誤算

本来タケル

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誤算

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気づくと教室のような所にいた。

「あれ、俺どうしてこんな所にいるんだろう。」

確か昨日の夜、友達と酒を飲んで酔っ払って・・・

そこから後の記憶がない。

「ここは何処だ?」

小、中学生の教室のような所に一人でいる。

酔っ払って勝手に入って来てしまったんだろう。

「まあ、いいや、家に帰ろう。」

ドアに向かって歩く。ドアをスライドさせる。

「あれ、開かねー。」

思い切り引っ張ってみる。ドアはガタガタいうだけで全然開かない。

「何だ。これ。くそ。開かねー。」

何度やっても開く様子がない。他に出口を探して後ろにもう一個、ドア
があったがそこも同じように開かない。

「あれ?俺が勝手にこの教室に入って来たんなら鍵開いてるはずじゃねー?」

外が見える窓に近づきそこから外を見てみたが、地上4階の高さはあり、もしガラスを割って飛び出したら骨折では済まなそうだ。

「やべえ。どうしよう。」

ポケットに手を入れ携帯を探してみたが何処かで落としたのか見当たらない。

もし此処が教室なら誰かが来てもいいような時間である。だが人っ子一人いない。

「もしかして、ここ廃校か?」

周りをよく見ると、かなり汚れているのがわかった。

「マジかよ。どうやって俺ここからでるん。」

「もし警備員に鍵を閉められていたら又戻ってくるはず。待つしかないのか。」

ドアには窓口がない。外が見える窓に、ぶち破って飛び降りて脱出を図ろうとしたら、下手したら死ぬ高さだ。

私はドアに向かって体当たりをしてみた。ドアはガタガタとはいうが到底倒れたり吹き飛んだりする様子はない。

「誰かの悪戯じゃないよな。俺が酔っ払っている隙に・・・」

冗談にしては酷すぎる。もう脱出方法を探して3時間になる。

「くそ。誰か居ねーのか。おーい。」

窓から外に向けて声を荒げるが、窓の外は林のため人がいるのか居ないのか分らない。他の人の声はしない。

「何でこんな目にあわなくちゃ行けない。俺が何か悪い事をしたか。」

教室の中で一人喋るがシーンとするばかりである。

「くそ。腹が減った。」

だが何もない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三日後。

待てど暮らせど誰も来ない。

もう一度ドアの方へと歩きドアをスライドさせてみる。だがガタガタいうだけでやっぱり開かない。

「やっぱり開かないか・・・・・」

1時間体育座りをしてうつむきながら何かを考えている。

不意に机を持って窓のガラスを割る。そして走ったかと思ったら、そこから外へと飛び出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「着いたぞー。」

「ここが有名な心霊スポットなの?」

「そうみたい。最近も一人飛び降り自殺したんだって。」

「怖―い。何か廃校って感じ。」

「じゃあ、中に入りますか。」

夜の2時に、この場所に5人の若者がいた。

「めっちゃ、雰囲気あるじゃん。」

「ねー。もう帰ろうよ。絶対祟られるって。その死んだ人に。」

「大丈夫だって。次は4階か。ここかららしいぜ。飛び降りたの。」

「マジかよ。こえーヨ。」

「ほら、そこの教室からなんだって。その人がいた場所。」

「開けるぞ。うん。あれ?ドアが開かない。」

「マジか。呪われてるんじゃねー。」

「スライドできねー。」

「ねえ。押してみたら。ドア。」

「押して開くようには見えないけど・・・・・」

「あ、開いた。」

「ね。スライドだめなら押して見ろっていうじゃん。」

「それ、押してもだめなら引いてみろじゃねー。」

「ははっはははは」

「何だこの扉。中から開ける時は引き戸になるんだな。」

「なんちゅう作りしとんねん。」

「ハハハハ。ハハハ。」


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