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第七章 いざ、最終決戦
矛盾って自分じゃ気づけない
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その日、学園から帰ってきた健太をつかまえて。ちょうどゆいなも一緒だったから、作戦会議につき合わせることにした。
ゆいなはようやく謹慎が解けたから、今は普通に学園に通ってる。なのでモッリ家にも正面玄関から入って来られるようになったってわけ。
で、ロレンツォとのことを改めて相談したんだけど。
健太ってば呆れた顔して笑うだなんて、一体どういうコトよ?
「姉ちゃんってホント攻略対象ホイホイだよな」
「笑い事じゃないわよ。山田のコトだけでも頭が痛いって言うのに……」
「どうしてですかぁ? ゆいななら、テキトーに遊んでいろんなもの買ってもらっちゃうのにぃ」
「だったらゆいながなんとかしてよ。あんたがこのゲームのヒロインでしょ?」
「えー、イヤですよぉ。ゆいなの好きぴはけんたんだけですもん」
健太とゆいなが、ねーって首を傾け合った。
ちっ、リア充め。
とにかく今は我慢するんだ華子。態度に出してひがんでるって言われても悔しいし。
ふたりのコトは許したって未希には言ったけど。
いつか健太が痛い目見ればいい、なんて心の底では思っていたり。
なにせあのゆいなだからね。ほかにいいオトコが現れたら、あっさりそっちに鞍替えしそう。
それはさておき、問題は明日のお茶会だ。ロレンツォにはサシ飲みするとは言ってないから、大勢集めてうやむやにしようかな。
マサトのヤツも来る気満々だったし、この際だから健太もゆいなも巻き込んじゃおうっと。
「そういうわけで、ゆいなと健太も明日放課後裏庭に集合ね」
「え、俺、生徒会の仕事あるから無理だって」
「大事な姉ちゃんが困ってるのよ? 一日くらい融通利かせなさいよ」
「理由言ったら許可出るかもだけど……そんときはシュン王子もついて来ると思うよ?」
「そ、それはダメ!」
山田までいたら、余計にややこしいことになっちゃいそう。
王子同士でバトったりしたら、国際問題になりかねないし。悪役令嬢のくせに、ハナコってば罪なオンナだよ。
「分かった。健太は生徒会室で山田を足止めしてて。ゆいなはお茶会に出席ね」
「えー、ゆいなだって生徒会があるのにぃ」
「どうせお茶くみ要員で、仕事なんかしてないんでしょ?」
昔からめんどう事があると、要領よく逃げ回っていたじゃない。
「ゆいな。あんたさ、モッリ家に嫁ぐ気でいるのなら、わたしと仲いいとこアピールしといた方が都合がいいんじゃないの?」
ケンタはモッリ公爵家の跡取りだし、ハナコの弟だけあって顔面偏差値もかなり高めだ。令嬢たちに結構モテてるし、社交界的に見て男爵令嬢のユイナ・ハセガーでは不釣り合いって思われるだろう。
「もう、わかりましたぁ。そのかわりゆいなのコト、ちゃんとバックアップしてくださいよ?」
「もちろんよ。ただし……」
にっこりとゆいなに微笑み返す。
「モッリ家に泥塗るような真似したら、社交界から徹底的に排除するからね?」
「やだぁ、華子先輩こわぁ~い」
「そうだよ。姉ちゃん、それは言い過ぎだろ」
言いすぎなもんですか。これまでのこと考えると、基本ゆいなって信用ならないし。
健太が裏切られようと知ったこっちゃないけど、何かあったときは絶対に容赦しないつもり。
「ゆいなだってちゃんと分かってますよぅ。もうお城で尋問とかされたくないし、ループ地獄からもようやく抜け出せそうなんですからぁ」
「そこんトコはわたしもできる限り協力する。だからギブ&テイクってことで、今回はわたしに付き合いなさい」
とにかく今は気に食わないとか言ってる場合じゃないし。共同戦線張って、無事にゲームの世界を終わらせなくちゃ。
「ロレンツォってかなり強引だから、ゆいなも一応気をつけといて」
「そう思うならゆいなを巻き込むなよ」
「大丈夫よ、ロレンツォはマサトと保健医の先生の間に座らせるから」
「姉ちゃん、保健医まで呼んだの? なんで?」
「大人がいた方が、もめ事も起きにくいでしょ?」
なんてったってリュシアン様、理事長で元国王だしね。こんなに心強い味方はいないって感じ。
「あ~あ、ロレンツォって顔だけはいい線いってるのになぁ。性格がああじゃなければよかったのに」
「……姉ちゃんってさ、結構矛盾してるよね」
「は? なによソレ」
「だってそうだろ? 顔さえよければ性格なんてどうでいいって、姉ちゃんいつも言ってるじゃんか」
「それは……」
確かに今でもそう思ってるけど。
「だ、だってロレンツォはイケメンだけど、わたしの完璧な理想ってワケじゃないし」
そうよ、イケメンなら誰でもいいってことじゃないんだよ。
夢に出てきた天使くらいド真ん中だったら、どんなに性格悪くってもオッケーだけど。
「やだぁ、理想の王子様じゃないとダメだなんて、華子先輩、あんがいかわい~」
むかっ。ゆいなに言われると余計に腹立つんですけど。
男をとっかえひっかえしてたあんたと違って、わたしは純真無垢な乙女なんだつうの!
ゆいなはようやく謹慎が解けたから、今は普通に学園に通ってる。なのでモッリ家にも正面玄関から入って来られるようになったってわけ。
で、ロレンツォとのことを改めて相談したんだけど。
健太ってば呆れた顔して笑うだなんて、一体どういうコトよ?
「姉ちゃんってホント攻略対象ホイホイだよな」
「笑い事じゃないわよ。山田のコトだけでも頭が痛いって言うのに……」
「どうしてですかぁ? ゆいななら、テキトーに遊んでいろんなもの買ってもらっちゃうのにぃ」
「だったらゆいながなんとかしてよ。あんたがこのゲームのヒロインでしょ?」
「えー、イヤですよぉ。ゆいなの好きぴはけんたんだけですもん」
健太とゆいなが、ねーって首を傾け合った。
ちっ、リア充め。
とにかく今は我慢するんだ華子。態度に出してひがんでるって言われても悔しいし。
ふたりのコトは許したって未希には言ったけど。
いつか健太が痛い目見ればいい、なんて心の底では思っていたり。
なにせあのゆいなだからね。ほかにいいオトコが現れたら、あっさりそっちに鞍替えしそう。
それはさておき、問題は明日のお茶会だ。ロレンツォにはサシ飲みするとは言ってないから、大勢集めてうやむやにしようかな。
マサトのヤツも来る気満々だったし、この際だから健太もゆいなも巻き込んじゃおうっと。
「そういうわけで、ゆいなと健太も明日放課後裏庭に集合ね」
「え、俺、生徒会の仕事あるから無理だって」
「大事な姉ちゃんが困ってるのよ? 一日くらい融通利かせなさいよ」
「理由言ったら許可出るかもだけど……そんときはシュン王子もついて来ると思うよ?」
「そ、それはダメ!」
山田までいたら、余計にややこしいことになっちゃいそう。
王子同士でバトったりしたら、国際問題になりかねないし。悪役令嬢のくせに、ハナコってば罪なオンナだよ。
「分かった。健太は生徒会室で山田を足止めしてて。ゆいなはお茶会に出席ね」
「えー、ゆいなだって生徒会があるのにぃ」
「どうせお茶くみ要員で、仕事なんかしてないんでしょ?」
昔からめんどう事があると、要領よく逃げ回っていたじゃない。
「ゆいな。あんたさ、モッリ家に嫁ぐ気でいるのなら、わたしと仲いいとこアピールしといた方が都合がいいんじゃないの?」
ケンタはモッリ公爵家の跡取りだし、ハナコの弟だけあって顔面偏差値もかなり高めだ。令嬢たちに結構モテてるし、社交界的に見て男爵令嬢のユイナ・ハセガーでは不釣り合いって思われるだろう。
「もう、わかりましたぁ。そのかわりゆいなのコト、ちゃんとバックアップしてくださいよ?」
「もちろんよ。ただし……」
にっこりとゆいなに微笑み返す。
「モッリ家に泥塗るような真似したら、社交界から徹底的に排除するからね?」
「やだぁ、華子先輩こわぁ~い」
「そうだよ。姉ちゃん、それは言い過ぎだろ」
言いすぎなもんですか。これまでのこと考えると、基本ゆいなって信用ならないし。
健太が裏切られようと知ったこっちゃないけど、何かあったときは絶対に容赦しないつもり。
「ゆいなだってちゃんと分かってますよぅ。もうお城で尋問とかされたくないし、ループ地獄からもようやく抜け出せそうなんですからぁ」
「そこんトコはわたしもできる限り協力する。だからギブ&テイクってことで、今回はわたしに付き合いなさい」
とにかく今は気に食わないとか言ってる場合じゃないし。共同戦線張って、無事にゲームの世界を終わらせなくちゃ。
「ロレンツォってかなり強引だから、ゆいなも一応気をつけといて」
「そう思うならゆいなを巻き込むなよ」
「大丈夫よ、ロレンツォはマサトと保健医の先生の間に座らせるから」
「姉ちゃん、保健医まで呼んだの? なんで?」
「大人がいた方が、もめ事も起きにくいでしょ?」
なんてったってリュシアン様、理事長で元国王だしね。こんなに心強い味方はいないって感じ。
「あ~あ、ロレンツォって顔だけはいい線いってるのになぁ。性格がああじゃなければよかったのに」
「……姉ちゃんってさ、結構矛盾してるよね」
「は? なによソレ」
「だってそうだろ? 顔さえよければ性格なんてどうでいいって、姉ちゃんいつも言ってるじゃんか」
「それは……」
確かに今でもそう思ってるけど。
「だ、だってロレンツォはイケメンだけど、わたしの完璧な理想ってワケじゃないし」
そうよ、イケメンなら誰でもいいってことじゃないんだよ。
夢に出てきた天使くらいド真ん中だったら、どんなに性格悪くってもオッケーだけど。
「やだぁ、理想の王子様じゃないとダメだなんて、華子先輩、あんがいかわい~」
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