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第19話 寸止め*
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「ぁんっ、や、ゆうしゃ、それ、やあんっ」
大きな手に余るほどのアメリの胸が、ロランによって自由自在に形を変えていく。
見慣れた自分の胸のはずなのに、ロランの手が加わっただけでこんなにもいやらしく見えるものなのか。
「右と左はどちらが感じるんだ?」
「だからぁ、そんなこと聞かないでくださいっ」
「仕方ないな。まぁ、俺の傷の具合を見れば分かることだ」
だったら始めから聞かないでほしい。
そんなアメリの抗議も、喘ぐ呼吸に飲み込まれてしまう。
「ふっふぁ、あ、ぁあん」
つままれ、弾かれ、転がされ。ロランの愛撫がもどかしすぎる。
これはいつまで続けられるのだろうか。
腫れた腕を見やっても、それほど治癒が進んでいるようには思えなかった。
「ど、して……?」
前回は訳も分からないまま、あっという間に快楽を上り詰めていった。ロランへの癒しも一瞬だったはずだ。
それが今はただひたすらもどかしい。
気持ちいいとは思うのだが何か決め手に欠けている。籠るばかりの熱に、アメリもどうしていいのか分からなかった。
「やはり胸だけでは難しいか……」
乳首をいじり続けながら、独り言のようにロランがつぶやいた。
耳に熱い吐息を落とし、次はアメリに問いかけてくる。
「どうする? このままでは治癒に時間がかかる」
「じゃあどうすれば……?」
「下に触れてもいいか?」
頬に熱が集まるを感じたが、このもどかしさをどうにかしてほしい。
恥ずかしさよりもその思いが勝って、瞳に涙を浮かべながらも頷いてアメリは了承を示した。
「少しずつでも回復はしている。嫌だったら今のまま続けても構わないんだぞ?」
「いいえ、下も……お願いします」
その方がロランの怪我の治りも早まるはずだ。
何よりあの日覚えた快感を、アメリの体が欲してしまっている。
「分かった。君はそのまま力を抜いててくれ」
アメリはすでにふにゃふにゃだ。ロランの胸板に背を預け、再び小さく頷き返した。
それでも下着に指がかけられると、アメリの体が強張った。
「大丈夫だ、奥に指を入れたりしない。優しく触る」
奥の意味がよく分からなかったが、ロランを信じてアメリは力を抜こうとなんとか務めようとした。
「ん……」
「すごいな。触ってもいないのに、もうこんなにぐしょぐしょだ」
ロランが感嘆したように言う。
「だっ、だからそ、ゆこと、言わないでっ」
「ふっ、言葉にされると君はより感じるようだ」
怪我をした方の腕を見やり、ロランは意地悪く笑って見せた。
確かにさっきより傷が一気に回復している。
悔しいのに、アメリは言い返すことができなかった。
「ここが気持ちいいだろう?」
「あっ」
どこか一か所をやさしくとんとんと叩かれて、アメリの腰がびくりとはねた。
あふれ出す蜜を絡めながら、ロランの指が同じ個所を執拗になぞってくる。
「ふ……ぁ、や、あぁんっ」
「突起がどんどん膨らんでいるぞ。うねるように俺の指を押し返してくる」
「だ、だから、そんなこといちいち説明しないでったらぁ」
ロランはアメリの耳を食みながら、乳首をつまみ上げ巧みに下も刺激してくる。
どこをどうされているのかも分からなくってきて、アメリは与えられる快感にどんどんのめり込んでいった。
「あっ、あっ、あっ……ふぁっ、あっ! なんっか、きちゃ……」
快楽の波が一気に高まった。
初めてロランを癒した日と同様に、アメリの意識が真っ白い何かに飲み込まれていく。
あと少し。
その至福が弾ける寸前で、突然すべての刺激がなくなってしまった。
不完全燃焼の状態の中、ぺちぺちとアメリは軽く頬を叩かれた。
「大丈夫か? 聖剣の乙女」
「……ゆうしゃ?」
混乱したままロランを見上げた。
「ああ、もう十分だ」
アメリはまったく十分じゃない。
あと少しだったのに。そんな思いが、火照った体の奥でどうしようもなくくすぶっていた。
抱き起こされて、気づくと乱れた衣服をロランに整えられている。
「あ……えっと……」
「ゆっくりでいい。起きられるようになったら部屋まで送る」
ようやく状況を思い出し、アメリはロランの傷が完全に癒されたのだと理解した。
「明日の出発は正午に遅らせる。それまで君はゆっくり休んでくれ」
「でも……」
「大丈夫だ。理由は俺の体調のせいにしておく」
涙に濡れたままのアメリの頬を、ロランの指がやさしくなぞってくる。
「今日は無理をさせて悪かった」
「慣れてないだけで、別に無理はしていません」
「それを無理と言うんだろう」
視線を逸らすと同時に、大きな手も離される。
後悔が残るその顔を、アメリはぼんやりと見つめていた。
やはりロランはできればアメリに触れたくないのかもしれない。分かっていたはずなのに、それを悲しく思う自分がひどくみじめだった。
「怪我をしないように、これからはもっと気をつける」
「……ありがとうございます。でも」
ロランの聖剣の乙女として、これだけは言っておかなくては。
アメリはそう自分を奮い立たせた。
「怪我をしたときは絶対に隠さないでください」
「ああ、分かった。約束する」
その返事にほっとした。
またロランに触れてもらえる。
そんな邪な思いに、アメリは気づかなかったふりをした。
大きな手に余るほどのアメリの胸が、ロランによって自由自在に形を変えていく。
見慣れた自分の胸のはずなのに、ロランの手が加わっただけでこんなにもいやらしく見えるものなのか。
「右と左はどちらが感じるんだ?」
「だからぁ、そんなこと聞かないでくださいっ」
「仕方ないな。まぁ、俺の傷の具合を見れば分かることだ」
だったら始めから聞かないでほしい。
そんなアメリの抗議も、喘ぐ呼吸に飲み込まれてしまう。
「ふっふぁ、あ、ぁあん」
つままれ、弾かれ、転がされ。ロランの愛撫がもどかしすぎる。
これはいつまで続けられるのだろうか。
腫れた腕を見やっても、それほど治癒が進んでいるようには思えなかった。
「ど、して……?」
前回は訳も分からないまま、あっという間に快楽を上り詰めていった。ロランへの癒しも一瞬だったはずだ。
それが今はただひたすらもどかしい。
気持ちいいとは思うのだが何か決め手に欠けている。籠るばかりの熱に、アメリもどうしていいのか分からなかった。
「やはり胸だけでは難しいか……」
乳首をいじり続けながら、独り言のようにロランがつぶやいた。
耳に熱い吐息を落とし、次はアメリに問いかけてくる。
「どうする? このままでは治癒に時間がかかる」
「じゃあどうすれば……?」
「下に触れてもいいか?」
頬に熱が集まるを感じたが、このもどかしさをどうにかしてほしい。
恥ずかしさよりもその思いが勝って、瞳に涙を浮かべながらも頷いてアメリは了承を示した。
「少しずつでも回復はしている。嫌だったら今のまま続けても構わないんだぞ?」
「いいえ、下も……お願いします」
その方がロランの怪我の治りも早まるはずだ。
何よりあの日覚えた快感を、アメリの体が欲してしまっている。
「分かった。君はそのまま力を抜いててくれ」
アメリはすでにふにゃふにゃだ。ロランの胸板に背を預け、再び小さく頷き返した。
それでも下着に指がかけられると、アメリの体が強張った。
「大丈夫だ、奥に指を入れたりしない。優しく触る」
奥の意味がよく分からなかったが、ロランを信じてアメリは力を抜こうとなんとか務めようとした。
「ん……」
「すごいな。触ってもいないのに、もうこんなにぐしょぐしょだ」
ロランが感嘆したように言う。
「だっ、だからそ、ゆこと、言わないでっ」
「ふっ、言葉にされると君はより感じるようだ」
怪我をした方の腕を見やり、ロランは意地悪く笑って見せた。
確かにさっきより傷が一気に回復している。
悔しいのに、アメリは言い返すことができなかった。
「ここが気持ちいいだろう?」
「あっ」
どこか一か所をやさしくとんとんと叩かれて、アメリの腰がびくりとはねた。
あふれ出す蜜を絡めながら、ロランの指が同じ個所を執拗になぞってくる。
「ふ……ぁ、や、あぁんっ」
「突起がどんどん膨らんでいるぞ。うねるように俺の指を押し返してくる」
「だ、だから、そんなこといちいち説明しないでったらぁ」
ロランはアメリの耳を食みながら、乳首をつまみ上げ巧みに下も刺激してくる。
どこをどうされているのかも分からなくってきて、アメリは与えられる快感にどんどんのめり込んでいった。
「あっ、あっ、あっ……ふぁっ、あっ! なんっか、きちゃ……」
快楽の波が一気に高まった。
初めてロランを癒した日と同様に、アメリの意識が真っ白い何かに飲み込まれていく。
あと少し。
その至福が弾ける寸前で、突然すべての刺激がなくなってしまった。
不完全燃焼の状態の中、ぺちぺちとアメリは軽く頬を叩かれた。
「大丈夫か? 聖剣の乙女」
「……ゆうしゃ?」
混乱したままロランを見上げた。
「ああ、もう十分だ」
アメリはまったく十分じゃない。
あと少しだったのに。そんな思いが、火照った体の奥でどうしようもなくくすぶっていた。
抱き起こされて、気づくと乱れた衣服をロランに整えられている。
「あ……えっと……」
「ゆっくりでいい。起きられるようになったら部屋まで送る」
ようやく状況を思い出し、アメリはロランの傷が完全に癒されたのだと理解した。
「明日の出発は正午に遅らせる。それまで君はゆっくり休んでくれ」
「でも……」
「大丈夫だ。理由は俺の体調のせいにしておく」
涙に濡れたままのアメリの頬を、ロランの指がやさしくなぞってくる。
「今日は無理をさせて悪かった」
「慣れてないだけで、別に無理はしていません」
「それを無理と言うんだろう」
視線を逸らすと同時に、大きな手も離される。
後悔が残るその顔を、アメリはぼんやりと見つめていた。
やはりロランはできればアメリに触れたくないのかもしれない。分かっていたはずなのに、それを悲しく思う自分がひどくみじめだった。
「怪我をしないように、これからはもっと気をつける」
「……ありがとうございます。でも」
ロランの聖剣の乙女として、これだけは言っておかなくては。
アメリはそう自分を奮い立たせた。
「怪我をしたときは絶対に隠さないでください」
「ああ、分かった。約束する」
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