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3章
真実は小説よりも凄かった2
しおりを挟むだからごめんね?
とタクマさんは苦笑しながら謝ってきた。
つまり、私はヴェルサス様と将来を共に添い遂げられると認められてこの世界に飛ばされたわけか。
確かにヴェルサス様を見るとドキドキするし、勉強の教え方もいいし、一緒にいても苦じゃない。
でもそれって刷り込まれたものなんじゃないかな、、、。
「でね、大事なのはここからなんだけど」
タクマさんは私の目をじっくりと見つめる。
「今いきなりこんな事を言っても、舞さんの事だから納得しないでしょ?それに僕と違っていきなりこっちに来たから、やり残したことだってあると思う。
だから、一回元の世界に帰してあげる。それで考えて欲しいんだ。
僕はもう向こうの世界に未練はない。だから舞さんも向こうの世界に戻って、こっちに戻ってもいいと思えたら帰ってきて欲しいんだ。それからヴェルサスの事を考えてくれない?」
すべてお見通しですか?
というより、また顔に出てましたか?
「ふふ、困った顔をしちゃって。でもね時間がないんだ?そろそろヴェルサスとヴァレンティノが痺れを切らして探し始めちゃうから今から行ってもらうね?」
「今ですか!!」
「うん。」
「えーっと、、、」
「あ、ちなみに帰る場所は指定できないけど、元々いた生活拠点辺りになるように頑張るから」
「心の準備がまだ、、、」
「え、大丈夫だって。きっと見るところが変わってくる筈だから」
タクマさんはニコリと笑うと、人差し指を立ててくるくると回す。
「じゃあ、もういいかな?」
私たちを中心にシンリ湖に波紋が立ち始める。
私は慌てて聞きたかったことを問いかけた。
「タクマさん!私がもしこの世界に戻らなかったらどうなりますか?」
「うーん。今答えたら舞さんの気持ちを揺るがしそうだから言わないでおく。けどこの世界で舞さんは幸せになる運命ってことは言っておこうかな」
「私が幸せになる運命、、、?」
ざっ、と私たちを中心に風が巻き起こり、私に暖かな光包み込む。
「あ、戻りたいときはね、、、、」
タクマさんの声は途中で途切れてしまい、最後まで聞くことは出来なかった。
「さて、無事に向こうの世界に着いてるといいけど」
王、もといタクマは冷めた緑茶を一啜りすると、近づいてくる二人の気配を察知してタクマからヴェルナーレ17世へと姿を変える。
近づいてくる二つの気配は湖の畔に付くと、こちらを睨んでいるので思わず苦笑する。
「ヴェルサス、ヴァレンティノ、そんなに睨むと皺が深くなるよ?」
転移魔法で二人の側に来ると、じとっとした視線を向けられる。
「父上!!マイをどこにやったのですか?それよりもなぜ父上はシンリ湖に入れるのですか?」
ヴェルサスは興奮しているようで、いつもより早口になっている。ヴァレンティノは何も話さないが、纏う空気には殺気が込められている。
―全く、こんな分かりやすい二人に迫られてるのに気付かない舞さんは、向こうの世界でどんな結果を出すのだろう。
二人を宥めつつ、真実を告げるからと諭して城へと戻っていった。
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