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捕らわれの獅子は何も分からぬまま無様な見世物として完成する

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頭が霞む。思考が乱れる。何故身体が動かないのかも分からない。
脳と肉体の機能を著しく鈍らせる魔術を施され、指一本すら満足に使えなくされた身体を拘束を目的として作製された金属製の枠に嵌め込まれた男は、状況を一切理解出来ぬまま自由を取り戻すという発想に至ることも無く無抵抗に運ばれ続けている。
自分を運んでいるのは誰だ? 自分と同じ拘束を与えられ運ばれている者達は誰だ? そもそも、自分は何者だ?
自らが獣人族の国を統べる気高き獅子の王であったことも忘れ、自分と共に国を守り民を逃がす為に戦っていた騎士達のことも忘れた頭に答えの出ない問いを何度も何度も浮かべながら、雄々しく筋肉質な裸体を情けない格好に固められた獅子は自分の国へと侵攻し滅亡に導いた憎き人間族の手で無様に運搬されていく。
もはや自分が人間族が暮らす国の大通りで見世物にされている事実にすら気付けぬまま、獅子は回らない頭を表わすかのように蕩けた間抜け面を恥部を丸出しにした裸体と合わせて嘲笑われつつ部下であった騎士達と共に辱めの現場となる広場へと移動させられていく。
頭部の真横に指を開いた手を固定し、男根を見せ付けるようながに股を強要させた足をその形に固定し、万が一にも脱出を手に入れられないよう尻尾を足の間でビンと伸ばさせた状態に維持させる。そんな醜悪な機構を有した金属の枠に囚われた獅子は、仮に魔術の影響が抜け理性を取り戻せたとしても自分と部下を救い出せはしない。
人間族による支配を拒絶していた頃の面影を欠片も感じさせない姿へと変えられた。そんな獅子と部下の騎士達を難無く広場へと運び込んだ人間の男達は、愉快極まりない恥辱のショーに期待を寄せる民衆の視線を浴びつつ獣人の男達を嵌め込んだ枠の下部をあらかじめ広場に用意されていた土台の穴へと差し込んでいく。

「うぁ、あぁ……っ?」
「は、おぉ……?」

突然に運ばれる振動が消えたことに困惑する獣人達が示す危機感が皆無な反応を堪能しつつ全ての枠を土台に差し込み終えた男達は、加虐の途中で正気を取り返した獣人が筋肉に覆われた裸体を暴れさせても枠が外れないであろう状況が出来上がっていることを念入りに確認すると、土台の淡い桃色に光っている魔術仕掛けの板に右手を当てて呪文を唱え、この広場を彩る新たな娯楽となった獣人達に意に染まぬ発情の強要という淫猥な地獄をもたらし始めた。

「あぎっ!? はぎ、ほおぉーっ!?」
「へひっ、はひぃっ!? おっ、ほおぉ!?」

土台からせり上がった残忍な魔術の波動が、何処にも逃れられぬ裸体を容赦無く蝕んでいく。みっともない姿勢で宙に保たれた裸体達が、暴れられぬ手足を尾と一緒に痙攣させ一瞬にして限界まで膨張した男根を痛々しく脈動させながら、自らの手で鎮めることも叶わない強烈で淫らな衝動に悶え苦しみ出す。

「あ、あぁ……?」

どんな手段を用いてでも自分達を掌握しようとする人間族に対し自分以上の怒りを滾らせていた狼の騎士が上げる淫猥な渇望に狂った声を聞き、深手を負いつつも膝を付くこと無く捕らわれるその時まで自分の背中を勇敢に守ってくれていた虎の騎士が腰を狭い範囲で前後に往復させて放つおねだりの咆哮を耳にしながら、非道な魔術の影響でまだ事態を飲み込めずにいる虎は最後に残された自分へと迫る人間族を認識しても恐怖さえ抱けず、土台に手を触れられてもその意味を理解することさえ出来ぬまま、広場を悪趣味に飾り立てる見世物の完成を己が発し始めた快楽を希求する惨めな鳴き声で広場を囲んだ鑑賞者達に知らせるのだった。
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