上 下
63 / 66

63】可愛い

しおりを挟む
63】可愛い

 北斗から告白されるという、まさかの展開。しかもだ。
「こんなことなら、圭の身体を俺無しじゃ駄目なくらいに抱いておけば良かった」なんてことから始まって、どうしてカップルチャンネルを始めたのかだとかを、吐露した北斗。内容を聞けば想像以上にクソデカ感情を持っていたことに驚きつつも、チョロイ俺は今度は嬉しくなっていくわけで。

(う、うわぁぁあ~~~~!)

「圭に恋人が出来てチャンネル止めようって言われたらどうしようって思ってたくらいだし。俺ね、ずっと余裕無かったんだよ」

俺が思っていた姿と違う北斗の姿。北斗も俺と同じだったんだ。

「なぁ、北斗。俺もさ、北斗が俺とカップルチャンネルしてたら、北斗が恋人作らなくて嬉しいって思ったって言ったらどうする?」

「────え? それって……」

俺も言わなくちゃ。なぁ、北斗。俺も、北斗と一緒だよ。いつか北斗に恋人が出来たらと不安を抱えながら、カップルチャンネルの中だけでもって思ってたから意外と俺たち似た者同士かも。どっちがクソデカ感情かは、審議が必要だけど。

「俺ね、北斗が好きなんだ」

好き。今まで言えなかったくせに、両想いだと分かった途端簡単に口に出せるのだからチョロイうえに、調子が良すぎる。だが、初めて言えた好きは、俺にとって大きな一言だった。言えて嬉しいという気持ちと、胸が温かくなるような感覚。
それから、急に黙った北斗の顔がこれまた見たことがない表情へと変わっていく。

「……ッ!」

(北斗の顔が、こんなに真っ赤なの初めて見た)

「待って、今俺の顔を見ないで」

雄味はどこへやら。一気に首辺りまで赤くなって、片手で自分の顔を覆った。ピンときた俺は、嬉しいと楽しいで北斗に声をかけ続ける。

「いいじゃん。北斗、今まで俺の恥ずかしいところ、全部見てただろ。こんなこと、滅多にないんだし、見せてよ」

「圭は可愛かったから良いんだよ。俺は、圭の前で恰好良くいたいの。圭、俺の顔好きでしょ?」

「好きだけど……でも、今みたいに俺相手に顔を真っ赤にする北斗は初めて見るから」

手を伸ばして、北斗の腕に触れる。なぁ……と北斗の腕をつつきながら「見せて?」と言えば、ゆっくりと北斗の手が顔から離れていく。

「……笑わないでよ?」

現れた北斗の顔は変わらず真っ赤で、どこか涙目に近かった。前髪が影を作りながら、うるんだ瞳がキラキラと光って、思わずドキンではなくキュンとした。

キュン。

(可愛い)

「圭、何か言ってよ」

「北斗、可愛い」

ちゅっ、と身体を起こして今度は俺からキスをした。

*******
更新しました!お気に入りほか有難うございます(^^)
やった~~!もうすぐ終わりそう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

席には限りがございます!  ~トラックに轢かれてチート能力を手に入れた私たちは異世界転移を目指して殺し合います~

LW
ファンタジー
【異世界転移】×【チート能力】×【バトルロイヤル】! 異世界転移を賭けて、十二人がチート能力で殺し合う。 ------------------------- 「四月一日午前零時にトラックに轢かれて死ぬと、チート能力付きで異世界に転移できるらしい」。 そんな噂を信じた廿楽花梨は異世界転移目当てでトラックに飛び込んで自殺し、無事に天国で女神からチート能力を与えられた。 しかし、同日同時刻に同じ噂を信じて自殺した女性が十二人いた! 想定外の大人数で転移可能な人数をオーバーし、三人までしか異世界転移できないことが告げられる。 席には限りがあるのなら、人数を減らすしかない。 異世界に転移する権利を賭け、十二人がチート能力で殺し合うバトルロイヤルが始まる。 ------------------------- #にはりが 表紙イラスト&キャラクタ―シート:nijijourney タイトルロゴ:コタツラボ様(https://twitter.com/musical_0327)

当たって砕けていたら彼氏ができました

ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。 学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。 教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。 諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。 寺田絋 自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子 × 三倉莉緒 クールイケメン男子と思われているただの陰キャ そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。 お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。 お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
恋愛
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

エリスローズの瞳に映るもの

永江寧々
恋愛
海沿いの美しい国アクティーで暮らすエリスローズは国から【ゴミ捨て場】と呼ばれるスラム街で生まれた。 スラム街の人間は貧困街の人間からでさえ差別を受け、街に上がることさえ許されない。 荷役人夫の父親、娼婦の母親、弟二人と妹一人の六人で過ごすスラム街の生活はエリスローズにとって苦痛ではなかった。 今日食べる物どころか明日を心配する生活だが、愛情溢れる両親のおかげで毎日が幸せだった。 愛する家族がいれば朝から夜中まで働くことだって苦痛ではなかった。家族のためならなんでもする。 そんなエリスローズのもとを訪ねた一人の男から提案を受けた。 【王太子妃が行方不明であり、一ヶ月後に行われるパレードに代わりに出席しろ】と。 給金が出ると聞いて行く覚悟を決めたエリスローズは両親の反対を押し切って入城する。 字の読み書きさえできないスラム街出身だと聞いても差別をしない王太子の優しさに触れ、愛情を受けるがエリスローズは恋をしないと決めていて── エリスローズの王太子妃身代わり人生が幕を開ける。 ※近親愛的な部分がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※ショタおねショタ的な物が苦手な方もご注意ください。 ※暗いお話です。 ※ご指摘くださいます皆様、本当にありがとうございます。承認不要だと書いてくださるのでお礼が書けず、ここに書かせていただきます。 本来当方が気付かなければならないことを見逃している間違いや矛盾などありましたら教えてくださり助かっています。お読みくださっている方々には大変申し訳ないです。 どうぞ懲りずに今後もお付き合いいただけますと幸いです。 ※7月3日が最終話アップとなります。

配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!

ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて 素の性格がリスナー全員にバレてしまう しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて… ■ □ ■ 歌い手配信者(中身は腹黒) × 晒し系配信者(中身は不憫系男子) 保険でR15付けてます

冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話

岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ! 知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。 突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。 ※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...