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捕らわれの青年は無慈悲な生殺しの中へと吊るされる
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長い眠りの果てに、青年が目を覚ました。地獄の終わりを願いながら鳴き叫び、無慈悲な責め苦からの逃避を求める本能が意識を遮断する形で迎えた眠りを経て、捕らわれの身に堕とされた青年が覚醒に至った。
そんな哀れな青年を待ち受けていたのは、前回と変わらない一方的な管理の状況だった。
衣服を一枚残らず剥ぎ取られた裸体へと纏わされた黒革製の拘束服は、相変わらず青年の全身を隙間無く覆い尽くしている。左右の腕を胴体の真横へと縫い付け、左右の足を密着させた気を付けの姿勢を強いる黒革に閉じ込められた青年の身体は、拘束服の表面に位置する金具達と自身の管理場所に選ばれた狭い部屋の壁や天井にあてがわれた金具を遊び無く結ぶ何十という鎖と南京錠によって背筋を伸ばしたつま先立ちの格好で固められてしまっている。
頭部を振り乱すことも、身をよじらせることも叶わない。周囲の様子を伺うことも許されず、耳の周辺に用意された機構によって音を大きく阻まれている青年は、自分が悶える度に発生している黒革の軋みや鎖同士の擦れ合いを聞くことすらもままならない。
ありとあらゆる選択肢を没収された青年はもう、自分を支配する側に立った憎き敵達の思惑に沿った非情な管理を施されるだけの存在だ。頭部を覆う黒革のマスクの内側に突き出た偽物の男根を用いて口を喉近くまで塞がれ、左右の鼻の穴へとあてがわれたチューブ内を経由した空気でしか呼吸を行えないようにされた無様な青年はもはや、口へと少量ずつ送り込まれる栄養剤と鼻へと流し込まれる空気に混ぜ込まれた淫猥な薬品の効果によって引き起こされた意に染まぬ発情に嬲られながら、快楽を得る行動はおろか快楽が欲しいという願望を誤魔化す為の行動すら取れぬまま為す術無く狂わされるだけの存在でしか無いのだ。
「んっ、んぐっ、もっ、おぼおぉ……っ!!」
これ以上肉体を火照らされたくない。そう考えてみても、食道目掛けて一滴二滴と投下される淫薬混じりの栄養剤と、呼吸の度に体内へと入り込む淫薬入りの空気は拒めない。
お願いだから気持ち良くして下さい。恥を捨てた哀願を唸りに乗せて紡いでも、それは青年一人を詰めた狭い管理室の暗闇に虚しく響くのみだ。
このままでは、快感を欲しがることしか考えられない淫猥その物な生物へと貶められてしまう。自分をこの状況に追いやった敵達はおろか、誰にでも悦びを希求する理性と尊厳を捨てた淫乱へと仕立てられてしまう。
すでにそうなりつつある思考に堕落への恐怖を募らせながら、敵の支配下に置かれた青年は黒革の下で情けなく勃起させられ続けている男根を主張しているかのような身悶えを重ねつつ、外界ではまだ自分がこの生殺しに放置されてから半日程度しか経過していないという絶望も知らぬまま、壊れかけの正気を必死に繋ぎとめていた。
そんな哀れな青年を待ち受けていたのは、前回と変わらない一方的な管理の状況だった。
衣服を一枚残らず剥ぎ取られた裸体へと纏わされた黒革製の拘束服は、相変わらず青年の全身を隙間無く覆い尽くしている。左右の腕を胴体の真横へと縫い付け、左右の足を密着させた気を付けの姿勢を強いる黒革に閉じ込められた青年の身体は、拘束服の表面に位置する金具達と自身の管理場所に選ばれた狭い部屋の壁や天井にあてがわれた金具を遊び無く結ぶ何十という鎖と南京錠によって背筋を伸ばしたつま先立ちの格好で固められてしまっている。
頭部を振り乱すことも、身をよじらせることも叶わない。周囲の様子を伺うことも許されず、耳の周辺に用意された機構によって音を大きく阻まれている青年は、自分が悶える度に発生している黒革の軋みや鎖同士の擦れ合いを聞くことすらもままならない。
ありとあらゆる選択肢を没収された青年はもう、自分を支配する側に立った憎き敵達の思惑に沿った非情な管理を施されるだけの存在だ。頭部を覆う黒革のマスクの内側に突き出た偽物の男根を用いて口を喉近くまで塞がれ、左右の鼻の穴へとあてがわれたチューブ内を経由した空気でしか呼吸を行えないようにされた無様な青年はもはや、口へと少量ずつ送り込まれる栄養剤と鼻へと流し込まれる空気に混ぜ込まれた淫猥な薬品の効果によって引き起こされた意に染まぬ発情に嬲られながら、快楽を得る行動はおろか快楽が欲しいという願望を誤魔化す為の行動すら取れぬまま為す術無く狂わされるだけの存在でしか無いのだ。
「んっ、んぐっ、もっ、おぼおぉ……っ!!」
これ以上肉体を火照らされたくない。そう考えてみても、食道目掛けて一滴二滴と投下される淫薬混じりの栄養剤と、呼吸の度に体内へと入り込む淫薬入りの空気は拒めない。
お願いだから気持ち良くして下さい。恥を捨てた哀願を唸りに乗せて紡いでも、それは青年一人を詰めた狭い管理室の暗闇に虚しく響くのみだ。
このままでは、快感を欲しがることしか考えられない淫猥その物な生物へと貶められてしまう。自分をこの状況に追いやった敵達はおろか、誰にでも悦びを希求する理性と尊厳を捨てた淫乱へと仕立てられてしまう。
すでにそうなりつつある思考に堕落への恐怖を募らせながら、敵の支配下に置かれた青年は黒革の下で情けなく勃起させられ続けている男根を主張しているかのような身悶えを重ねつつ、外界ではまだ自分がこの生殺しに放置されてから半日程度しか経過していないという絶望も知らぬまま、壊れかけの正気を必死に繋ぎとめていた。
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