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第254話 黒vs黒2

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 次に俺が見た光景はだった。広範囲にピカリと光った後、轟音と共に広範囲に森に稲妻イナヅマが落ちる。

 不味いな、今ので森が焼ける──

(つーか、空にある黒雲! 雨降らせよっ!)

 森の方は今は手が回らねぇな……さいわい人は居ない筈だ。悪いがウルスラの討伐を優先させてもらおう。

 その時だ──

 ヒュン、バババババババンッ!!

「──ッ!!」

(何だ!? 何が飛んできた!?)

 ウルスラの居る方角から、黒い手裏剣のような物が飛んできた。しかも数が尋常じゃない。

 慌てて俺は〝月夜かぐや〟を抜き、それを斬り落とす──だが……、小判ぐらいのサイズだが、その質量が可笑しい。このサイズで10kg近くあるぞ。

 それがたくさん飛んできている。
 勿論、魔力をまとってだ。つーか、これか!?

 飛んできた1枚を掴み取り、俺は攻撃の正体を暴く。当たったら普通に風穴空くな。下手な銃弾なんかより比べ物にならないくらい強力だ。魔力も強いし。

「クソ、面倒だな、この鱗……──は?」

 ──ドカン!!!!

 俺はウルスラの尻尾に空の上から地面へと叩き落とされる。
 蜷局とぐろを巻いていた尻尾を少しずつ俺にバレ無いように、しかもを忍ばせ、俺の背後上空までゆっくりと近づけていたみたいだ。

 木を30本ほど倒した所で俺はようやく止まった。

いてて、尻尾は盲点だったな──?」

 それにしても、燃える森、砕けた地面、黒雲渦巻く空、空飛ぶ巨大な黒龍、尚も凛とそびえ立つ世界樹、半壊した王宮、これが今のエルフの国の全貌ぜんぼうだ。
 憧れていた異世界のエルフの国とは少し違うな。

(世界樹は良かったんだがな? 高さは目測だが500mメートルはあるだろう。サイズだけならウルスラよりも大きい。ハハッ、世界樹の名は伊達じゃないな──)

 予定ならフォルタニアを連れ出して、世界樹でも案内してもらおうと思ってたんだが、そう上手くはいかないらしい。
 予定は未定とはよく言ったもんだ。

 そんなことを考えていると真上から、ウルスラの魔法追撃が来る。俺は横に飛び、それを避ける。
 今のウルスラの攻撃──色は柱状の魔法だ。

 今の攻撃で地面にサークル状に空いた穴は一番下が見えないまでくらい深い。これも食らったらヤバそうだ。

 森に吹き飛ばされた俺をわざわざ追撃してくるとは、ウルスラにはして貰えたって事でいいか?

 あーあ、服、汚れちまったな……
 アルテナに貰った大切な一張羅だってのに。

 すると、

 ──ッ!? 何だ? 影?

 俺を中心にして、真っ黒い影が辺りを覆う。

 ……って、また、尻尾かよっ!!
 その単純な答えに俺はツッコミを入れる。

 つーか、随分と怒ってらっしゃるな。

 表情は見えないが、纏う魔力の流れや、こちらを意識してるであろう殺意が格段に上がった。

 こりゃ……一筋縄じゃ、いかなそうだ。
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