BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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甘い仕置きは無意味な足掻きの果てに叩き込まれる

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「んっ……ふぅ、うぐうぅ」

幾ら歯を立てようが、それは容易に噛み千切れる物ではない。仮に努力を重ねた結果として噛み千切ることに成功したとしても、四肢を縛められている状況では脱出は不可能に近いと言わざるを得ない。
しかし、男は諦めること無く口を酷使し首輪と地下室の柱を繋ぐ縄をどうにかして無力化しようと試み続けていた。何故なら、それ以外に自分を危機から救う手段は無いという事実を男は思い知らされてしまっているからだ。

「ふぅ、んぐっ、うぅっ」

男根を除く首から下を隙間無く包み、両手両足に折り畳んだ形を強要する黒色をした醜悪な拘束服をぎちぎちと軋ませながら、男が縄に歯を立て続ける。拘束服に取り付けられている黒い犬の尻尾飾りと繋がっている内側に突き出た男根型の器具が尻穴のより深い位置へと潜り込んでくることもいとわずに床へと腰を下ろした男が、口元を唾液で汚しつつ一生懸命に縄との格闘を繰り返している。
四肢の使用を禁じ、尻穴を絶えず辱める。そんな悪趣味な拘束に裸体の大部分を閉じ込められた男は、希望を信じ逃走に向けた足掻きを積み重ねていた。縄を噛む度に走る歯茎への負担と、離れた場所で発生したその衝撃すらも腸壁への加虐に変換する太く長い偽の男根の甘い攻撃に嬲られながら、男は情けなく勃起させられた男根を揺らめかせつつ己が置かれた状況を少しでも好転させようと試行錯誤していた。
だが、どんなに手を尽くしても状況は変わらない。頑丈な縄は歯の攻撃を一切受け付けず、首輪と柱を結わえる縄が解けたとしても外部から施錠された地下室の扉の通過を困難にさせている拘束服も緩む気配を見せない。
その八方塞がりの状況で諦め悪くもがいていた男の努力は誰が見ても全てが無意味で、そんな無意味な行動を完全に予見していた残酷な男は滑稽なまでの徒労を監視カメラ越しに披露していた無様な男がいる地下室へと訪れながら、絶望に表情を歪め思わず脱力した口から縄を取り落とした悪いペットに罰と称した責め苦を満面の笑みで宣言してしまった。

「ワンちゃん、良い子にしてなさいって言ったでしょう? 縄もこんなにびしょびしょに汚して……全く、悪い子にはお仕置きが必要だね」
「い、嫌だ! 嫌だぁぁぁっ!!」

伸ばせぬ手足をバタバタと振りながら、仕置きを拒絶する絶叫を男が放つ。恐怖に染まった声音で鳴き喚きながら、男が自分との距離を詰めてくる冷酷な主を心から拒む。
無論、主の男がそれを聞き入れる道理は無い。これまで毎日躾けられているというのに、朝晩の食事に混ぜている媚薬の効果で思考と理性を絶えず蝕まれているというのにまだまだ屈辱と恥辱に満ちた生活から抜け出せると思っている気丈なペットへと足を運ぶ主は、最高に育て甲斐のあるペットが紡ぐ耳に心地良い鳴き声を味わいつつ上着の右ポケットから仕置きの為に用意した器具を取り出すとその取り出された物体の正体を察し絶句する愉快なペットを満喫しながら、犬の頭部を模したマスクを抗えぬ男の頭部にすっぽりと被せてしまった。

「あぁっ! あぉ、うあおぉ!」

マスクと一体化している輪状の金具を装着された男の口は、その金具を隠す役割も兼ねている犬の尖った口に似せた部品越しにこもった唸りを放つことしか出来なくされた。マスクの大部分を構成する黒い素材に覆われた男の目は、さっきまでのように周囲の様子を伺うことを不可能にされ恥を捨てた哀願の眼差しを寄せることも叶わない状態へと置かれてしまった。
犬に寄せた尖った口の内側で間抜けに吠える男。頭頂部を彩る犬の耳の飾りと共に頭部を振り乱しながら、視界と言葉を封じる駄目押しの拘束を嫌がり振り払おうとする男。そんな惨めその物な自分だけのペットの姿に興奮を募らせつつ床に座り込んでいた男の肉体に犬らしい四つん這いの格好を取らせた主の男は、左手で尻尾を掴み右手で丸出しの男根を握った自分の意図に気付いてマスクを視認した時よりも絶望の濃い絶句を見せるペットに口角を吊り上げながら、容赦の無い快楽を用いた甘く苦しい罰を嬉々として叩き込み始めた。

「ほぉっ!? あぉ、うあおぉぉっ!!」
「何度も何度も似たような理由でお仕置きされてるのに、君は本当に懲りないねぇ。こうなったら、ずっとそのマスクを付けて、今の四つん這いの体勢を崩せないくらいに狭い檻にいつも閉じ込めて、お尻とおチ○チンを玩具で休まずに気持ち良く苛めてあげようか? そうすれば、ワンちゃんもしっかり諦められるでしょう? どうだい?」
「うぁっ、おぉ! はぉぉぉぉーっ!!」

無慈悲に語られる加虐の計画に戦慄し、これまでの調教がまだ有情な物だったと誤認させられながら限界に達して絶頂する男の痴態を満喫しつつ、飼い主の座に君臨した男は尻尾を掴んだ左手を更に激しく上下左右へと動かし、男根を握った右手を射精を迎えている最中であることなどお構い無しで上下に往復させ、逆らえぬ男にペットとしての自覚と淫蕩な被虐への恐怖と屈服を昨日よりも深く、多く、刻み付けていくのだった。
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