BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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男への責め苦は床に縫い付けた上で行われる

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「あぐぅぅぅーっ!! むっ、がぁっ……うぅ、うぐぅぅぅぅ!」

一人の男が、意味の無い唸り声を上げながら必死になってもがいている。自分の裸体を仰向けの状態のまま木製の床に縫い付けている器具を外そうとして、めちゃくちゃに暴れている。
しかし、頑丈な器具は生身の人間が力を込めたくらいでは外れはしない。たくましい筋肉をまとった裸体に全力を込めても、足を身体の真横に伸ばして限界まで開かせたまま閉じられないように足首と膝と太ももを床に固定している黒いアーチ状の器具はビクともせず、足と同じように身体の真横に伸ばさせた腕の手首と肘と二の腕を床に固定している器具も緩まず、腰と胸部と肩と首、そして顔の固定と口枷を兼ねる器具も全く外れる気配を見せない。

裸体を覆い隠す事も出来ず、まともな言葉を発する事も出来ず、仰向けの姿のまま床から離れる事すら出来ない。そんな男は当然、屈辱や悔しさや自分を拘束した者達への怒りを覚えている。
だが、それらの感情は今男が一番強く抱いている感情ではない。男が今一番強く抱いている感情は、哀願の感情だ。

「むぐぅぅ……ふぅ、うぶっ! ぐむぅぅぅ!」

自分を床に縫い付け、置き去りにした者達が残していった無慈悲な責め苦に。左右の乳首にたっぷりと塗布され、無防備な尻穴にたっぷりと注入された痒みを生む薬による拷問に近い責め苦に追い詰められた男は、なりふり構わずに悲鳴を上げて痒む乳首と尻穴を弄ってくれと哀願を繰り返していた。
手で触れない乳首と尻穴を襲う強烈な痒みは、とてもじっとしていられない程に苦しい。だから男はろくに動かせない裸体をじたばたと揺らしてどうにか痒みを紛らわそうとするが、それはただただ体力を消耗し男根をぷるぷると震わせる結果しか生まない。
気が狂いそうな痒みの中で、男は何時間放置されたのだろう。どれだけの時間、乳首と尻穴を責めて欲しいという思いを抱かされ続けたのだろう。
正確な時間は分からないが、男は置き去りにされ完全に反抗心を削り落とされた。その証拠に、男は部屋に戻って来た者達に、拘束される前は鋭い怒りをぶつけていた男達に本心からの懇願を向け、はしたないと思う心さえも捨てて身をくねらせながら乳首と尻穴への刺激をねだっている。

「うぅん……っ! むぅ、ふぶぅぅっ!!」
「ん? どうしたんだ?」
「触って欲しくなっちゃったんだろ? な、刑事さん」
「うぅ、うぐぅぅぅ!!」

もはや男は誇り高き刑事という自分の立場を口にされてもおねだりをやめられない。痒みに追い立てられた思考は刺激を欲しがる事を最優先にし、乳首と尻穴に与えられる悦びを今か今かと待ち侘びている。
すっかり陥落を迎え、憎かったはずの男達におねだりを行う無様な刑事の様子に刑事を拉致した男達は満足そうに笑い、床に拘束した刑事の裸体を取り囲む。

「んじゃ、刑事さんのお望み通りに触ってやろうかね」

ようやく、痒さから解放される。そう思って心の底から安堵する刑事は、涙で霞む視界の向こうで乳首と尻穴ではない場所に男達の手が近付く事に全く気付かず、予想外の残酷な刺激に目を剥きながらくぐもった悲鳴を発した。

「んぎゅふふぅっ!? んぼっ、ほ! おぶふふぅっ! んも、おあぁぁぁっ!!」

脇の下を、足の裏を、太ももの内側を指先で撫でられる事で生まれたくすぐったさによる笑い交じりの悲鳴を。

「ほら、嬉しいかい? 刑事さん」
「愉しそうに声を出してビクビク跳ねて……それだけ悦んでくれたら、俺達もやりがいがあるよ」
「あぶぉぉっ! ふー! ひゅぐふふっ! んもぉ、おぉ、あぶぉぉぉっ!!」

未だ解消されない痒みと、全身を這う指が叩き込むくすぐったさと、息苦しさに嬲られる刑事の鳴き声は無情な男達の耳を愉しませ、それらの苦しさに身悶える刑事の裸体は男達の目を愉しませ、より苛烈な責めの原動力となる。

「あぉぉぉぉーっ!! ぐふ、ぎゅ! ぐほっ、あぐむぅぅぅ!」

泣きながら許しを求めても、鳴き喚きながら救いを求めてもそれは来ず、捕らわれの身となった哀れな刑事の男は男達の良い様に弄ばれ、従順になるよう躾けられるしかなかった。
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