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男達は刑事を甘い地獄に置き去りにする
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街から離れた場所にある人気が無い寂れた港。そこに建つ小さな倉庫の中で、男達が騒いでいる。といっても、その騒ぎは楽しさを感じさせる物ではない。何故なら、十数人の男が一人の男を拘束しようとするが故に生まれている騒ぎだからだ。
「く、そっ! 離せ! やめろぉっ!!」
男は声に焦りを滲ませて叫び、必死になって暴れている。しかし、男の左右の手はすでに茶色のガムテープを厳重に巻き付けられ指一本すら思い通りに動かせない状況へと追いやられている上に、靴を脱がされた足は靴下の上から手と同じようにガムテープをしつこく施され歩く事さえままならなくされてしまった。
もはやこうなっては逃走は絶望的だ。床を這いつくばって移動して、十数人の男から逃げ切れる訳は無い。
けれど、せめて何もかもを思い通りにはされたくなくて、更なる拘束を大人しく受け入れる行為はプライドが許さなくて、男は滅茶苦茶に顔を振って頭部に被せられる麻袋を拒んでいた。
「いい加減にあきらめろよ、刑事さん」
「そうそう、どんなに嫌がっても、この人数には勝てっこねーんだからな」
「う、あ、ぁ……!」
振り回されていた刑事の顔が男達の手で掴まれ、動きを封じられる。
余りに強く、それもあらゆる角度から固定された顔は口を開いた麻袋がゆっくりと頭上から迫ってきても距離を取れず、隠し切れない恐怖の表情を見せる刑事の顔は抵抗虚しく麻袋に覆われ、袋の口は首の位置でしっかりと閉じられてしまった。
「良い恰好だぜ? ついでに、こいつも付けてやるよ。幾らここに人がいなくても騒がれると面倒だしな」
「むぐ!? んむ、うぐぅぅぅ!!」
「ほい、完成。潜入刑事の拘束仕立てだ」
「よく似合ってんな、無様さが堪んねーぜ」
両手両足をテープに縛り上げられ、麻袋と麻袋ごしに装着された布の猿轡に口の自由を奪われ、埃がうっすら積もった倉庫の床の上に転がる刑事の男を囲んで見下ろしながら男達が愉快そうに笑い声を上げる。
犯罪組織に潜り込んだ刑事を捕らえ、勝ち誇っている男達の様子は刑事の男の悔しさと屈辱を味わわせる。
だが、刑事の男は悔しさと屈辱に塗れながらも勝ちを確信していた。もうすでにこの倉庫で今夜に行われる取引の情報は仲間に伝えている。捕らえた自分を取引相手の前でいたぶって愉しむつもりだとしても、取引相手の前で命を奪うつもりだとしても、倉庫に集まった仲間達に犯罪者達が一網打尽にされる結果は変わらない。
せいぜい、無様な自分を見て今のうちに勝ち誇れば良い。無抵抗の刑事を辱めるなら辱めれば良い。そう刑事は考えていた。
「んじゃ、仕上げに取り掛かろうぜ」
「ほら、立てよ!」
「うむっ、ぐぅぅ……!」
床に寝転がっていた刑事を立ち上がらせると、男達は刑事を不自由な足で移動させ倉庫の丸い柱を背にした状態で立たせると、両手を頭上高くに持ち上げさせて柱にテープで括り付け、つま先立ちに近い状態で手を下ろす事も柱から離れる事も座る事すらも許さない状況を作り出した。
「ふうぅ……うぐぅぅ……!」
文字通り、手も足も出ない。何をされても抗えない。
あらゆる苦悶と恥辱を覚悟し、もがきもせずに呼吸を繰り返す刑事。そんな刑事を黒い笑顔で眺めていた男達は、ある行動を取り始めた。
それは、刑事が想像もしていなかった行動。倉庫からの撤収だ。
「刑事さん、じゃあねー」
「もう会わないとは思うけど、元気でな」
「んむっ……!? う、ぐぅぅ!?」
滅茶苦茶に凌辱を加えられなくて済んだなどという感情は欠片も浮かばない不穏な別れの言葉を聞き、刑事は困惑と恐れが混じり合った唸りを男達に向ける。
「大丈夫だよ、刑事さん。一人きりでも寂しくないようにって思ってこの麻袋を被せてあげたんだから、きっと夜にお仲間さんが来るまで退屈しなくて済むよ」
「ま、退屈するしない以前に、正気が保っていられるかどうか分かんねーけどな!」
「む、ぶぅぅ……!?」
刑事には、男達の言葉の意味は分からない。
刑事の正体を見抜いた上で嘘の取引場所を仲間に伝えるよう仕向けた事実も、今被せられている麻袋には遅効性の強力な媚薬が染み込ませてある事実も、分かる訳が無い。
「夜までは長いから、おかしくなっちまわないようにしっかりと気を張っておけよ?」
「おかしくなっちまった方が、仲間に情けない姿を見られなくていいかも知れないけどな」
「そんじゃ刑事さん。さよなら」
「う! うむぅぅ! ぐふぅぅぅぅぅ……っ!」
無我夢中に叫んで呼びとめようとする刑事を無視して倉庫の扉を閉めた男達は、唾液や汗で湿り効果を発揮した媚薬に発情を促された刑事の男が拘束された肉体を淫らに躍らせる様子を想像し、惨めに唸りながら身をよじって快感をねだる刑事を見つけた刑事の仲間達が驚愕する光景を空想しながら、刑事を倉庫に置き去りにして本当の取引場所への移動を始める。
「んっ、んむっ! う、ぐぅ……むぅぅぅぅぅーっ!!」
憐れな刑事は程無くして自分に訪れる気が狂わんばかりの発情地獄を知る由も無く、正体不明の恐怖に怯えてもがき、緩む気配の無いテープの拘束をぎちぎちと軋ませていた。
「く、そっ! 離せ! やめろぉっ!!」
男は声に焦りを滲ませて叫び、必死になって暴れている。しかし、男の左右の手はすでに茶色のガムテープを厳重に巻き付けられ指一本すら思い通りに動かせない状況へと追いやられている上に、靴を脱がされた足は靴下の上から手と同じようにガムテープをしつこく施され歩く事さえままならなくされてしまった。
もはやこうなっては逃走は絶望的だ。床を這いつくばって移動して、十数人の男から逃げ切れる訳は無い。
けれど、せめて何もかもを思い通りにはされたくなくて、更なる拘束を大人しく受け入れる行為はプライドが許さなくて、男は滅茶苦茶に顔を振って頭部に被せられる麻袋を拒んでいた。
「いい加減にあきらめろよ、刑事さん」
「そうそう、どんなに嫌がっても、この人数には勝てっこねーんだからな」
「う、あ、ぁ……!」
振り回されていた刑事の顔が男達の手で掴まれ、動きを封じられる。
余りに強く、それもあらゆる角度から固定された顔は口を開いた麻袋がゆっくりと頭上から迫ってきても距離を取れず、隠し切れない恐怖の表情を見せる刑事の顔は抵抗虚しく麻袋に覆われ、袋の口は首の位置でしっかりと閉じられてしまった。
「良い恰好だぜ? ついでに、こいつも付けてやるよ。幾らここに人がいなくても騒がれると面倒だしな」
「むぐ!? んむ、うぐぅぅぅ!!」
「ほい、完成。潜入刑事の拘束仕立てだ」
「よく似合ってんな、無様さが堪んねーぜ」
両手両足をテープに縛り上げられ、麻袋と麻袋ごしに装着された布の猿轡に口の自由を奪われ、埃がうっすら積もった倉庫の床の上に転がる刑事の男を囲んで見下ろしながら男達が愉快そうに笑い声を上げる。
犯罪組織に潜り込んだ刑事を捕らえ、勝ち誇っている男達の様子は刑事の男の悔しさと屈辱を味わわせる。
だが、刑事の男は悔しさと屈辱に塗れながらも勝ちを確信していた。もうすでにこの倉庫で今夜に行われる取引の情報は仲間に伝えている。捕らえた自分を取引相手の前でいたぶって愉しむつもりだとしても、取引相手の前で命を奪うつもりだとしても、倉庫に集まった仲間達に犯罪者達が一網打尽にされる結果は変わらない。
せいぜい、無様な自分を見て今のうちに勝ち誇れば良い。無抵抗の刑事を辱めるなら辱めれば良い。そう刑事は考えていた。
「んじゃ、仕上げに取り掛かろうぜ」
「ほら、立てよ!」
「うむっ、ぐぅぅ……!」
床に寝転がっていた刑事を立ち上がらせると、男達は刑事を不自由な足で移動させ倉庫の丸い柱を背にした状態で立たせると、両手を頭上高くに持ち上げさせて柱にテープで括り付け、つま先立ちに近い状態で手を下ろす事も柱から離れる事も座る事すらも許さない状況を作り出した。
「ふうぅ……うぐぅぅ……!」
文字通り、手も足も出ない。何をされても抗えない。
あらゆる苦悶と恥辱を覚悟し、もがきもせずに呼吸を繰り返す刑事。そんな刑事を黒い笑顔で眺めていた男達は、ある行動を取り始めた。
それは、刑事が想像もしていなかった行動。倉庫からの撤収だ。
「刑事さん、じゃあねー」
「もう会わないとは思うけど、元気でな」
「んむっ……!? う、ぐぅぅ!?」
滅茶苦茶に凌辱を加えられなくて済んだなどという感情は欠片も浮かばない不穏な別れの言葉を聞き、刑事は困惑と恐れが混じり合った唸りを男達に向ける。
「大丈夫だよ、刑事さん。一人きりでも寂しくないようにって思ってこの麻袋を被せてあげたんだから、きっと夜にお仲間さんが来るまで退屈しなくて済むよ」
「ま、退屈するしない以前に、正気が保っていられるかどうか分かんねーけどな!」
「む、ぶぅぅ……!?」
刑事には、男達の言葉の意味は分からない。
刑事の正体を見抜いた上で嘘の取引場所を仲間に伝えるよう仕向けた事実も、今被せられている麻袋には遅効性の強力な媚薬が染み込ませてある事実も、分かる訳が無い。
「夜までは長いから、おかしくなっちまわないようにしっかりと気を張っておけよ?」
「おかしくなっちまった方が、仲間に情けない姿を見られなくていいかも知れないけどな」
「そんじゃ刑事さん。さよなら」
「う! うむぅぅ! ぐふぅぅぅぅぅ……っ!」
無我夢中に叫んで呼びとめようとする刑事を無視して倉庫の扉を閉めた男達は、唾液や汗で湿り効果を発揮した媚薬に発情を促された刑事の男が拘束された肉体を淫らに躍らせる様子を想像し、惨めに唸りながら身をよじって快感をねだる刑事を見つけた刑事の仲間達が驚愕する光景を空想しながら、刑事を倉庫に置き去りにして本当の取引場所への移動を始める。
「んっ、んむっ! う、ぐぅ……むぅぅぅぅぅーっ!!」
憐れな刑事は程無くして自分に訪れる気が狂わんばかりの発情地獄を知る由も無く、正体不明の恐怖に怯えてもがき、緩む気配の無いテープの拘束をぎちぎちと軋ませていた。
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