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幼少期

12話 強くなる理由

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「はぁ、はぁ・・やった!!」
俺は訓練を初めてから3か月、剣術のみでセイラさんから一本を取ることができた。
やっと、やっと一本取れたよ。そのまま崩れ落ちるように、座り込んでしまう。
セイラは2か月半で課題をクリアし、俺待ちとなってしまった。そこから俺は、あまりの悔しさに寝る時間を削り、今まで以上に集中し訓練に励んだので、かなり成長する事が出来たと思う。

やべ、嬉し過ぎて涙でてきた・・

「ふふ、涙が出る程嬉しいか。これで、課題はクリアだ!おめでとう。」
「セイ!やったね!!」
地面に座り込む形になっている俺に、レイアが抱き着いてくる。
「お待たせ。これで一緒にダンジョンに行けるな。」
「うん。」
抱き合う様な二人に笑顔が浮かび、ホッコリとした雰囲気が漂う。
「ほら、いちゃついてないで次はレイアの番だぞ。セイは離れて休憩していなさい。」
名残惜しそうに俺からはなれ、『うう~~』とジト目でセイラさんを睨み、突っ込んで行く。

「セイ様お疲れ様です。」
「ありがとう、ミア。」
メイドのミアからタオルを受け取り、家のテラスで紅茶を飲みながら読書をしている母様の前に座る。
「セイ、やっと一本取れたのね、おめでとう。だいぶ時間がかかったようだけどね。」
本から目線を上げ、二ヤリとする。
「そう言われてしまうと・・何も言い訳出来ませんね・・・」
俺は苦笑いしながら、頬を伝う汗をタオルで拭う。
ほんとに言い訳できねぇな。レイアより先に修行を始めたのに、今じゃ剣術のみだとほとんど勝てなくなっているしな・・・

「奥様、そんな意地悪は言わないであげてください。セイ様は十分に頑張っていますよ。」
「うふふ、分かっているわ。その年齢ですでにアランと、サラよりも強くなってしまったし、ほんと家族の中でセイが一番才能があると思うわ。ほんとに、自慢の息子よ。」
とても優しく、愛情の溢れる笑顔をセイに向ける。

「しかし、いよいよ潜るのね・・セイ、ダンジョンの中には危険が溢れているわ。でも、あなたがやるというのだから止めはしないわ。ただ必ず帰って来ると誓いなさい!!」
笑顔から一転して、母様は歴戦の冒険者という圧を纏う。
「はい、必ず帰ってきます。」
「ならよろしい。」
この世界で最上級の誓いを聞くと母様の圧は収まる。

ほんとに俺は、愛されているな・・・

セイは今まで・・・前世で、期待と愛情という物を感じた事がなかったが、今は心地良いと思える程に、家族が十分与えてくれていた。この幸せは必ず守ってみせると毎日思う程に!
王都で見習い騎士を務め始めた兄のアランと、冒険者育成学校に通い始めた姉のサラは、1年に1、2回ほど休みをもらって帰ってくる。その時に、俺が修行を開始したのを知ると、模擬戦を行う事になった・・・結果は俺の全勝で、普通なら嫉妬や、妬みなどの負の感情が生まれても不思議ではないのだろうが、そんな事なく逆にこの子は天才だ!!とより一層褒め、喜んでくれた。
深い深い親愛に包まれる様な日々を過ごしながらも、俺はこの家族を守れる程に強くなりたいと、片腕を失くし体中に傷が残ってしまっていたメイドを見ながら強く思うのだった。

「よし、今日はここまでにしようか!?明後日からダンジョン探索に行くから、明日は休みにするわね。しっかり準備を整え、休むこと!いいわね!!」
「はい、わかりました。」
「はい・・・」
相変わらず容赦ないな・・・
立てない程に打ち込まれ、レイアは大の字に倒れている。
しかし、肩で息をしながらこんなになっていても、まだまだ気迫の様なものをレイアから感じる。
こういうところは見習わないとな。

「ほら、レイアを起こしに行ってあげなさい。着替えてきたら、ご飯にするわよ!!」
「は~~~い!!」

・・・・・・・・・・

俺は、大きな扉の前に立っている。
文字が縁取る様に書かれ、中央には向き合う様に竜が描かれている。その圧倒的な存在感に、俺とレイアは見上げる様に呆然としてしまっている。

「ふふ、すごいでしょ??この扉をくぐったら地下に降りる階段があって、その先に階層に降りる事の出来るクリスタルがあるのよ。」

近くによると、音を立てながら10m程の扉が自然に空き始める。

「話しには聞いていましたが、見るのと聞くのとはやはり違いますね。」
「ほんと、すごいわね・・・」

「そろそろ気を引き締めなさい!!この扉をくぐれば、そこら中に危険が溢れているのだから。」

やっと夢にまでみたダンジョンの探索が出来る。興奮するなという方が無理だな・・
昨日も楽しみ過ぎて、あんまり寝れなかったし、すごいドキドキしていたな。
まぁ、今もだけどな・・・・ふぅ!深呼吸して、だいぶ落ち着てきたな。

「よし!!レイア、セイラさんそろそろ行きましょうか!?」
「ええ、」
「うん!私も大丈夫だよ。」

「行くぞ~!!!」

そして俺は、ダンジョンの扉の中に一歩を踏み出すのだった!!!

・・・・・
本日も更新します。

次回から、ダンジョンアタックになります。
ダンジョンの中で、何が待ち受けているのか??

明日も更新しますので、お楽しみに!!

今回も読んで頂きありがとうございまっす(∩´∀`)∩
ガンガン更新していくので、読んでお気に入り登録して頂けたら嬉しいです。
いっぱいしてくれたら、奇声をあげてバカなりますwww

これからも、『シロセカ』をよろしくお願い致します。
・・・・・




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