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25】最近動画をアップしていないので②

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25】最近動画をアップしていないので②

 2時間後に、急だが久しぶりに生配信をすることになった。
ダボダボでヨレヨレの部屋着姿で映るには、やはり気が引ける。一旦部屋に戻って着替えるかと戻ったものの、以前の俺はどういう風に振舞っていたかと確認のために動画を見た。

『今日も北斗は恰好良いでしょ? 俺の自慢の彼氏なんだ♡』

(うわぁあああ……俺凄い顔してんな)

なんてことを言っていて、俺の願望がダダ漏れだった。勿論、配信のためのリップサービスが入っているが、隠せないのは表情だ。俺ってば、本当に北斗のことが好きなんだなと自分でも分かるような表情をしていた。同時に、北斗との温度差を感じる。

「しっかし……俺がこんな顔してても、北斗も気にしないんだもんな」

(やっぱり俺だけが北斗のことを好きなんだな)

はぁ……と、この不毛な恋に対して何度目かの溜息をついた。(100回以上はついてると思う)

(ずっと続くかなんて分からないし。ある日突然、北斗からもう止めようとか言われたら……──)

「はぁぁあ~~……」

色々と混じったクソデカ溜息。
好きにならなかったら楽だっただろうなと思ったが、好きになってしまったのだからしょうがない。この気持ちをどうする? と思ったところで、気持ちを押し殺すことは俺には出来なった。いや、勝手に心の奥で「俺は北斗が好きだ」と、気持ちが溢れてしまうのだから、頭で考えたところで結局意味なんて無かった。

「やべっ! その前に着替えて北斗と打合せしなきゃ」

ガバッ! とベッドから身体を起こし、とりあえず綺麗めな上着に着替え。再び北斗がいるリビングへ向かった。

「悪い、待たせた」

「大丈夫。まだ時間あるから……」

「?」

ふと俺の頭を見る北斗。どうしたんだ? と思っていると、同じくどうしたんだ? という様子で北斗が言った。

「圭、少し寝てた?」

「起きてたぞ?」

「ここ。少しハネてる」

カタン、と座っていた椅子から立ち上がり、俺の髪に触れる北斗。俺よりも高い身長で、「ここ」と俺の髪に触れるが、俺から見えるのは無駄に良い北斗の顔だけ。

「し……っ゛らねぇよ! 俺からは北斗の顔しか見えねぇし」

「ふーん」

「てか、離せよ。寝ぐせなおしてくるから」

「このままでいいよ」

「は?」

「圭が可愛く見えるから、このままで良いと思う」

「あー……ハイハイ。そうですか」

(可愛く見えるから、ねぇ……)

恋人設定の可愛い彼女みたいな感じなんだろうかと思いながら、北斗から視線を逸らした。

「……とりあえず、この可愛い寝ぐせの話とか。最近食べたご飯の話とかでちょっと配信程度でいこうか」

「分かった」

気持ちを切り替え。俺は器材を準備する北斗の邪魔にならないようにしながら、飲み物なんかを準備して北斗に渡した。

「ほら。っても、水だけど」

「嬉しいよ、圭。有難う」

「どういたしまして」

コップを渡す時に指が触れただけでも、俺の心臓はまたドキンと鳴った。

(やっぱり、俺ばっかりが好きなんだろうな)

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