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■ベッドを買いに来たものの⑦

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■ベッドを買いに来たものの⑦

「俺がソラの初恋?」

リタさんの言葉に、正直まんざらでもなかった。俺もソラが初恋だから、恋が実ったら伝えてみようかな? なんて思ってしまうのは、目の前にいる強い味方が出来たから。(多分、リタさんの口から前の彼女は~何て言われたら結構凹んでたと思う)

「……」

「あの、リタさん?」

へへっと、照れるように下を向いた僅かな時間。すぐに顔を上げれば、先程まで感情の起伏はあれど、動いていたリタさんの口がピタリと止まった。今の俺も結構情緒の起伏があるから、急に静かになるのは止めて欲しい。(リタさん!)

どうしたんですか? とリタさんの顔を覗き見れば、またワッ……! とリタさんが動き出した。

「閃いた! 閃いたわよ、高見。あの鈍感ソラでも、特別な好きだって気づく言い方!」

「本当ですか?」

あの一瞬は、色々考えていたんだなと思いつつリタさんの答えを待った。

「コホン……じゃあ、高見。もう一度好きだって伝えようとした時は、こう言ってみて?」

先生と生徒のように、思わず座りなおしたベッドの上で足をピタリと合わせ、背筋をピンと伸ばした。

「食べて欲しいくらい好きだって」

「食べ???る???」

何ですか、それ―――――!!

「人間にはない? 食べちゃいたいくらい好きだとか、食べたいくらい好きって。私たち巨人にしてみたら、食事は人間以上に身体を作るものだし食べた物で出来ているっていう意識が強いからね。食べて欲しいなんて、貴方の身体の一部になりたいっていってるようなものだから、特別な好き以外にないのよ」

「お、俺が、ソラに……食べて……」

「そうよ! ほら、私をソラだと思って練習よ!」

「た、食べ、食べ…ぐぁあああ、い、言えるわけない……!」

恥ずかしい! とせっかく姿勢を正しくしたものを崩し。熱い顔を隠すようにベッドに寝そべった時だった。神様はよく見ているのか。タイミングが良いとばかりに、その時はやってきてばかりだ。

ギイィィッ……。

「ただいま。リタ、高見を見てくれて有難う。高見、ベッドは決まった?」

「「ソラ!!」」

「ああ、うん。僕だけど……もう少し外にいた方が良かった?」

「違うわよ。ソラ、ちょっと不貞腐れてない? どうしたのよ。私は別に高見と何も無かったわよ? 御覧の通り、ベッド選びの感想を聞きながら決めていたところよ。ねぇ、高見?」

「そうだよ。ほら、ベッド選ぶの難しいだろ? だからリタさんと良く相談してたとこなんだ。これなんか結構気に入ってるんだけど」

「……そう。高見は、どうする? 僕はもうすぐ帰るけど」

本当に不貞腐れているらしい。俺をまた置いて行くような言い方に、噛みつくように大きな声を出してしまった。

「俺もソラと帰るよ!」

「良いの?」

「良いよ! ソラ、これ! 俺、このベッドにするから!」

「あーあ。高見、怒っちゃったじゃない、ソラ」

「……ごめん」

急にシュンとしたソラに、何と声を掛けることも出来ず。とりあえず、いつものように俺の前に広げられた手の平に急いで飛び乗った。

「リタさん、またね」

「ええ。またね、高見。ソラ、ちゃんと家に帰るのよ」

「分かってるよ」

やっぱりソラの様子がおかしいが、そのうち機嫌が直ることを願いつつ俺たちは家へと帰って行った。

■ベッドを買いに来たものの■

(恋愛相談になっちゃったな)

*******
もうすぐ終わるので良かったら読んで頂けると嬉しいです(^^)
次くらいは、ちょっと軽度なRにするかな?という気持ち(未定)
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