14 / 42
14】知らなかったこと
しおりを挟む
14】知らなかったこと
「~~~~っ、俺の馬鹿……」
後悔したって、時間は元には戻せない。俺がちょっと使える魔法の中にも、そんな魔法は何にもない。魔王様の姿は無く、残ったのは俺だけ。出て行けと言われ、身体は痛いまま。こんな所に倒れたままで、誰かが助けてくれるはずもない。ヨロヨロと身体を起こし、ゆっくりと来た道を辿り。魔王様に言われるまま、入口の門へと戻って行くしか出来ない。
「……」
(魔王様が怒っている姿を、初めて見た)
回復魔法は使える。だが、まだこの痛みを感じているべきだと。俺自身への罰だと思い、そのままでいた。
『出て行け』
「……っ、どうしよう……」
嫌われてしまった。もとより好かれてはいなかっただろうが、あんな目を。あんな視線を送られるほど。嫌悪されていない自信はあったのに。
「…………」
トボトボと歩いていけば、ようやく門に着いた。俺の姿に気付いた門番が、また声を掛けて来る。
「あ、ナイトだ」
「……」
「おまっ……! あー……さっき、凄い音してたもんな。やっぱり怒らせちまったか」
「やっぱりなぁ。止めておいた方が良いぞって声かけた時には、ナイトもういなかったからな。怪我大丈夫か? お前、淫魔だから魔法使えるだろ? 早く回復魔法使えよ。見てるこっちがまで痛くなっちまう」
「……れた」
「は?」
「魔王様に嫌われた」
「あー……それは、まぁ……。魔王様、庭園にいらっしゃったんだろ?」
「ああ。そしたら俺が人間臭い匂いつけて入って来たから、すげぇ怒って……」
「まぁ、座れよ。ちょっと話を聞いてやる」
門の壁に寄りかかるように座り込んだ。普段であれば、魔王様のことを聞いたり、話したり。黙っていることの方が少ない俺が静かにしていると、門番の二人が「元気出せよ」と軽く小突いた。
「俺、そんなに臭かったかな……」
「うーん……臭いというか、何というか……」
「俺さ、魔王様は別に人間を襲ったりしないし、どちらかといえば人間に優しい方だなって思ってから嫌いじゃないと思ってたんだよ。あー……マジで嫌われた……」
「嫌いじゃないというか、何というか」
「二人とも、何なんだよ! 俺はこんなに凹んでるっていうのに!!」
「ナイト。お前いくつだっけ?」
「200までは数えてたけど、もう数えるの止めちまったから分からねぇ」
「ナイトが知らねぇんだから、もう200年は過ぎてるんだろな」
「何がだよ」
「ここからは、俺の独り言だからな? 別に、ナイトに教えてやるわけじゃないからな?」
「お前、教えてやるのか?」
「しっ! だから、ここからは独り言を少し喋るだけだって」
何だか二人の様子がおかしい。ゴホンと小さく咳払いして、随分と小さな声でヒソリと呟いた。
「魔王様は、別に人間が嫌いってわけじゃねぇさ。昔、魔王様は人間の男と恋仲だったからな」
「は?」
*******
うーん><難しい
「~~~~っ、俺の馬鹿……」
後悔したって、時間は元には戻せない。俺がちょっと使える魔法の中にも、そんな魔法は何にもない。魔王様の姿は無く、残ったのは俺だけ。出て行けと言われ、身体は痛いまま。こんな所に倒れたままで、誰かが助けてくれるはずもない。ヨロヨロと身体を起こし、ゆっくりと来た道を辿り。魔王様に言われるまま、入口の門へと戻って行くしか出来ない。
「……」
(魔王様が怒っている姿を、初めて見た)
回復魔法は使える。だが、まだこの痛みを感じているべきだと。俺自身への罰だと思い、そのままでいた。
『出て行け』
「……っ、どうしよう……」
嫌われてしまった。もとより好かれてはいなかっただろうが、あんな目を。あんな視線を送られるほど。嫌悪されていない自信はあったのに。
「…………」
トボトボと歩いていけば、ようやく門に着いた。俺の姿に気付いた門番が、また声を掛けて来る。
「あ、ナイトだ」
「……」
「おまっ……! あー……さっき、凄い音してたもんな。やっぱり怒らせちまったか」
「やっぱりなぁ。止めておいた方が良いぞって声かけた時には、ナイトもういなかったからな。怪我大丈夫か? お前、淫魔だから魔法使えるだろ? 早く回復魔法使えよ。見てるこっちがまで痛くなっちまう」
「……れた」
「は?」
「魔王様に嫌われた」
「あー……それは、まぁ……。魔王様、庭園にいらっしゃったんだろ?」
「ああ。そしたら俺が人間臭い匂いつけて入って来たから、すげぇ怒って……」
「まぁ、座れよ。ちょっと話を聞いてやる」
門の壁に寄りかかるように座り込んだ。普段であれば、魔王様のことを聞いたり、話したり。黙っていることの方が少ない俺が静かにしていると、門番の二人が「元気出せよ」と軽く小突いた。
「俺、そんなに臭かったかな……」
「うーん……臭いというか、何というか……」
「俺さ、魔王様は別に人間を襲ったりしないし、どちらかといえば人間に優しい方だなって思ってから嫌いじゃないと思ってたんだよ。あー……マジで嫌われた……」
「嫌いじゃないというか、何というか」
「二人とも、何なんだよ! 俺はこんなに凹んでるっていうのに!!」
「ナイト。お前いくつだっけ?」
「200までは数えてたけど、もう数えるの止めちまったから分からねぇ」
「ナイトが知らねぇんだから、もう200年は過ぎてるんだろな」
「何がだよ」
「ここからは、俺の独り言だからな? 別に、ナイトに教えてやるわけじゃないからな?」
「お前、教えてやるのか?」
「しっ! だから、ここからは独り言を少し喋るだけだって」
何だか二人の様子がおかしい。ゴホンと小さく咳払いして、随分と小さな声でヒソリと呟いた。
「魔王様は、別に人間が嫌いってわけじゃねぇさ。昔、魔王様は人間の男と恋仲だったからな」
「は?」
*******
うーん><難しい
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】
彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。
「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
失声の歌
涼雅
BL
……声が出ない
それは唐突に俺を襲った
いつもは当たり前にできたこと
それが急にできなくなった
暗闇に突き落とされて、目の前なんて見えなくなった
うるさい喧騒の中でひとつだけ、綺麗な音が聴こえるまでは
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる