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■家に帰って来たものの②
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■家に帰って来たものの②
今日は、リタさんに恋愛相談をしてきた。誰かに相談して心が軽くなりつつ、応援して貰えて元気が出ていたのに。ソラの様子が元に戻ったと思ったのは、俺の願望でしかなかったらしい。
食事を終え、風呂も終え。あと寝るだけだと、のんびりとソラと二人で過ごしていれば、ソラが「おやすみ」と挨拶するわけでもなく。それどころか、やや真剣な表情で言った。
「高見。やっぱり高見は、リタと一緒に暮らしたらどうかな?」
「え……?」
今日はどっちで寝る? とかじゃなく、今度こそ俺を離そうとする言葉。
「リタなら、きっと高見のことを歓迎してくれるよ。家の心配もしなくて良いから。この家丸ごとリタのところに持って行くし。そうだなぁ……リタは、料理が少し苦手だから、それは大目に見てあげてね」
「なっ……んで」
「高見?」
「何で、そんなこと言うんだよ……」
俺を離そうとしないでくれ。
ハッピーエンドには、随分と遠い言葉に俺の視界は歪み始めていた。
「俺、何かソラに嫌なことしたか?」
「そうじゃないけど」
「ならどうしてだよ? 俺はリタさんのこと好きだけど、俺はソラと一緒にいたいだけなのに……なんでだよぉ……!」
自分でも駄々を捏ねていると思った。こんなに嫌だと駄々を捏ねるのは、いつぶりだろう? 小さな子供のように、感情が抑えられなくなって歪み始めていた視界が、まるで水の中みたいになっていた。泣いていると自覚しても、すぐに涙を止めることなんか出来ず。それどころか、一度流れてしまえば次から次へと涙が溢れ、目が熱かった。
「高見泣かないでよ!?」
「泣いてねぇ!」
「泣いてるよ!」
わぁぁああ……! と泣きだしているのに、泣いていることを認めないときている。だってそうだろう? こんな時に泣いてるなんて認めるのは、何だか悔しいだろう? だから大きな声で「泣いてない!」と主張するしかないんだ。……まぁ、俺もこんなこと言いながら、泣いてるなって分かってるんだけど。
珍しくソラの口調も荒くて、どうしたら良いか分からない。かといって、俺に折れるという選択肢は無い。つまりは、ソラが根負けするのを待つしかない。
「俺は! 絶対にこの家から出て行かないんだからな!」
涙を拭い、ソラを見上げる。俺の顔は、酷い顔をしいたんだろう。ソラの眉が垂れていて、悲しそうな顔をしていた。
「……お願いだから泣かないでよ」
伸びてきたソラの指先に、逃げることはしない。俺の顔の何倍も大きな指に、自分から顔を擦り付けた。涙の温度が伝わったのか、「熱い」とソラが呟く。
「高見にそんな顔させたいわけじゃなかったのに」
「最近、ソラ様子が変だぞ?」
「……うん、そうなんだ。僕変なんだよ。だから、高見が危なくないように遠ざけようとしてたんだけど……」
「?」
「うまくいかないものだね」
フッ……と笑ったソラの顔は、俺よりも悲しそうに見えた。
******
諸々終わらせたいー!!
今日は、リタさんに恋愛相談をしてきた。誰かに相談して心が軽くなりつつ、応援して貰えて元気が出ていたのに。ソラの様子が元に戻ったと思ったのは、俺の願望でしかなかったらしい。
食事を終え、風呂も終え。あと寝るだけだと、のんびりとソラと二人で過ごしていれば、ソラが「おやすみ」と挨拶するわけでもなく。それどころか、やや真剣な表情で言った。
「高見。やっぱり高見は、リタと一緒に暮らしたらどうかな?」
「え……?」
今日はどっちで寝る? とかじゃなく、今度こそ俺を離そうとする言葉。
「リタなら、きっと高見のことを歓迎してくれるよ。家の心配もしなくて良いから。この家丸ごとリタのところに持って行くし。そうだなぁ……リタは、料理が少し苦手だから、それは大目に見てあげてね」
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「高見?」
「何で、そんなこと言うんだよ……」
俺を離そうとしないでくれ。
ハッピーエンドには、随分と遠い言葉に俺の視界は歪み始めていた。
「俺、何かソラに嫌なことしたか?」
「そうじゃないけど」
「ならどうしてだよ? 俺はリタさんのこと好きだけど、俺はソラと一緒にいたいだけなのに……なんでだよぉ……!」
自分でも駄々を捏ねていると思った。こんなに嫌だと駄々を捏ねるのは、いつぶりだろう? 小さな子供のように、感情が抑えられなくなって歪み始めていた視界が、まるで水の中みたいになっていた。泣いていると自覚しても、すぐに涙を止めることなんか出来ず。それどころか、一度流れてしまえば次から次へと涙が溢れ、目が熱かった。
「高見泣かないでよ!?」
「泣いてねぇ!」
「泣いてるよ!」
わぁぁああ……! と泣きだしているのに、泣いていることを認めないときている。だってそうだろう? こんな時に泣いてるなんて認めるのは、何だか悔しいだろう? だから大きな声で「泣いてない!」と主張するしかないんだ。……まぁ、俺もこんなこと言いながら、泣いてるなって分かってるんだけど。
珍しくソラの口調も荒くて、どうしたら良いか分からない。かといって、俺に折れるという選択肢は無い。つまりは、ソラが根負けするのを待つしかない。
「俺は! 絶対にこの家から出て行かないんだからな!」
涙を拭い、ソラを見上げる。俺の顔は、酷い顔をしいたんだろう。ソラの眉が垂れていて、悲しそうな顔をしていた。
「……お願いだから泣かないでよ」
伸びてきたソラの指先に、逃げることはしない。俺の顔の何倍も大きな指に、自分から顔を擦り付けた。涙の温度が伝わったのか、「熱い」とソラが呟く。
「高見にそんな顔させたいわけじゃなかったのに」
「最近、ソラ様子が変だぞ?」
「……うん、そうなんだ。僕変なんだよ。だから、高見が危なくないように遠ざけようとしてたんだけど……」
「?」
「うまくいかないものだね」
フッ……と笑ったソラの顔は、俺よりも悲しそうに見えた。
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諸々終わらせたいー!!
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