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北の森のダンジョン編
第87話 パーティー
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「リポポさんはエノキの準備をしてください。リィナはこれを捏ねて。」
現在、我が家のキッチンは小さな戦場と化していた。
リポポさんへのお礼を兼ねた祝勝会と俺の誕生日祝いを一緒にやろうとなったのだが、いつの間にかリィナも参加して、お料理大会となってしまっている。
「サラはこれを洗っておいて。」
「はい!」
「ガルドさん、捏ねるのはこれぐらいで良いですか?」
「どれどれ?うん、これぐらいかな。それは布をかけて置いておいて。」
「わかりました。サラちゃん、これ洗ってくれる?」
「はい!」
「ガルドさん、干したシイタケはどうします?」
「鍋で煮てもらえますか?美味しい出汁が出来ますので、それからマツタケを出してもらえますか?」
「了解です。サラちゃん、ごめん。これも洗ってもらえる?」
「はい!」
みんながテキパキと作業を進めていく。
本日のメニューはパーティーなので沢山用意した。
エノキバターのっけグリーンサラダ
マツタケのティーポット蒸し
シイタケ風味の出汁巻き卵
チキンのハーブムニエル
トマトソースの手打ちパスタ
サラの気まぐれカットフルーツ
キノコ多めの実験的なメニューだけど、どれも見た目は美味しそうに出来上がった。
冷めないうちに実食といこう。
「師匠!この卵焼き、とっても美味しいですよ!」
「マツタケにこんな料理法があったなんて。」
「ガルドさん、私が捏ねたパスタってのもモチモチしていて美味しいですよ。」
「うん。どれも上出来だね。」
やはり調味料の種類が少なかったりするので、前世の料理の再現とまではいかないけれど、十分に美味しく出来たと思う。
何よりも料理のバリエーションが増える事は喜ばしい。
「ガルドさん、このパスタをうちのお店で出しても良いですか?」
「もちろん。今日は簡単な平打ちだけど、配分や形で色々と工夫できるし、やってみると良いよ。」
「そうなんだ。また今度教えてくださいね。」
リィナもパスタを気に入ってくれたようだ。
コックになったリィナが本気で研究すれば、もっと色々なパスタが食べられるようになるだろう。将来的にはパスタだけでなく、ラーメンやうどんも食べられたら嬉しいな。
「ふぅー、大満足です!あっ、お茶を淹れて来ますね!」
みんなのお腹も満たされて、サラの淹れてくれたお茶と気まぐれにカットされたフルーツをデザートに楽しむ。
「リポポさんは、また旅に出るんですか?」
「うーん、まずは手に入れた大王角の素材で剣を作ってもらおうかなと。この町には腕利きの職人さんが揃っているし。」
「それじゃあ、出来上がるまで、しばらくはこの町にいるんですね。」
「そうね。それにこの辺りのキノコをもっと調べたいし、キノコ料理ももっと教えてもらいたいしね。」
リポポさんの狐耳がピコピコしていて可愛かった。
「むむむ。新たなライバルかしら。」
「え!?リィナちゃん、何か言った?」
「ううん、サラちゃん。洗い物手伝うわ。」
「あっ、それなら私も。」
「じゃあ、俺も手伝おうか?」
「いえいえ!師匠は休んでてください。」
「そうね、ガルドさんはお誕生日の主役だから。今日は特別ね。」
「ははは、ありがたいな。」
キッチンで盛り上がる3人を眺めているのは、逆に寂しいように感じるけど。
一通りの後片付けを終えると、リィナとリポポさんは帰っていった。
夜道は危ないのでと、リィナはリポポさんが送って行ってくれるそうだ。
その後、俺とサラは工房に移り、今回のダンジョンで消耗した装備や魔導具のメンテナンスを行っていた。
「そう言えば、宝珠の魔法は慣れたのか?」
「あ、あの魔法は空間魔法と言うそうです!ステータスに出ていました!」
「空間魔法か。かっこいいな。」
「とっても便利です!工具なんかも、ほら!」
サラが持っていたペンチがヒュンっと消えた。と思ったらハンマーを握っていた。
「おぉ!いいなぁ。めちゃくちゃ便利じゃないか。」
「これをマスターすれば作業も捗ります!」
「そうだな。色々と実験してみないと分からないな。」
「うっ、師匠の目が危ないです!」
「大丈夫だよ。安全な実験だから、たぶん。」
「危ないのは本当に嫌ですからね!」
「あはは、未知の魔法かぁ。楽しみだな。」
俺は色々な可能性を想像して、笑みが止まらなかった。
「その前に、師匠にはやらないといけない仕事がありますよね!?」
「えっと、何だっけ?」
「王都に行ってロック商会の大旦那様に相談するって言ってたじゃないですか!」
「あぁ、そうだった。その件も確認しないといけなかった。サラも行くだろ?」
「すみません、師匠。今回は同行できないんです。」
「そうなんだ。何かあるのか?」
「バンズさんの所から大型冷蔵庫の依頼が入ったんです!それにスミスさんに相談したい事もありますし。」
「そうか。なら今回は留守番だな。留守中は頼んだぞ。」
「はい。お任せください!」
現在、我が家のキッチンは小さな戦場と化していた。
リポポさんへのお礼を兼ねた祝勝会と俺の誕生日祝いを一緒にやろうとなったのだが、いつの間にかリィナも参加して、お料理大会となってしまっている。
「サラはこれを洗っておいて。」
「はい!」
「ガルドさん、捏ねるのはこれぐらいで良いですか?」
「どれどれ?うん、これぐらいかな。それは布をかけて置いておいて。」
「わかりました。サラちゃん、これ洗ってくれる?」
「はい!」
「ガルドさん、干したシイタケはどうします?」
「鍋で煮てもらえますか?美味しい出汁が出来ますので、それからマツタケを出してもらえますか?」
「了解です。サラちゃん、ごめん。これも洗ってもらえる?」
「はい!」
みんながテキパキと作業を進めていく。
本日のメニューはパーティーなので沢山用意した。
エノキバターのっけグリーンサラダ
マツタケのティーポット蒸し
シイタケ風味の出汁巻き卵
チキンのハーブムニエル
トマトソースの手打ちパスタ
サラの気まぐれカットフルーツ
キノコ多めの実験的なメニューだけど、どれも見た目は美味しそうに出来上がった。
冷めないうちに実食といこう。
「師匠!この卵焼き、とっても美味しいですよ!」
「マツタケにこんな料理法があったなんて。」
「ガルドさん、私が捏ねたパスタってのもモチモチしていて美味しいですよ。」
「うん。どれも上出来だね。」
やはり調味料の種類が少なかったりするので、前世の料理の再現とまではいかないけれど、十分に美味しく出来たと思う。
何よりも料理のバリエーションが増える事は喜ばしい。
「ガルドさん、このパスタをうちのお店で出しても良いですか?」
「もちろん。今日は簡単な平打ちだけど、配分や形で色々と工夫できるし、やってみると良いよ。」
「そうなんだ。また今度教えてくださいね。」
リィナもパスタを気に入ってくれたようだ。
コックになったリィナが本気で研究すれば、もっと色々なパスタが食べられるようになるだろう。将来的にはパスタだけでなく、ラーメンやうどんも食べられたら嬉しいな。
「ふぅー、大満足です!あっ、お茶を淹れて来ますね!」
みんなのお腹も満たされて、サラの淹れてくれたお茶と気まぐれにカットされたフルーツをデザートに楽しむ。
「リポポさんは、また旅に出るんですか?」
「うーん、まずは手に入れた大王角の素材で剣を作ってもらおうかなと。この町には腕利きの職人さんが揃っているし。」
「それじゃあ、出来上がるまで、しばらくはこの町にいるんですね。」
「そうね。それにこの辺りのキノコをもっと調べたいし、キノコ料理ももっと教えてもらいたいしね。」
リポポさんの狐耳がピコピコしていて可愛かった。
「むむむ。新たなライバルかしら。」
「え!?リィナちゃん、何か言った?」
「ううん、サラちゃん。洗い物手伝うわ。」
「あっ、それなら私も。」
「じゃあ、俺も手伝おうか?」
「いえいえ!師匠は休んでてください。」
「そうね、ガルドさんはお誕生日の主役だから。今日は特別ね。」
「ははは、ありがたいな。」
キッチンで盛り上がる3人を眺めているのは、逆に寂しいように感じるけど。
一通りの後片付けを終えると、リィナとリポポさんは帰っていった。
夜道は危ないのでと、リィナはリポポさんが送って行ってくれるそうだ。
その後、俺とサラは工房に移り、今回のダンジョンで消耗した装備や魔導具のメンテナンスを行っていた。
「そう言えば、宝珠の魔法は慣れたのか?」
「あ、あの魔法は空間魔法と言うそうです!ステータスに出ていました!」
「空間魔法か。かっこいいな。」
「とっても便利です!工具なんかも、ほら!」
サラが持っていたペンチがヒュンっと消えた。と思ったらハンマーを握っていた。
「おぉ!いいなぁ。めちゃくちゃ便利じゃないか。」
「これをマスターすれば作業も捗ります!」
「そうだな。色々と実験してみないと分からないな。」
「うっ、師匠の目が危ないです!」
「大丈夫だよ。安全な実験だから、たぶん。」
「危ないのは本当に嫌ですからね!」
「あはは、未知の魔法かぁ。楽しみだな。」
俺は色々な可能性を想像して、笑みが止まらなかった。
「その前に、師匠にはやらないといけない仕事がありますよね!?」
「えっと、何だっけ?」
「王都に行ってロック商会の大旦那様に相談するって言ってたじゃないですか!」
「あぁ、そうだった。その件も確認しないといけなかった。サラも行くだろ?」
「すみません、師匠。今回は同行できないんです。」
「そうなんだ。何かあるのか?」
「バンズさんの所から大型冷蔵庫の依頼が入ったんです!それにスミスさんに相談したい事もありますし。」
「そうか。なら今回は留守番だな。留守中は頼んだぞ。」
「はい。お任せください!」
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