BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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哀れな二人は更なる地獄も知らぬまま小箱の上で男根を揺らめかせる

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容赦無く滴り続けていた薬品に仲良く蝕まれた二本の男根はもう、異常という言葉すらも生温い程に掻き立てられた欲望から抜け出せなどしない。触れた箇所に強烈な疼きと火照りをもたらしつつ、感度を無慈悲なまでに増幅させる。そんな淫薬を亀頭目掛けて延々と垂らされ続けた哀れな男根達は、常軌を逸した勃起という変化を促された自身を間抜けに脈動させながら欲を鎮める刺激を持ち主にねだるだけの物体へと貶められてしまっている。
だが、己の男根が必死に喚く快楽のおねだりに応えたくても男達は応えられない。今すぐに男根を手で包み体力の続く限りに摩擦して絶頂を幾度となく迎えたいという願望とは裏腹に、二人は疼きに疼いている自身の男根を慰められはしない。それどころか、男達は気が狂わんばかりに肥大化させられた欲望を誤魔化すことを目的とした獣のような咆哮を上げることすらも認められてはいない。
見ることとしゃべることを禁じる。手足の自由を奪う。それどころか、男根以外の部分の肉体を意識と共に小箱へと封じ、ありとあらゆる行動と意思表示を不可能にさせる。そんな残酷で悪趣味な拘束に囚われた無様な男達はもう、自身を閉じ込めた箱の内側にしか響かない助けてを虚しく叫びながら男根を嬲る淫らな衝動に悶え苦しめられることしか出来ない。
お互いの裸体と意識を内部に詰めた小箱同士を金具で接続され、背中合わせのような状態を取らされた男根同士を数箇所に分けて黒いベルトで一つに括られた惨めな男達はもはや、すでに落下が終わってから気が遠くなるような時が過ぎているというのに鎮まるどころか強まっていく淫薬由来の火照りに男根を震わせながら生殺しを味わわされるだけの滑稽極まりない存在でしか無いのだ。
仮に箱の内側のみに鳴り響いている絶叫が表に出ていたなら、箱詰めの二人が置かれた部屋は淫蕩な悲鳴に満たされていたことだろう。密着させられた男根同士が無自覚に跳ねる度に生まれるもどかしいだけの刺激で自身と仲間を余計に追い詰めている男達の声が聞こえる状態にあったなら、二人を捕らえた男が所有する邸宅の一室は地獄を彷彿とさせる騒音に支配されていたことだろう。
しかし、今の男達が箱の外で鳴らせる音は男根同士を一つに繋ぐベルトが軋む音と、男根から分泌した淫蜜が滴る粘ついた水音程度しか無い。その箱の中の苦悶を欠片も感じさせない静かな部屋へと帰還した残忍な男は、支配下に置いた二人の男根が分かりやすく悶絶を披露している様を悠然と嘲笑いつつ、二人に聞こえていないことを承知で更なる責め苦を嬉々として宣言した。

「刑事さん達、ただいま。今すぐ空っぽになったタンクを交換して、またお薬をおチ○チン達に垂らしてあげるからね。今度のお薬はさっきよりも強力な奴だから、頭がおかしくなるぐらいエッチに苦しめるよ。良かったね、二人共」

二つの小箱の真上に用意した淫薬を無防備な男根目掛けて一滴ずつ垂らす機構の蓋を開け、空となったタンクをより非道な薬品で満たしたタンクに交換しながら、刑事達を捕獲し淫獄に閉じ込めた悪の男が黒い笑顔で冷酷に言い放つ。
自身が部下に命じて作り上げた狂った拘束を生み出す箱には、精神の崩壊を防ぐ機能も搭載されている。それをはっきりと理解した上で無縁な発狂に言及しながら、悪を束ねる男が自分だけの娯楽となった刑事達の男根に一層強烈な淫薬を用いた拷問を注ぐ準備を整えていく。
そのあまりにも無慈悲な展開に気付き、絶望することさえ叶わない立場に追いやられた哀れな刑事達は何も知らぬ心から紡いだ助けてを自身がいる箱の内部に響き渡らせながら、二本の男根を慈悲をねだるかのように嬉々として準備を進める悪の男の眼前でぷるぷると揺らめかせていた。
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