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第227話 ガッカリ

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「おい〝剣斎けんさい〟! ふざけるなよ、何の為に、お前がいるんだ! 俺を守って、その賊を殺せよ!」

 ボルスが叫ぶ、対するエルルカは完全無視だ。

「あいついい加減にしろよ」

 つーか、何で、あの豚野郎はフォルタニアの婚約者に選ばれたんだ?
 いや、ただ権力があるだけか?

「アルタイル、ベガ、テメぇらもだ! さっさとあいつを殺せぇ!!」

「「かしこまりました」」

 ……何か、ガッカリだな。
 エルフの国って、こんな場所なのか?

 世界樹は綺麗だったんだがな。

「アルテナには世界を救ってくれと頼まれたが、俺はとは言え、お前たちを救いたくないな──」

 残りの魔王を倒せば、少なからず、このエルフの国も結果論で言えば救うことになる。
 救いたくないな、あの豚野郎は特にな。

「……あれが、話しにあった〝魔王討伐者〟──剣斎エルルカ独軍シラセ霧裂パンプキック、そして英雄ロキが〝王国魔導士団〟に推薦してきた男。まさかこんな所で会うとはね」

 女王が俺を見ながら口を開く。

「……何だ、その件、知ってるのか?」
「ユキマサ様、お母様は〝中央連合王国アルカディア〟の王族の中でも更に権力が一つ上の人類を代表する三人の王──通称〝三王さんおう〟の一人です」

「〝三王〟? 何だが知らねぇが、人類のトップ権力者って認識で良いか?」
「はい、実際そうですので」

 ──〝中央連合王国アルカディア〟
 人類の各国が集まって、魔王に対抗する為に作られた国。人類の最高戦力部隊である〝王国魔導士団〟が三人以上常に常駐してる場所であり、人類の大砦。ここが陥落したら実質人類の敗北とも言える。

「女王様、いかがいたしましょう?」
「ロゼ、貴方もの討伐に当たりなさい。油断はしないこと、貴方でも一歩間違えれば死ぬわよ?」

「ハッ──かしこまりました」

 向こうはやる気か。さて、どうするか?

「シアナ女王様よ、俺の守りを付けろよ!」
「ボルス殿〝二つ名持ちネームド〟の戦力は攻撃に向けるわ。そうね、守りは近衛隊の兵士に守らせるから、それで我慢してちょうだい。確か昨日入隊になった者の中にレベル68の新兵がいたわね」

「──お呼びでしょうか女王様」

 女王が話し終えるや否や、今しがた話しに上がった紫色の髪の青年が、こうべを垂れながら現れる。

「あら、優秀。貴方、名前は?」
「オックボック・テイアと申します」

「そう、オックボック。ボルス殿の護衛を命ずるわ」
「ハッ、命を賭けてお守りいたします」

 そう言うと、オックボックは瞬時にボルスの傍らに移動する。

「チッ、こんなガキでも盾ぐらいにはなるか」

 ボルスは舌打ちしながら、不機嫌そうに言う。

「あの賊を殺せ!! そして俺の花嫁をここに連れてこい!!」

 そうして俺とエルフの国の戦いが幕を開ける──
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