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純朴な犬は悪い先輩に欲望へと引きずり込まれる

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初めての一人暮らし。初めてのバイト。初めての都会。
大学生となり田舎から上京した犬獣人の青年は、仕事上のトラブルから帰宅が大きく遅れた事実に対する疲弊を感じつつ、普段よりも数時間遅い電車に乗り込んだ。
店長からの謝罪と埋め合わせの約束も貰えたし、そもそも今回のトラブルは誰かに非がある物じゃ無かった。そう己に言い聞かせて憔悴を誤魔化しながら、犬の青年は明日が休日である事実に安堵を募らせつつ、乗り込んだ電車の中で深く息を吐いた。
そして、気付く。この車両には、正常からは程遠い匂いと音が充満している。疲れから気付いていなかった情報を脳で理解し終えると同時に、青年は寝ていた耳を立てつつ音の方向に視線を寄せた。そこには、匂いと音を把握した時点で分かり切っていた光景が、異常な光景が繰り広げられていた。

「あっ、んぁっ、ふぁぁぁんっ!」
「おぢり、ぎもちぃ! もっと、もっひょしてくらひゃいぃぃっ!」

公共機関であるはずの電車の中に、全裸となった男達がいる。様々な種族の男達が当然のようにそれぞれ色の違う体毛を纏った裸体を晒し、欲望を剥き出しにした交尾に酔いしれている。
信じがたい眼前の様子に、犬の青年は声をも出せずに一歩また一歩と後ずさっていく。足元に広がっている体液と自分のみが履いている靴の間に糸を引かせながら、犬の青年は恐怖も戦慄も感じずただ呆然と背後への移動を行っていく。
そうして数歩進んだ先で、犬の青年は自身よりも屈強な体躯を有する男達の背にぶつかってしまった。後ろからの衝撃に振り向いた男達は、別の獣人達が耽っている交尾の鑑賞を切り上げて青年との距離を詰め、優しい笑みと声音で淫蕩な誘い文句を放ち始めた。

「おや、君は初めてだね。空いてるなら、俺達が相手してあげようか?」
「服も着たままで、慣れてないんだね。何処にしまったら良いかを教えてあげるよ。それが終わったら、たっぷりと気持ち良くしてあげようね」
「あ、あの、俺、その……」

虎の男と、狼の男が犬の青年に迫る。後方への不注意で身体がぶつかってしまったことに対する負い目と、犬獣人特有の鋭敏な嗅覚を絶えず刺激する淫臭混じりの空気に思考を掻き乱されている青年が、しどろもどろに言葉を紡ぐ。
すると、そんな青年の背後から聞き慣れた声が届き、右肩に手が置かれた。その変化に身体をビクリと跳ねさせた犬の青年ごしに、声の正体である馬獣人の青年は虎と狼にやんわりとした返事を犬の代わりに発した。

「すみません、こいつ俺の大学の後輩なんですけど、田舎から出てきたばっかでこの車両のこととか多分まだ分かってないと思うんです。さっきの見たら分かると思うんですけど、間違えて乗っちまったんじゃないかと」
「あぁ、そうなのかい? それは済まないね」
「怖がらせちゃったみたいでごめんよ」
「い、いえ、俺こそ何かすみません……」

謝罪をし合い、お互いに距離を取り合う二組の獣人。そうして他の獣人がいない少し開けた空間に移動した馬の青年は、衣服を脱ぎ捨てた裸体で電車の壁により掛かりつつ、犬の青年にこの空間の説明を開始した。

「都会だと、ここみたいに特定の時間だけ発情期の奴専用になる場所が結構あるんだよ。田舎だと決まった場所に数件って感じだけど、都会は人も多いし皆忙しいし場所の用意も難しいってことでその時その時の空いている所を使ってここで発散してくれってやってんだ。ま、俺は単純にするのが好きってだけだけどな」
「そ、そうなんですか……あ、助けてくれてありがとうございます、先輩」

同じサークルに所属する馬の先輩が語る内容を聞きながら、犬は大学内でも衣服越しに感じていた馬の逞しい肉体に圧倒されている。本当に自分と一歳しか違わない存在なのかと思うくらいに雄々しい筋肉質な裸体と足の間に垂れ下がった逞しい肉棒に薄茶色の毛を纏った顔を赤らめながら、犬は恩人である馬の雄に意識を奪われていく。

「ん? 気になるか?」
「ふぇ!? あ、ごめんなさ……」
「良いぜ、謝んなよ。でも、可愛いお前に見られて興奮しちまったから……ちょっと、オナらせてもらうぜ」
「かわっ、え、先輩……?」

ついさっき怖い目に合った後輩の前で、という自制を不可能だと判断した馬の青年が、勃起を抑えていた意思を解放して限界まで膨張させた自身の男根を扱き始める。萎えている状態でも太く凶悪だった男根を更に太くいきり立たせた馬の右手が、にちゅにちゅと音を立てて自らを慰める。自らを慰めながら、馬は呆然としつつも隠しきれぬ欲情を滾らせ始めた犬の青年に、可愛い後輩を性の対象として認識している悪い先輩の顔を露わにした誘惑をぶつけた。

「○○、やっぱ可愛いな。俺のチ○コに釘付けになってる○○、最高に可愛い。我慢してないで、お前もシコって良いんだぜ? お前でシコってる俺をオカズにして、ズボンの中で膨らんでるそれを弄っても良いんだぜ? ここはそういう空間だってことを、今後の為にも身体で覚えておく必要があるだろうしな」
「あ、うぅ……」

自分よりも強い雄を感じさせる馬の先輩が自分を可愛いと褒めながら夢中で行う自慰を目を背けることも出来ずに凝視しながら、犬の青年は馬に会って安堵した瞬間からこの空間を満たす情報に対して募らせていた欲情を肥大化させられていき、都会ではこれが普通なんだという言い訳を頭に思い浮かべつつファスナーを下ろして取り出した男根を、自身も密かに思いを寄せていた馬の裸体を目にして張り詰め切った可愛らしい男根を、馬を見つめ馬に見つめられた状況で扱き出すのだった。
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