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25】久しぶりのモンスター退治③
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25】久しぶりのモンスター退治③
バシャバシャと水の弾く音。それから、雄々しい騎士団員たちの声。私もスライムとの交戦中、負けじと士気高く剣を振るう。そんな中、飛び散ったスライムが鎧との僅かな隙間に入り衣服と肌が濡れた。
ピチャッ……! ヌロォッ…………。
「ふ……っ、ぅ゛……っ!♡」
ヌメついて、ねっとりと。切られ液体になる中で、一部核だった部分だろうか。ゆっくりと伝う粘着質なスライム。その感触が、どこか自身の白濁で濡れた身体を思い出してしまった。
「アラン様!」
「大丈夫だ! 問題ない」
私の動きが一瞬止まったことに、近くにいた団員が声をかける。きっと心配してのことだろう。それに対し私はといえば、自身の自慰のことを思い出すだなんて。
(集中しろ。もう半分は駆除できている。あと残り半分だ)
雑念を振り払うべく、私はブンッ……! と大きく剣を振り上げた。その間、隙をついたかのようにいくつかスライムたちが私の身体に張り付いてくる。一気に重くなる身体。スライムたちが器用に張り付いたまま、形を保ちつつ鎧の隙間に入り込んできて、私の口からまた熱の籠った吐息が漏れかけた。
「ふっ……ぅ゛♡う、ぐっ……!」
早く済ませなければ。情けない顔を、団員たちに見せるわけにはいかない。それに、時間がかかれば、巨大化が進行してしまう。現に、私が大きく振りかぶったのも、前方に巨大化したスライムがいたから。スライムも、ただやられてばかりではないということだ。
散り散りに残っていたスライムたちが、私の見ている方向へと集まり始める。くっ付いて大きさを増しながら、自我が強く出るように。鳴き声のような、大きな音が聞こえた。
「その巨大スライムは私がやる! 他の者は離れていろ!」
「アラン様!」
剣を振り上げたまま、バシャ……! と踏み込んで前へ。離れる指示に反応が遅れた団員が、私の前に何人か吹き飛ばされていてギリッと歯を食いしばった。
うおぉぉぉっ……──! と響く叫び声と、スライムの鳴き声。団員が吹き飛ばされた風圧に耐えながら、私はそのひと振りを下した。
「このっ……!」
ブンッ…………! バシャァァァァ………!!
剣に伝う、弾力のある感触。弾かれそうになったが、刺すように振り下ろしスライムの巨体を斬った。最後に悲鳴のように一際大きな鳴き声を上げたあと、この一帯だけ雨が降ったようにスライムが液体になり降り注ぐ。背後では団員たちが、一気に歓声の声を上げていた。私はといえば、呼吸を整えながら頭上を見上げ。ぼんやりとしていると、もう一つの頼まれごとを思い出した。
(ああ、そういえば)
チャリッ……、と首にかけていた小瓶を思い出し取り出した。
「レオ殿に頼まれていたスライムは……もう皆、液体になってしまったな」
川の中では、もうどれがスライムだったか分からない。確約はしていなかったが、出来ればレオ殿の頼みを叶えてあげたい。
私は顔を下ろし、どこかにスライムの破片はないかと探した。だが、すぐにその必要は無さそうだと悟る。
「アラン様、お疲れ様です!」
「大丈夫ですか? 随分と汚れてしまっていますが……」
「ん? ああ。本当だ」
私が一番スライムに近づき、スライムを浴びたんだ。一部核のドロリとした部分が顔にドロリと付いていて、探す手間が省けた。頬の汚れを拭いながら、私はそっと拭き取ったソレを瓶の中に詰めたのだった。
(レオ殿は、喜んでくれるだろうか)
「アラン様?」
名前を呼ばれ、我に返る。
「全員集合! 怪我人を優先して先頭へ。まだ日も高く、日没までには帰れると思うが、今日野宿をし明日戻るか。それとも、このまま一気に戻るか。皆の意見を尊重しよう。皆は、どうしたい?」
「俺は疲れてるが、家のベッドで寝たいです!」
「俺も!」
「そうだな!」
「分かった。では、すぐに戻るとしよう。戻り次第、文官殿たちへ今日のことを報告し、明日は祝賀会といこうじゃないか」
「アラン様は休んで下さいよ!」
あはは! と皆疲れているはずなのに、談笑しながら。私たちは急いで来た道を戻ったのだった。
********
健全?はとりあえず、これで。
バシャバシャと水の弾く音。それから、雄々しい騎士団員たちの声。私もスライムとの交戦中、負けじと士気高く剣を振るう。そんな中、飛び散ったスライムが鎧との僅かな隙間に入り衣服と肌が濡れた。
ピチャッ……! ヌロォッ…………。
「ふ……っ、ぅ゛……っ!♡」
ヌメついて、ねっとりと。切られ液体になる中で、一部核だった部分だろうか。ゆっくりと伝う粘着質なスライム。その感触が、どこか自身の白濁で濡れた身体を思い出してしまった。
「アラン様!」
「大丈夫だ! 問題ない」
私の動きが一瞬止まったことに、近くにいた団員が声をかける。きっと心配してのことだろう。それに対し私はといえば、自身の自慰のことを思い出すだなんて。
(集中しろ。もう半分は駆除できている。あと残り半分だ)
雑念を振り払うべく、私はブンッ……! と大きく剣を振り上げた。その間、隙をついたかのようにいくつかスライムたちが私の身体に張り付いてくる。一気に重くなる身体。スライムたちが器用に張り付いたまま、形を保ちつつ鎧の隙間に入り込んできて、私の口からまた熱の籠った吐息が漏れかけた。
「ふっ……ぅ゛♡う、ぐっ……!」
早く済ませなければ。情けない顔を、団員たちに見せるわけにはいかない。それに、時間がかかれば、巨大化が進行してしまう。現に、私が大きく振りかぶったのも、前方に巨大化したスライムがいたから。スライムも、ただやられてばかりではないということだ。
散り散りに残っていたスライムたちが、私の見ている方向へと集まり始める。くっ付いて大きさを増しながら、自我が強く出るように。鳴き声のような、大きな音が聞こえた。
「その巨大スライムは私がやる! 他の者は離れていろ!」
「アラン様!」
剣を振り上げたまま、バシャ……! と踏み込んで前へ。離れる指示に反応が遅れた団員が、私の前に何人か吹き飛ばされていてギリッと歯を食いしばった。
うおぉぉぉっ……──! と響く叫び声と、スライムの鳴き声。団員が吹き飛ばされた風圧に耐えながら、私はそのひと振りを下した。
「このっ……!」
ブンッ…………! バシャァァァァ………!!
剣に伝う、弾力のある感触。弾かれそうになったが、刺すように振り下ろしスライムの巨体を斬った。最後に悲鳴のように一際大きな鳴き声を上げたあと、この一帯だけ雨が降ったようにスライムが液体になり降り注ぐ。背後では団員たちが、一気に歓声の声を上げていた。私はといえば、呼吸を整えながら頭上を見上げ。ぼんやりとしていると、もう一つの頼まれごとを思い出した。
(ああ、そういえば)
チャリッ……、と首にかけていた小瓶を思い出し取り出した。
「レオ殿に頼まれていたスライムは……もう皆、液体になってしまったな」
川の中では、もうどれがスライムだったか分からない。確約はしていなかったが、出来ればレオ殿の頼みを叶えてあげたい。
私は顔を下ろし、どこかにスライムの破片はないかと探した。だが、すぐにその必要は無さそうだと悟る。
「アラン様、お疲れ様です!」
「大丈夫ですか? 随分と汚れてしまっていますが……」
「ん? ああ。本当だ」
私が一番スライムに近づき、スライムを浴びたんだ。一部核のドロリとした部分が顔にドロリと付いていて、探す手間が省けた。頬の汚れを拭いながら、私はそっと拭き取ったソレを瓶の中に詰めたのだった。
(レオ殿は、喜んでくれるだろうか)
「アラン様?」
名前を呼ばれ、我に返る。
「全員集合! 怪我人を優先して先頭へ。まだ日も高く、日没までには帰れると思うが、今日野宿をし明日戻るか。それとも、このまま一気に戻るか。皆の意見を尊重しよう。皆は、どうしたい?」
「俺は疲れてるが、家のベッドで寝たいです!」
「俺も!」
「そうだな!」
「分かった。では、すぐに戻るとしよう。戻り次第、文官殿たちへ今日のことを報告し、明日は祝賀会といこうじゃないか」
「アラン様は休んで下さいよ!」
あはは! と皆疲れているはずなのに、談笑しながら。私たちは急いで来た道を戻ったのだった。
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健全?はとりあえず、これで。
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