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変化

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*フォルテ視点*

俺の目の前にいたラウルは三人の男達に床に押さえつけられていた。

これってまさか…嫌な予感は当たらないでほしい。

男達は俺を見て笑いながら「今忙しいんだけど、怪我する前に出てってくれない?」と手を振っている。
友人のこんなところを見つけて、見て見ぬふりなんて出来るわけないだろ。

手に炎をまとい、壁を軽く殴り付けた。
腕力はそんなにないけど、軽い焦げ目が壁に付いた。

怒られたら全力で謝ろう、ごめんなさい….先生。

でも、この男達には効果的のようだ。

「怪我させたくないんだ、加減できないから」

俺が魔術使いで良かった、それだけでビビってくれる。
倉庫の中に足を踏み込むと、ラウルを拘束していた手を離した。

肩を揺すってみても、ラウルは反応がない。

まさか、なにかされたのか?

男達を睨み付けると、キレ気味に「まだ何もしてねぇよ!」と言っていた。
ラウルにこんな事しといて、信用出来るわけがない。

とにかくラウルをこんな埃っぽいところから連れ出さないと。

床に落ちたゴーグルと上着を持って、ラウルにゴーグルを掛けた。

ラウルを抱き上げておんぶして、倉庫から出ようとした。
微かに後ろで音が聞こえて、空いている手で壁を殴ると動きが止まった。

廊下に出て、保健室に行こうと歩き出した。
似たような身長のラウルを背負っているから、重くてゆっくりとしか歩けない。

もう少し我慢して、ラウル。

ここの廊下は人気がないな、こんなところがあるんだって知らなかった。

「ん….ぅ」

「あ、起きた?」

小さなラウルの呻き声が聞こえて、声を掛けた。
俺が重さで震えているのが怖かったのか、俺のシャツを掴んでいた。

「ごめんね、歩ける?」と聞いてみたが、反応がない。
まだ元気なラウルに戻ってないか、保健室までなら頑張る。
これも腕力を鍛えるためだと思えばなんて事はない。

怖いと思うが、もうちょっと我慢してね。

強くシャツを握られると、ボタンが取れた。

びっくりして、ラウルに声を掛けようとした。

ラウルの手がシャツの中に滑り込んで、乳首を摘ままれてラウルを離してしまった。
落ちてしまったラウルが心配で振り返った。

「ご、ごめんラウル!大丈夫?」

「……」

「ラウル…?」

「フォルテ」

ずっと下を向いていて、どこかにぶつかったのかと思ってしゃがんだ。
でも、ラウルは口元に笑みを浮かべていた。

それはいつもの明るいラウルではなく、背筋が冷たくなるような歪な笑いだ。

俺の方を見上げるラウルは、俺の知るラウルではなかった。

真っ赤に染まった瞳で俺を映していた。

その顔は、まるでゲームのフォルテを見ているかのようだ。

なんでそう思うんだ?ラウルは攻略キャラクターで、フォルテとは真逆の存在だ。
いったいなにが起きたのか、ミッシェルなら知ってるのかもしれない。

「ミッシェル!状況教えてくれ!ラウルはどうなったんだ!?」

『フォルテが悪役と外れた行動ばかりしてるから、世界は誰かをフォルテの代わりにしようとしてるだけだよ』

「なんだよそれ、じゃあ俺の死亡フラグは」

『死亡フラグは変わらないよ、ただフォルテが悪役に戻ってくるまで誰かがフォルテにならないといけない』

俺の代わりにラウルが悪役になってるって事か?
フォルテの末路をラウルが辿ろうとしている。
フォルテが本来するべきだった事ってなんだ?俺がしなかった事……

考えていたら、ラウルが俺の前に立っていた。

フォルテの代わりになっているとミッシェルは言っていたが、フォルテがしない表情をしていた。
頬を赤らめて、明らかに興奮したように息を荒げていた。

もう一度ラウルの名前を言おうとしたら、腕を掴まれて近くの教室に押し込まれた。
床に倒れて、起き上がろうとしたが靴を脱いだラウルに肩を踏まれて起き上がる事が出来ない。

「ラウル、どうし……」

「ラウル?……誰に口聞いてるの?フォルテ」

俺のネクタイを掴んで、顔を近付けてきた。

突然の豹変に、頭が追い付かない。
今まで聞いた事がない低い声で囁かれた。

「ラウル様、でしょ」とラウルは笑みを浮かべていた。
本当になにが起きてるんだ?こんなのフォルテでもない。

そもそも何なのか分からないと思っていたら、ラウルは俺の腕を掴んでなにかをしていた。

ラウルのネクタイで俺の両手が拘束された。、
何をしようとしているのか、不安そうにラウルを見つめた。

「…なに、これ」

「フォルテ、助けにきてくれてありがとう」

「う、ん…」

「でもね、あんなカッコいい助け方されるとさぁ」

一瞬言葉を区切って、足を退かしてくれたと思ったら両手を頭の上で押さえつけられた。
服の上から強く乳首をつねられて、痛みで眉を寄せた。

痛みに耐える俺とは違い、ラウルは嬉しそうだ。

「いじめたくなるんだよね」と言っているラウルに顔を青ざめた。

まるで、人が変わったかのようにドSになっていた。
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