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第三章
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「こいつショーマの知り合い?」
「いいから離せ」
「ダメだな。俺たちが先に始めたんだ」
男達と会話をしているときも変わらない表情でじっと俺を見下ろしてくる吉岡。学園で見てきた吉岡と違って髪の毛は崩されているし服も制服じゃないが、この状況下での見知った顔がいることで俺は少し気が緩んでしまっていたかもしれない。
「……しおか、……吉岡」
涙がどんどんと流れて止まらない。本当は怖かった。本当に怖かった。もしかしたら助かるかもしれないと思っていてもどこかでやっぱり無理だとも思っていた。
「泣いちゃった。健気に名前読んでさ、かわいいのね、ショーマの……何? ツレ?」
「俺の女」
「ハハッ! マジ? キモッ」
俺にはもう男達の会話は聞こえなくて、ただ目の前にいる吉岡にここから助け出して欲しかった。ずっと捕まっていた手首はしびれ始めているし、暗い部屋の中は俺の意識を混濁させるだけだ。これ以上こんなところにはいたくない。手を伸ばそうにも伸ばすことも出来なくて泣きながら吉岡を呼んだ。
「ショーマの女ねぇ。しょうがねぇな。じゃーこいつのチンコで我慢しとくわ」
俺に跨っていた男が消え、そしてリツも俺の手を離した。力の入らない俺はやっと自由になれた両手を精一杯伸ばした。
「本当にチンコ好きだなアイツ」やら「きったねぇ。チンポ舐めてよく興奮できるな」など周りがうるさくなるがそんなものはどうでもよくて吉岡しか目に入らなかった。
「助けて吉岡、吉岡」
「うん、ごめん。あとちょっと我慢して」
未だ倒れている俺に今度は吉岡が被さってきた。
今しがた解かれたばかりの両腕を今度は吉岡がマットに縫い付ける。それはリツよりも優しい手つきだったがそんなことより助けてくれない吉岡に驚いて眼を見開いた。
「ごめん、佐野さん。もう少しだから。そしたら終わるから」
子供を宥めるように聞いたこともないような優しい声色、柔らかい口調で囁かれた。
安心が出てきた俺は泣きじゃくりながら吉岡の名前を呼んだ。それもつかの間、さっきまで跨っていた男は俺の腿の辺りで落ち着き、ベルトに手をかけてすばやい動作で俺のデニムと下着をずり下ろした。
空気に晒されて寒いからじゃなく、誰かと温泉に入るわけでもないのに局部を晒すことに驚いて顔だけを上げた。
「あー縮んでんねぇ。毛ぇ薄っ」
吉岡がジョウジと呼んだ男は楽しそうに縮まってしまった俺のペニスに息をふーっと吹きかけた。言いようのない気味の悪さに全身があわ立つ。
「……あーたまんねぇ、この匂い……」
うっとりと吐息混じりに囁かれた。
直に鼻を付けながらにおいを嗅がれ、信じられない思いでジョウジを見ていれば、やつは目が合うなりニヤリと目を細めて舌先で撫でるようにペニスを舐め上げた。
「やっやめっ……」
拘束されていない体をこれでもかと動かして抵抗する。ぼよぼよと揺れるのはマットだけで吉岡もジョウジも涼しい顔で俺を押さえていた。
助けてくれると思った。だから名前を呼んだ。吉岡だってやめろって言ってくれたのに。
なんでお前は俺がこんなことになっているのに助けもせず、何故俺を押さえつけているんだ。
「……よしおか」
「ごめん。ごめんね、少しだけだから。もう少し我慢して。お願いだから」
何の我慢で何のお願いだ。もう我慢なんてしたくない。それにお願いは俺のほうだ。お願いだから早く腕を離してくれ、ここから出してくれ。
ペロペロと舐めるだけだったジョウジは俺の反応が薄いからかペニスを口に含み、ねっとりと口の中で転がし始めた。怖さと恥ずかしさで小さくなっていたそれは全部を口の中へと含まれてしまった。初めて味わう、暖かくうねるその舌使いに思わず内股にぎゅっと力が入った。
気持ち悪いのに。こんなでかい体のスキンヘッドで眉毛もほとんどないような不気味な男相手に気持ち悪いのに。
先端やくびれを丁寧に舐められ、心とは反対に中心がじんわりと熱を帯びてくる。
「……ち、ちがうっ……吉岡、吉岡っ……」
何が違って、何を吉岡に悟られたくないのかも分からなくなってくる。俺を見下ろす吉岡に、ただ涙を流しながらゆるゆると首を横に振った。
すがるように吉岡を見ていると吉岡が顔を近づけてきた。暗い部屋の中、横から照られた青い照明が吉岡の眼鏡のフレームを一瞬鋭く光らせ、俺は自然と目を閉じた。
キスされると分かったから眼を閉じたのだろうが、眩しかったから眼を閉じたことにした。重なる唇が温かくて薄く口を開いた。するりと吉岡の舌が割って入り、ゆっくりと歯茎をなぞる。上顎を擽られて声が漏れた。
「わー珍しい。ショーマの女っての、本当なのか」
「おい、誰か動画取れや」
「しかしジョウジが気持ち悪すぎるわ」
行為が始まってから今まで静かだった吉岡の背中の向こうがまた騒がしくなったが、俺の耳にはもう届かなかった。
大きくなってしまったペニスは唾液をたっぷりと絡め、じゅぷじゅぷと卑猥な水音を立ててしゃぶられていて気持ち良さしか感じられなくなっていた。そもそも吉岡がキスしてきたせいですでに俺の頭はショートしていたに違いない。吉岡の舌に応じるように舌を出していたのだから。
自然に揺れ動く腰。少しだけあった羞恥も射精前にはどこかに消え去ってしまっていて。
「はっ、……ん、はぁっ……」
息が荒くなって射精を待つ。息苦しいのに吉岡はキスを止めない。
俺がイきそうなのが分かるのか、ジョウジは舌を裏筋につけて顔を動かす。手での扱きも一定のリズムではあるが少し力強くなった。
「……あ、……はっ、や、め……ああっ」
イく。
言葉は吉岡の唇に吸い取られ、びくびくと体を震わせながらジョウジの口内に白濁を出した。最後の一滴を搾るようゆっくりと吸い上げられ、萎えるまでジョウジは俺のペニスを口に含んでいた。
やっと離れた吉岡は肩で息をする俺を覗き込んで「ごめん、終わったから」と何事もなかったかのように言うので「うるせーバカ」と言い返したが、思っていた以上に行為が負担だったのか声が掠れていて吉岡には届かなかった。
「いいから離せ」
「ダメだな。俺たちが先に始めたんだ」
男達と会話をしているときも変わらない表情でじっと俺を見下ろしてくる吉岡。学園で見てきた吉岡と違って髪の毛は崩されているし服も制服じゃないが、この状況下での見知った顔がいることで俺は少し気が緩んでしまっていたかもしれない。
「……しおか、……吉岡」
涙がどんどんと流れて止まらない。本当は怖かった。本当に怖かった。もしかしたら助かるかもしれないと思っていてもどこかでやっぱり無理だとも思っていた。
「泣いちゃった。健気に名前読んでさ、かわいいのね、ショーマの……何? ツレ?」
「俺の女」
「ハハッ! マジ? キモッ」
俺にはもう男達の会話は聞こえなくて、ただ目の前にいる吉岡にここから助け出して欲しかった。ずっと捕まっていた手首はしびれ始めているし、暗い部屋の中は俺の意識を混濁させるだけだ。これ以上こんなところにはいたくない。手を伸ばそうにも伸ばすことも出来なくて泣きながら吉岡を呼んだ。
「ショーマの女ねぇ。しょうがねぇな。じゃーこいつのチンコで我慢しとくわ」
俺に跨っていた男が消え、そしてリツも俺の手を離した。力の入らない俺はやっと自由になれた両手を精一杯伸ばした。
「本当にチンコ好きだなアイツ」やら「きったねぇ。チンポ舐めてよく興奮できるな」など周りがうるさくなるがそんなものはどうでもよくて吉岡しか目に入らなかった。
「助けて吉岡、吉岡」
「うん、ごめん。あとちょっと我慢して」
未だ倒れている俺に今度は吉岡が被さってきた。
今しがた解かれたばかりの両腕を今度は吉岡がマットに縫い付ける。それはリツよりも優しい手つきだったがそんなことより助けてくれない吉岡に驚いて眼を見開いた。
「ごめん、佐野さん。もう少しだから。そしたら終わるから」
子供を宥めるように聞いたこともないような優しい声色、柔らかい口調で囁かれた。
安心が出てきた俺は泣きじゃくりながら吉岡の名前を呼んだ。それもつかの間、さっきまで跨っていた男は俺の腿の辺りで落ち着き、ベルトに手をかけてすばやい動作で俺のデニムと下着をずり下ろした。
空気に晒されて寒いからじゃなく、誰かと温泉に入るわけでもないのに局部を晒すことに驚いて顔だけを上げた。
「あー縮んでんねぇ。毛ぇ薄っ」
吉岡がジョウジと呼んだ男は楽しそうに縮まってしまった俺のペニスに息をふーっと吹きかけた。言いようのない気味の悪さに全身があわ立つ。
「……あーたまんねぇ、この匂い……」
うっとりと吐息混じりに囁かれた。
直に鼻を付けながらにおいを嗅がれ、信じられない思いでジョウジを見ていれば、やつは目が合うなりニヤリと目を細めて舌先で撫でるようにペニスを舐め上げた。
「やっやめっ……」
拘束されていない体をこれでもかと動かして抵抗する。ぼよぼよと揺れるのはマットだけで吉岡もジョウジも涼しい顔で俺を押さえていた。
助けてくれると思った。だから名前を呼んだ。吉岡だってやめろって言ってくれたのに。
なんでお前は俺がこんなことになっているのに助けもせず、何故俺を押さえつけているんだ。
「……よしおか」
「ごめん。ごめんね、少しだけだから。もう少し我慢して。お願いだから」
何の我慢で何のお願いだ。もう我慢なんてしたくない。それにお願いは俺のほうだ。お願いだから早く腕を離してくれ、ここから出してくれ。
ペロペロと舐めるだけだったジョウジは俺の反応が薄いからかペニスを口に含み、ねっとりと口の中で転がし始めた。怖さと恥ずかしさで小さくなっていたそれは全部を口の中へと含まれてしまった。初めて味わう、暖かくうねるその舌使いに思わず内股にぎゅっと力が入った。
気持ち悪いのに。こんなでかい体のスキンヘッドで眉毛もほとんどないような不気味な男相手に気持ち悪いのに。
先端やくびれを丁寧に舐められ、心とは反対に中心がじんわりと熱を帯びてくる。
「……ち、ちがうっ……吉岡、吉岡っ……」
何が違って、何を吉岡に悟られたくないのかも分からなくなってくる。俺を見下ろす吉岡に、ただ涙を流しながらゆるゆると首を横に振った。
すがるように吉岡を見ていると吉岡が顔を近づけてきた。暗い部屋の中、横から照られた青い照明が吉岡の眼鏡のフレームを一瞬鋭く光らせ、俺は自然と目を閉じた。
キスされると分かったから眼を閉じたのだろうが、眩しかったから眼を閉じたことにした。重なる唇が温かくて薄く口を開いた。するりと吉岡の舌が割って入り、ゆっくりと歯茎をなぞる。上顎を擽られて声が漏れた。
「わー珍しい。ショーマの女っての、本当なのか」
「おい、誰か動画取れや」
「しかしジョウジが気持ち悪すぎるわ」
行為が始まってから今まで静かだった吉岡の背中の向こうがまた騒がしくなったが、俺の耳にはもう届かなかった。
大きくなってしまったペニスは唾液をたっぷりと絡め、じゅぷじゅぷと卑猥な水音を立ててしゃぶられていて気持ち良さしか感じられなくなっていた。そもそも吉岡がキスしてきたせいですでに俺の頭はショートしていたに違いない。吉岡の舌に応じるように舌を出していたのだから。
自然に揺れ動く腰。少しだけあった羞恥も射精前にはどこかに消え去ってしまっていて。
「はっ、……ん、はぁっ……」
息が荒くなって射精を待つ。息苦しいのに吉岡はキスを止めない。
俺がイきそうなのが分かるのか、ジョウジは舌を裏筋につけて顔を動かす。手での扱きも一定のリズムではあるが少し力強くなった。
「……あ、……はっ、や、め……ああっ」
イく。
言葉は吉岡の唇に吸い取られ、びくびくと体を震わせながらジョウジの口内に白濁を出した。最後の一滴を搾るようゆっくりと吸い上げられ、萎えるまでジョウジは俺のペニスを口に含んでいた。
やっと離れた吉岡は肩で息をする俺を覗き込んで「ごめん、終わったから」と何事もなかったかのように言うので「うるせーバカ」と言い返したが、思っていた以上に行為が負担だったのか声が掠れていて吉岡には届かなかった。
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