声を掛けた。
「レオ殿。私からもお話が。これからは、そのっ……私の悩み解決に付き合って貰っていますが、今度は止めませんか? レオ殿とは普通の友人として接していきたいです」
「……は? アラン様?」
ピタリと止まった身体が、驚いたように一番目を見開いて私を見つめる。
「どうしてですか? やっぱりナイト殿と?」
「いえ、ナイト殿とは何の関係もありません。ただ……レオ殿のことを思えば、恋人でもないのに、ああいったことをするのは良くないなと思いまして」
「俺は……俺だって、アラン様のことが好きなんですよ……!」
「え……!?」
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