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「え? それってわたしとは付き合えないってこと?」

 天国から地獄に落とされたみたいだった。遠藤君が目を丸くしてる。それでも目の前が真っ暗になって、あふれる涙をわたしはどうしても止められなかった。

「ご、ごめっ、泣くほど嫌だったなんて」
「ちがう。わたしも前から遠藤君がす」
「ひえっ、ちょ、ちょっと待って……!」

 いきなり口を塞がれて、びっくりしすぎて涙が引っ込んだ。

「な、なんで止めるの……?」
「こういうのは男から言わないと」
「何それ、何時代の話?」
「いや、だって一生に一度の話じゃんか」
「どういう理由?」

 思わず笑ってしまった。涙の残るわたしの肩を抱き寄せて、遠藤君はもう一度真剣な顔をする。

「大木、俺は君が好きです。俺と付き合ってくれますか?」
「うん、うれしい。わたしも遠藤君が大好きだよ」

 爆発しそうな心臓で見上げると、顔を真っ赤にした遠藤君がいきなり屋上の硬いコンクリートの床に突っ伏した。

「え? なに、どうしたの?」
「……可愛すぎてマジでヤバイ」

 ひぇっ、遠藤君、今なんつった?
 今度はわたしは真っ赤になる番だった。いつの間にか復活した遠藤君が、わたしの顔を覗き込んできた。

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