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【小話】 ナチルとヨゼフ

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※途中で残酷な描写がでてきます。苦手な方は次のお話までお待ち下さい。
また、後半からナチルとヨゼフのキャラが崩れますので、こちらも気になる方は飛ばしてお読みください。







ジルウェルシアがマリーシアとテラスでランチを取っている頃。
ナチルは先ほど使えなかった玄関ポーチの状況を確認しに来ていた。

「ナチル様」

声を掛けてきたのは、「表」の護衛の一人で最近この屋敷に来たものだった。

「状況は?」

「はい。マラノイア子爵令嬢が馬車に乗った直後に3人。それに対応している間に更に2人の襲撃でした」

「被害は?」

「こちらにはありません」

「そうか。対象は・・・マラノイア子爵令嬢か」

「そのようですね。こちらを悪者にしたいのでしょう」

「我々に喧嘩を売ろうなど考えの甘い奴等だな」

ナチルは「表」の護衛と、ポーチに広がる血溜まりとその残骸を見ながら淡々と話す。


「ジルウェルシア様は今どちらに?」

「奥様とランチを取られている。片付ける時間はあまり残されてないぞ」

「いえ、それでしたらご心配いりません。皆掃除は慣れてますから」

「そうか」

話が一区切りついた時だった。ナチルはふと玄関前に植えられている木を見るなり懐からナイフを取り出し、ある一点に向かって投げつけた。するとどさりと木から何かが落ちてきた。

「もっと気配を察知するんだな」

「も、申し訳ありません」

「一人増えたな。報告はヨゼフでいいのか?」

「は、はい」

「悪いが掃除は任せる」

「かしこまりました」

ナチルはそのまま踵を返しテラスへ向かう。すれ違い様に5人ほどの侍女が掃除道具を持って玄関ポーチへと向かっていった。

テラスへ着くと、ジルウェルシアとマリーシアが楽しそうに食事をしていた。しかしよく見るとジルウェルシアの表情はやや硬い。

「ナチル」

「ヨゼフか」

聞こえるか聞こえないかくらいの小声で名前を呼ばれ、振り向かずに答える。

「掃除は終わっていたか?」

「いや、一人増えたのとさっき侍女が向かっていったからまだかかるな」

「少し時間稼ぎが必要そうだな」

「いや、平気そうだ。それよりもお嬢様だな」

「あぁ。お優しい方だから気付いてはいるが言わないでくれているんだろう。お前もっと上手くやれよ」

「俺のせいか?」

「お嬢様付きになった途端、別人になりやがって」

「当たり前だ「表」なんだから。そう言うお前こそ変わりすぎだろ」

「ナチルほど酷くはないな。なんだその腑抜けた顔は。旦那様に切られるぞ」

「俺はまだ死にたくない」


ジルウェルシアとマリーシアのランチの横でナチルとヨゼフの静かな舌戦は暫く続いた。
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みんなの感想(4件)

瑠奈
2019.04.03 瑠奈

きゃっはうふふじゃなく、きゃっきゃうふふです!

解除
ゆう
2019.03.26 ゆう
ネタバレ含む
解除
伊予二名
2019.03.25 伊予二名
ネタバレ含む
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