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第4章

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そんなこんなで行われた豊穣の女神はーーーエルフリーデ先輩が選出された。ゲーム的にも順当な結果だ。

じゃあ私が出る必要なくない?とも思うし、そりゃぽっと出て選ばれるわけないよな、とも冷静に思う。だってクライブ殿下の秘書として認識されている程度の私の名前を知っている学生も少ないのだし、普通に考えて容姿も品格も家柄も女神になるには足りないのだから。元々モブだしね。

それでもどうにか終わってほっとした今、考えることはエルフリーデ先輩が攻略対象として選んだ相手が誰か、だ。
クライブ殿下ルートでもロランさんルートでも(友達情報で)豊穣の女神に選ばれた直後にイベントが起こる。学内の一大イベントなことを考えれば、他の攻略対象のルートでもイベントがあるのは当然だろう。
クライブ殿下とは出会いのイベントがあったし、さっきはロランさんルートの悪役令嬢から守られるイベントがあった。どちらのルートにも可能性があるし、私が知らないところで知らないイベントが起こっていればそのルートもあり得るのだから、気を抜かずに先輩の周辺に気を配る必要があった。

「先輩、そろそろ殿下のご挨拶の時間です。私たちも移動しましょう」

「そうね。あぁ、リディアは殿下にエスコートしてもらうのだから絶対に遅れてはダメね。ふふっ」

「ーーーそうですね」

なのに、私にはもっと緊急の任務があるのだ。しかも史上最大に気が重い。

「そんな顔しないで。殿下のことだから経験も豊富だし、きちんとエスコートしてくださるわ」

「そんな気軽に言わないでください!って言うか、エルフリーデ先輩が変わってくれてもいいんですよ?」

「あら、いやよ。それに私学園ではどなたにもエスコートはしてもらわないって決めているんだもの」

八つ当たり気味に愚痴をこぼしていた筈があり得ない言葉に動きが止まる。

「せせせせ先輩!?エスコートですよ?だって半年後には卒業パーティだってあるんですから、エスコートなしなんて無理じゃないですか!」

相手が誰であれ好感度がどうであれ、ヒロインが選んだ攻略対象にエスコートされて登場することで卒業パーティは始まる。そしてエンディングに繋がるのだ。
女神に選ばれた今、誰とどんなイベントを迎えてもエンディングに繋がる卒業パーティに一緒に参加しないなんて。そしたら、どんな結末になるのか想像もつかない。
思いもよらない可能性に慌てる私に、先輩は気品高く微笑んだ。


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