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77】【番外編】とある賢者のやらかし

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77】【番外編】とある賢者のやらかし

 「んっ……」

(もう朝か? あれ、俺いつベッドで寝たっけ?)

いつもより少し遅い時間だろう。何となく瞼が眩しく感じて目をあけた。瞬き一つした瞬間、視界に入った光景に息を飲む。

「!?」

それからすぐに、昨日のことを思い出す。幸いとうべきか、覚えていない方が良いのに思うべきか。どれだけ酔ったところで、記憶を無くしたことが無いのが一応自慢……なのだが。出来れば昨日の記憶だけは、全て忘れていたかった。

(やっ…………!)

(やっちまったぁぁぁ…………!)

声を出せないからわりに、心の中で溜息とともに後悔の言葉を。それは感情をこめて叫んだ。

****

 俺の名前はレオ。この国一の賢者だと言われている。
そして、どうして今突然自己紹介をしているのか? それはただ、気が動転しているから。気を紛らせるように、勝手に内心喋り始めただけ。
目が覚めれば、いつもと何も変わらない自身のベッドの上。だが、そのベッドがどこか窮屈で、だがいつも以上に温かい。それもそのはずだ。俺のベッドにいたのは…………この国の騎士団長・アラン様がいるのだから。

『アラン様!?』

すぅすぅと規則正しく寝息を立てているアラン様。その顔は普段と異なり幼く見えて、気持ち良さそうに眠っている。
思わず起こさないように注意しながら、静かに毛布を僅かに捲る。互いに服は着ており、散らかっているのはベッドの下にある靴のみらしい。良かった(良かったのか?)と思いつつ、もう一度毛布を戻す。俺も静かに横になり、ふーっ……と深呼吸した。

身体の中で違和感があるのは、頭だけ。重い頭痛がズキン! と、こめかみを襲う。万が一腰が痛いなんてことではないので安心だが、頭痛の正体はすぐに分かっていた。

『飲み過ぎてしまった……』

俗にいう、賢者タイム。自身が賢者だから、全くもって笑えない。飲み過ぎた。それはもう飲み過ぎた。ボトルを一人で2本は開けたし、アラン様とも一緒に飲んだ。おまけに絡み酒までして。酔えば次の日記憶が無いタイプもいるだろうが、俺は全部覚えている。出来るなら、今回だけ頭を強打してでも記憶を飛ばしたいと思ったが、俺の頭は忘れてはくれない。変な汗が背中を一筋流れたが、頭を抱えながらも俺はちゃっかりアラン様の寝顔を見つめるのは止めなかった。

(あー…………)

(どうにか忘れたフリでもして、誤魔化せないか?)

そう考えながら、まだアラン様が起きませんようにと願いながら。
俺はベッドの中で頭を抱えた。

********
ちょっと攻がポンコツ(褒めてる)っぽくなってしまいました><
もしかしたら、ちょいちょいこんな感じの攻が出るかもしれませんが、どうなのかな。
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