上 下
9 / 29
第一章 全日本魔法剣技大会

第8話 vs日本最強 ②

しおりを挟む
息を吸い込む。そのまま踏み込み、敵であるクライストに近づく。

俺の刀の斬撃が音速を超え、凄まじいスピードでクライストを狙う。

ー瞬間。

クライストも槍により迎撃した。弾かれた瞬間、周りにとっては一瞬でも、俺にとっては考える時間には十分だった。

単撃ではだめだ。連撃を打ち込もう。

そう考え、すかさず刹那に連撃を放った。しかし、クライストが全てをはじき返したことで、俺とクライストは凄まじい轟音と衝撃波を周囲にまき散らし、しばらく連撃の打ち合いになる。

俺はクライストの槍捌きを見て、長い武器特有の隙を探していた。この男に、真正面から愚直に挑んでも、結局見切られ、はじき返されるだけだ。

そして、いくら武器の扱いを極めた達人でも一瞬生んでしまう隙を俺は突き、一息ひといきの間に相手の懐まで近づき、刀で大振りをした。

しかし、これもクライストに見切られてしまう。寸前で俺の大振りを躱した彼はそのまま後方へと退き、周囲にサイドステップを高速で行い、フェイントをした後、今度は向こうから俺の懐に高速の突きを放ってきた。

だが、そうくるのは俺も見切っていた。

槍の突きを体躯をひねることで躱し、そのまま槍の下に潜り込み、下から上へ槍をはじき返した。

「くッ・・!」

そんな声を漏らしたクライストは、初めて大きな隙を見せ、そのまま俺は追撃を加える。

前へ進みながら力を込めた一振りを何度も放っていく。クライストは、苦悶の表情を浮かべ、後方へとバックステップしながら間一髪ながらも見事に俺の渾身の一撃一撃をはじき返している。

すると、クライストは突然ターンをして俺の斬撃を交わし

「柳生流槍術『諸突しょとつ』!!」

という声とともに、さっきとは比べ物にならないスピードで眼前まで迫ってきた。

すんでのところで俺は刀の腹でその突きを受け、衝撃によって後方へと飛ばされてしまった。

再び状況は振出しに戻った。

「悔しいが、私の純粋な槍術ではお前には遠く及ばないようだ。新条、どういうわけかお前の剣筋からはまだ余裕が感じられる・・。お前は一体何者なんだ?」

そうクライストが問いかけてくる。

「僕はただのそこら辺にいる高校生ですよ。」

俺がそう返すと、

「そこら辺にいる高校生に私の槍術が見切られるはずがないだろう・・。まぁいい。答える気がないんだったら、こちらはさらに本気を出すしかあるまい。柳生流槍術奥義の数々と、私の『魔法槍まほうそう』を以て、その余裕を打ち砕こう。」

空気が一変した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【短編】冤罪が判明した令嬢は

砂礫レキ
ファンタジー
王太子エルシドの婚約者として有名な公爵令嬢ジュスティーヌ。彼女はある日王太子の姉シルヴィアに冤罪で陥れられた。彼女と二人きりのお茶会、その密室空間の中でシルヴィアは突然フォークで自らを傷つけたのだ。そしてそれをジュスティーヌにやられたと大騒ぎした。ろくな調査もされず自白を強要されたジュスティーヌは実家に幽閉されることになった。彼女を公爵家の恥晒しと憎む父によって地下牢に監禁され暴行を受ける日々。しかしそれは二年後終わりを告げる、第一王女シルヴィアが嘘だと自白したのだ。けれど彼女はジュスティーヌがそれを知る頃には亡くなっていた。王家は醜聞を上書きする為再度ジュスティーヌを王太子の婚約者へ強引に戻す。 そして一年後、王太子とジュスティーヌの結婚式が盛大に行われた。

処理中です...