110 / 157
第6章「宗教都市イリス」
第4話「確かな成長」
しおりを挟むレスト共和国に入ってからは、モンスターの生態が変わった。
ヴェル周辺のモンスターは、基本単体かつがい程度で、キラーヘッドみたいなモンスター以外は、一度の戦闘で戦う数は少ない。
だけど、ここでは群れるタイプのモンスターが多い。
一度に平均10体程度、多い時にはその数倍の数が出てくる。
数が多い代わりに、ヴェル周辺のモンスターと比べると個々の戦闘力は低い。
とはいえ、数が多いのは厄介だ。一体一体が弱くても、何体も同時に襲い掛かってこられれば、それは脅威になりえるからだ。
僕らの前には大量のモンスターの死骸が転がっている。
戦闘で倒したブラウンジャッカルが10数体。
倒したブラウンジャッカルの毛皮を剥がす作業をしていると、血の匂いに釣られたのか、ハイエナカラスと呼ばれる死骸を横取りして掻っ攫う体長1m程の黒い体毛で覆われた鳥型モンスターが次第に集まり、グリーンリザードと呼ばれる大きなトカゲや、レッドウルフと呼ばれるブラウンジャッカルよりも一回り大きなサイズの狼型のモンスター等が次々と押し寄せて来た。合計で100は超えるであろう数だ。
ただ、数は多かったけど、まともにこちらへ攻撃を仕掛けようとしたのはレッドウルフくらいで、他はどれも死骸の肉をつついたり、銜えてそのまま逃げ去ったりと戦闘する意思が感じられなかった。
後になって分かった事だけど、ハイエナカラスが集まり出したら、集まったハイエナカラスを見て他のモンスターもお零れにあずかろうと寄ってくるのですぐに逃げるのが鉄則らしい。
そんな事を知るわけもなく、僕らは必死に戦い、何とか全てのモンスターを追っ払う事に成功した。
気付けば、辺りはむせ返るような血の匂いが充満している。
馬車に乗る分だけ素材を剥ぎ、残りは捨てていった。
「もう次からは無視して行きましょう」
うんざりしたような顔をしたサラの言葉に、僕達は頷いた。
どれだけ戦っていたか分からないけど、この先もずっとこの調子でいくのは流石に厳しいものがある。
幸いにして、ほとんどのモンスターは死骸にしか興味を持っていなかったようだし、死骸を放置していけば逃げ切るのは容易だと思う。
実際にこの判断は正しかった。その後の戦闘では、死骸を置いて去っていく僕らの横をすり抜けていくモンスター達は、僕らに興味を示さずに一目散に死骸へと向かい、そして死骸の肉を取り合っていた。
☆ ☆ ☆
レスト共和国に入ってから5日が経った。
モンスターの襲撃は一度会うと大量に沸くけど、2日に1度程度で今の所3回しか遭遇していない。
なので、馬車を止めて休む間はトレーニングや、アリアに剣を教えてもらっていたりする。素振りを見て貰い、軽い打ち合い。
「最近のエルクは基礎がしっかりしてきている。今なら『混沌』を使わなくても、リンと良い勝負が出来ると思う」
不意に、アリアがそんな事を口走った。
「ははっ。アリア流石にそれはほめ過ぎだよ」
うん。流石にリンと良い勝負が出来るなんて思わない。
何年も練習してきたリンと剣を握ってまだ数カ月の僕とでは、積み重ねてきたものが違うんだから。
「エルク。リンとやるです」
リンは、アリアの言葉は捨て置けなかったようだ。
リンは適当に落ちてる木の棒を二つ拾い、同じくらいの長さに合わせて斬り、片方を僕に投げてよこした。
リンに勝てる気がしないし、勝てるとは思っていない。
だけど「僕ではリンには勝てないので、辞めておきませんか?」と言ったところで、引いてくれる様子でもなさそうだ。
仕方がないか。リンにしてみれば侮辱ともとれる発言なわけだし、ここでうやむやにすれば後に引くだろう。
それとアリアには後で注意しておくべきだな。彼女に悪気があって言ったわけでは無いだろうけど、少々軽率だ。
「わかったよ」
お互いの間合いの外まで離れてから、向かい合って構える。
「最近のエルクは、確かに体も鍛えて強くなってるです。でもそれだけでリンに勝てるとは思わない事です」
同感だ。
確かに体を鍛えて前よりは強くなったという自覚はあるけれど、リン相手に良い勝負が出来るほど強くなったとうぬぼれるつもりはない。
「リン。ある程度のケガなら治療魔術でいくらでも治してあげるから、遠慮せずエルクをボコボコにしてあげなさい」
アリアの発言を無視できなかったのは、サラも同じだったようだ。
笑顔だけど、目が笑ってないね。
「勿論そのつもりです」
リンは可愛らしいドヤ顔で、僕に「いつでもかかってくるです」と言ってくる。準備は万全のようだ。
正直乗り気はしないけど、手を抜くつもりはない。
そもそも手を抜ける相手ではない。
それに、勝てないにしても、自分がどれだけやれるか試してみたいというのはある。
僕は両手で握った木の棒に、力が入れなおす。
「ハッ!」
まずは様子見に、間合いギリギリからの軽い横薙ぎ。
上段から行けば、カウンター技の『無手』を貰いかねないし、胴ががら空きになってしまう。
僕がリンに勝っている点は体力くらいだ。だから間合いギリギリから反撃を貰わない程度に細かく攻め、リンの体力が落ちてくるのを待つ。
リンが攻めるのに合わせ下がり、引くのに合わせて前に出る。
僕がギリギリ届く間合いは、リンにとっては届かない間合いだから、リンはどうしてももう一歩前に出るか、腕を伸ばさないといけない。
一歩を追加で踏み出そうとするなら、僕もそれに合わせて前に出てつばぜり合いに持ち込む。そうすればリンは体格差で勝てないことを悟りすぐに引いてくれる。
ギリギリの間合いを何とか維持することにより、リンの攻めにも何とか対応が出来た。とは言え一瞬でも気を抜いたら、文字通り僕は痛い目に遭うだろう。
お互い木の棒で何度目かの打ち合い。
段々と木の棒で打ち合った際に、衝撃が感じられなくなってきた。
リンに疲れがではじめたからなのか、それとも打ち合いにより手が痺れだしたのかわからない。
「てやっ!」
リンは焦りからか、足りない間合いを詰めるために目いっぱい腕を伸ばした袈裟斬り。
腕を伸ばした分、威力は弱まり、速度も落ちている。予備動作だって大きいからやる前からバレバレだ。
「ほっ」
僕がそれを軽くいなすと、リンは無理な体勢で木の棒を振ったために、一瞬の隙が出来た。
その隙を逃すことなく、リンの体制が整う前に左腕にポンと木の棒を当てた。
勝負あり……だよね?
「……」
リンは「えっ?」という表情で、自分の左腕に当たっている木の棒を見た。
そしてプルプルと震え、見る見るうちに顔が真っ赤になっていく。
「まだですッ!」
リンがバックステップで距離を取ると、姿が消えた。
消えたと言う事は『瞬歩』を使ったのは間違いない。となるとリンが出て来そうな場所は……背後だ!
リンは基本的に背後を取って足や腕を狙い、戦闘能力を削っていく戦い方をしている。
僕はバックステップと共にくるりと反転した。
読みが当たったが、丁度僕の真後ろに位置に出現したリンと勢いよくぶつかり、勢いのままに僕らは転げまわった。
転げまわりながらも、僕はリンを掴み、そのまま馬乗り状態へ。
「僕の勝ち……だよね?」
リンの首元に木の棒を付けて、勝ちを宣言。というよりは確認をしてみた。
今度こそ観念してくれたようで、リンは持っている木の棒をポイっと捨てた。
「リンの、負けです」
リンが泣きださないかちょっと不安だったけど、それは杞憂だった。
しょんぼりした顔で、リンは素直に負けを認めた。
リンに勝った。勝てた!?
自分でも、勝てたことが信じられない。
「で、エルク。アンタはいつまでそうしているつもり?」
「えっ?」
サラを見ると視線が合った。サラは両腕を組んで、半眼で僕を睨んでいる。
いくらリンが負けたからって、そこまで不機嫌をあらわにするのは、少々大人気ないんじゃないかな?
とはいえ、いつまでもリンの上に乗っているのは確かに良くないな。退こうとしてある事に気付いた。
左手に何やら柔らかい感触が……
僕の左手は、リンの小ぶりな胸を掴んでいたのだ。
「ご、ごめん。わざとじゃないんだ」
バッと飛び跳ねるようにリンの上から退いた。
そんな僕の様子を見て、フレイヤさんがニヤニヤしながらからかってくる。お願い、今は空気読んで! サラがめちゃくちゃ不機嫌になってるから!
「エルク君のえっちぃ」
フレイヤさんの言葉を無視して、僕はリンを見る。
上半身を起こしただけで、起き上がってこようとはしない。リンが今何を考えているか分からないけど、このままにしておくわけにもいかないし。
「リン」
ほら、と言って手を差し出し、リンは素直に僕の差し出した手を握り返し起き上がった。
「負けたです」
一瞬だけ悲しそうな顔をしたリンだけど、無理に笑って「エルクは強くなったです」と言ってくれている。健気だな。
普段は誰かの頭を撫でると何か言われることが多いけど、今は撫でる時だよね。お礼を言いながらリンの頭を撫でる。
リンの頭を撫でながらアリアを見る。そして目が合い僕に頷きかけて来た。
「アリアは僕に、もっと自分に自信を持てと言いたかったんだね」
リンと戦って、自分が思った以上に成長している事に気付いた。
アリアは僕に「エルクは役立たずの勇者なんかじゃない」と言いたかったのだろう。
「うん。全然違う」
違うのかよ!
僕一人で盛り上がっててバカみたいじゃないか。
いや、でもアリアの後ろで思わず噴き出したサラの姿が見えた。怒気が晴れてくれたと思えば悪くはないか。
「リンは、エルクに対して過保護な所があるから」
ふむ。リンが僕に過保護ねぇ。
頭を撫でる僕と、撫でられるリン。普通に見たら僕の方が保護者に見えるとは思うけど。
しかし確かに、言われてみれば思い当たる節がないわけではない。
僕が困ったり、凹んだりしている時はフォローを入れてくれるし、移動をしている時も僕を気にして時折チラチラと確認してくれている。
思えばリンには助けられてばかりだった。
「私が言っても、言葉ではリンを完全に納得させる事は出来ないと思ったから、エルクと戦わせてみた」
なるほどね。口下手なアリアらしいやり方だ。
「リン。エルクは強くなった。『混沌』なんて力で慢心しないで毎日特訓を欠かさずにしている。これ以上の心配は、エルクの成長の妨げになる」
「わかったです」
そうやって僕を気にしてくれているアリアも大分過保護な気がするけど。
リンはリンで何やら納得したようだ。
僕の成長か、リンに依存しているつもりは無いのだけれど、傍から見たら僕とリンはそういう風に見えるのかもしれないな。
少なくともアリアにはそんな風に見えて、それが危うく感じたから、こういう手段に出たのだろうし。
自分では良く分からないけれど、それでも気を付けないといけないな。
「リンに勝ったと言ってエルクが増長しないように、次は私が相手をしてあげるわ」
やっぱりリンの保護が欲しいなと思いながら、僕はサラと手合わせをしてコテンパンにされた。
それから数日。
僕らは宗教都市イリスへと辿りついた。
0
お気に入りに追加
530
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
落ちこぼれの無能だと貴族家から追放された俺が、外れスキル【キメラ作成】を極めて英雄になるまで
狐火いりす@商業作家
ファンタジー
「貴様のような落ちこぼれの無能は必要ない」
神からスキルを授かる『祝福の儀』。ハイリッヒ侯爵家の長男であるクロムが授かったのは、【キメラ作成】のスキルただ一つだけだった。
弟がエキストラスキルの【剣聖】を授かったことで、無能の烙印を捺されたクロムは家から追い出される。
失意の中、偶然立ち寄った村では盗賊に襲われてしまう。
しかし、それをきっかけにクロムは知ることとなった。
外れスキルだと思っていた【キメラ作成】に、規格外の力が秘められていることを。
もう一度強くなると決意したクロムは、【キメラ作成】を使って仲間を生み出していく……のだが。
狼っ娘にドラゴン少女、悪魔メイド、未来兵器少女。出来上がったのはなぜかみんな美少女で──。
これは、落ちこぼれの無能だと蔑まれて追放されたクロムが、頼れる仲間と共に誰もが認める英雄にまで登り詰めるお話。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜
黒城白爵
ファンタジー
とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。
死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。
自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。
黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。
使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。
※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。
※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる