7 / 14
無邪気×もじもじ(微エロ)
ホワイトデート 2
しおりを挟む
なんかホワイトデーっていうかお正月みたいだ。
主と契約したことで体が変わった俺は元の世界に適応できなくなった。それでお守りというか護符というか、守ってくれるからと持たされているのが松の枝。しかも松脂が付かないように和紙で巻かれているからお正月感が増している。俺浮いてない?
ちなみに最古参の方は牛乳がそんなに好きじゃないし、自分たちのホワイトデープランがあるからと紹介だけしてくれて帰っていった。
牧場のおじいさんからグラスを両手で受け取ろうとしたら、事情を知っているから遠慮しなくていい、松を置いてはいけないと言われた。
お言葉に甘えて片手で受け取る。1口飲んだら感動で動きが止まったけどすぐに一気飲みして、グラスを置いて手を主に差し出す。
主が俺の血を飲んで驚いた顔になるのを待ってから俺も感動を解放した。
「「うんまあ~」」
生の食材を好む主の種族には、殺菌処理していない牛乳は尚更おいしく感じるだろう。
おじいさんは俺に噛みついた主にも動じない。むしろニコニコして銭湯にあるみたいな牛乳瓶を持ってきてくれた。
「これは4日前に瓶詰めした物なんだけどね」
厚紙でできたフタを取ったら裏側に分厚い塊が付いてて、そのまま渡された。
「天然の生クリームだよ。そのまま食べてごらん」
松を握っている右手の親指と人差し指で厚紙を持って、左手を主に差し出した状態で厚紙を口に入れた。主が直後に噛みつく。
俺たちは言葉も出ずにおじさんを見つめた。おじいさんが笑顔で頷く。
「喜んでもらえて嬉しいよ。あとは滑りたいんだったね」
主は久しぶりに思うままに動けて楽しそう。俺は松明滑走のように松を持って少し滑った。同じ字を使っているのにどうしてこうも印象が変わってしまうんだ。
本当はここにいるだけでも大変なんだから無理をしないようにおじいさんに言われた。運動は好きじゃないし結果オーライだ。
絵になる滑りの主を眺めながら焚火の側で搾りたて牛乳を飲む。最高だ。
そろそろ他の方たちから聞いていた主の運動量の半分くらいか。
「あるじー!」
滑り終わる少し手前で立ち上がって呼んだら、軽く右手を上げてから進行方向を調節して俺の2メートル手前で止まった。かっこいい!!
からのゴーグルを上げた顔がかわいい!!
造作の問題だけじゃなく楽しいっていうのが伝わってきて俺も楽しくなる。
「そろそろ帰るか?」
それでもそんなこと言ってくれるのが主なんだよな。
俺は首を振った。
「この牧場を指定したのはね、牛乳が非加熱ってだけじゃなくて牛さんが食べる草も無農薬だからなんだ。それに栄養的にも貧血に効果がある。
もうひと滑りする前に追加で飲んでって言いたかっただけ」
無防備に驚く主の表情に幸せがこみ上げる。主にも俺にも。
これでもう少し主が滑ってから帰れば俺の計画はほぼ完璧だった。
俺は忘れていたっていうか、甘かったっていうか。
主の俺への甘さ具合を理解しきれていなかった。
「寒かっただろ?
お前あんま滑んないだろうなと思ってたから温泉も用意しといたんだ。俺からのホワイトデーだ」
………………え?
「え、そんな、ここに来るのが」
「俺頼んだだけだし、それでおいしい血を飲めるの俺だし。
だから帰りに寄ろうと思って準備しといた」
落ち着け、落ち着け。ここで固まったら主に嬉しくないと誤解される。
「それって……どんなお風呂?」
「お前寒がりなのにのぼせやすいからさ、部屋ごとに風呂が付いてる宿にした。
……良かった。めちゃめちゃテンション上がってるじゃん」
良かった。色々妄想して興奮してるのを良い感じに誤解してくれた。
主と契約したことで体が変わった俺は元の世界に適応できなくなった。それでお守りというか護符というか、守ってくれるからと持たされているのが松の枝。しかも松脂が付かないように和紙で巻かれているからお正月感が増している。俺浮いてない?
ちなみに最古参の方は牛乳がそんなに好きじゃないし、自分たちのホワイトデープランがあるからと紹介だけしてくれて帰っていった。
牧場のおじいさんからグラスを両手で受け取ろうとしたら、事情を知っているから遠慮しなくていい、松を置いてはいけないと言われた。
お言葉に甘えて片手で受け取る。1口飲んだら感動で動きが止まったけどすぐに一気飲みして、グラスを置いて手を主に差し出す。
主が俺の血を飲んで驚いた顔になるのを待ってから俺も感動を解放した。
「「うんまあ~」」
生の食材を好む主の種族には、殺菌処理していない牛乳は尚更おいしく感じるだろう。
おじいさんは俺に噛みついた主にも動じない。むしろニコニコして銭湯にあるみたいな牛乳瓶を持ってきてくれた。
「これは4日前に瓶詰めした物なんだけどね」
厚紙でできたフタを取ったら裏側に分厚い塊が付いてて、そのまま渡された。
「天然の生クリームだよ。そのまま食べてごらん」
松を握っている右手の親指と人差し指で厚紙を持って、左手を主に差し出した状態で厚紙を口に入れた。主が直後に噛みつく。
俺たちは言葉も出ずにおじさんを見つめた。おじいさんが笑顔で頷く。
「喜んでもらえて嬉しいよ。あとは滑りたいんだったね」
主は久しぶりに思うままに動けて楽しそう。俺は松明滑走のように松を持って少し滑った。同じ字を使っているのにどうしてこうも印象が変わってしまうんだ。
本当はここにいるだけでも大変なんだから無理をしないようにおじいさんに言われた。運動は好きじゃないし結果オーライだ。
絵になる滑りの主を眺めながら焚火の側で搾りたて牛乳を飲む。最高だ。
そろそろ他の方たちから聞いていた主の運動量の半分くらいか。
「あるじー!」
滑り終わる少し手前で立ち上がって呼んだら、軽く右手を上げてから進行方向を調節して俺の2メートル手前で止まった。かっこいい!!
からのゴーグルを上げた顔がかわいい!!
造作の問題だけじゃなく楽しいっていうのが伝わってきて俺も楽しくなる。
「そろそろ帰るか?」
それでもそんなこと言ってくれるのが主なんだよな。
俺は首を振った。
「この牧場を指定したのはね、牛乳が非加熱ってだけじゃなくて牛さんが食べる草も無農薬だからなんだ。それに栄養的にも貧血に効果がある。
もうひと滑りする前に追加で飲んでって言いたかっただけ」
無防備に驚く主の表情に幸せがこみ上げる。主にも俺にも。
これでもう少し主が滑ってから帰れば俺の計画はほぼ完璧だった。
俺は忘れていたっていうか、甘かったっていうか。
主の俺への甘さ具合を理解しきれていなかった。
「寒かっただろ?
お前あんま滑んないだろうなと思ってたから温泉も用意しといたんだ。俺からのホワイトデーだ」
………………え?
「え、そんな、ここに来るのが」
「俺頼んだだけだし、それでおいしい血を飲めるの俺だし。
だから帰りに寄ろうと思って準備しといた」
落ち着け、落ち着け。ここで固まったら主に嬉しくないと誤解される。
「それって……どんなお風呂?」
「お前寒がりなのにのぼせやすいからさ、部屋ごとに風呂が付いてる宿にした。
……良かった。めちゃめちゃテンション上がってるじゃん」
良かった。色々妄想して興奮してるのを良い感じに誤解してくれた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
兄のやり方には思うところがある!
野犬 猫兄
BL
完結しました。お読みくださりありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
第10回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、そしてお読みくださった皆様、どうもありがとうございました!m(__)m
■■■
特訓と称して理不尽な行いをする兄に翻弄されながらも兄と向き合い仲良くなっていく話。
無関心ロボからの執着溺愛兄×無自覚人たらしな弟
コメディーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる