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14】知らなかったこと

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14】知らなかったこと

「~~~~っ、俺の馬鹿……」

後悔したって、時間は元には戻せない。俺がちょっと使える魔法の中にも、そんな魔法は何にもない。魔王様の姿は無く、残ったのは俺だけ。出て行けと言われ、身体は痛いまま。こんな所に倒れたままで、誰かが助けてくれるはずもない。ヨロヨロと身体を起こし、ゆっくりと来た道を辿り。魔王様に言われるまま、入口の門へと戻って行くしか出来ない。

「……」

(魔王様が怒っている姿を、初めて見た)

回復魔法は使える。だが、まだこの痛みを感じているべきだと。俺自身への罰だと思い、そのままでいた。

『出て行け』


「……っ、どうしよう……」

嫌われてしまった。もとより好かれてはいなかっただろうが、あんな目を。あんな視線を送られるほど。嫌悪されていない自信はあったのに。


「…………」


トボトボと歩いていけば、ようやく門に着いた。俺の姿に気付いた門番が、また声を掛けて来る。


「あ、ナイトだ」

「……」

「おまっ……! あー……さっき、凄い音してたもんな。やっぱり怒らせちまったか」

「やっぱりなぁ。止めておいた方が良いぞって声かけた時には、ナイトもういなかったからな。怪我大丈夫か? お前、淫魔だから魔法使えるだろ? 早く回復魔法使えよ。見てるこっちがまで痛くなっちまう」

「……れた」

「は?」

「魔王様に嫌われた」

「あー……それは、まぁ……。魔王様、庭園にいらっしゃったんだろ?」

「ああ。そしたら俺が人間臭い匂いつけて入って来たから、すげぇ怒って……」

「まぁ、座れよ。ちょっと話を聞いてやる」

門の壁に寄りかかるように座り込んだ。普段であれば、魔王様のことを聞いたり、話したり。黙っていることの方が少ない俺が静かにしていると、門番の二人が「元気出せよ」と軽く小突いた。

「俺、そんなに臭かったかな……」

「うーん……臭いというか、何というか……」

「俺さ、魔王様は別に人間を襲ったりしないし、どちらかといえば人間に優しい方だなって思ってから嫌いじゃないと思ってたんだよ。あー……マジで嫌われた……」

「嫌いじゃないというか、何というか」

「二人とも、何なんだよ! 俺はこんなに凹んでるっていうのに!!」

「ナイト。お前いくつだっけ?」

「200までは数えてたけど、もう数えるの止めちまったから分からねぇ」

「ナイトが知らねぇんだから、もう200年は過ぎてるんだろな」

「何がだよ」

「ここからは、俺の独り言だからな? 別に、ナイトに教えてやるわけじゃないからな?」

「お前、教えてやるのか?」

「しっ! だから、ここからは独り言を少し喋るだけだって」

何だか二人の様子がおかしい。ゴホンと小さく咳払いして、随分と小さな声でヒソリと呟いた。




「魔王様は、別に人間が嫌いってわけじゃねぇさ。昔、魔王様は人間の男と恋仲だったからな」



「は?」


*******
うーん><難しい
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