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君がいないと
君なら大丈夫だから
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顔をパンパンと叩いて気合を入れて早速星月さんの家に向かおうと準備室を出ると、黒田さんも急いで僕の方についてくる。
「まって、松原君!」
僕を呼び止めるとぺこりと頭を下げる。
「……さっきはバカとか言っちゃってごめんね。ちょっと熱くなっちゃって……」
正直全然謝ってもらうようなことでもないし可愛かったからどうでもいいけど、これで謝ってくれる黒田さんありがとう。
「全然大丈夫! 僕は気にしてないし!」
「……本当、それなら良かった! ……それじゃあ、松原君よろしくね」
もう一度頭をぺこりと下げる黒田さんに少しあたふたしながらも廊下を歩きだす。
……少し歩いて怖くなった。
一度拒絶されたからやっぱりもう一回行ってもダメなんじゃないかって気分になって。
やっぱり星月さんに会えないんじゃないか、僕には何もできないんじゃないかって思って。
「……黒田さん、僕大丈夫かな……その僕あかりちゃんにちゃんと……」
不安をぶつけるように、恐怖を吐露するようにつぶやく。
急に振り向いてそんなことを言い出した僕にびっくりしたような表情を見せた黒田さんだったが、すぐに優しい顔になる。
「大丈夫、あーちゃんは松原君の事ちゃんと想ってくれてるよ。あーちゃんはずっと君の事話してたもん」
「でも、でも……」
「でもじゃない、ちゃんと自信もって! 君はあーちゃんの彼氏なんでしょ! だから大丈夫。だって……あーちゃんが選んだんだもん」
そう言って「ね?」という風に笑いかけてくれる。
……ありがとうござます。
もう一回勇気もらっちゃったな。
今日も含めてこれで何回目だろうか……だから僕は黒田さんの事を好きになったのかもしれない。
「……ありがとう、黒田さん。やっぱり頑張ってくる」
僕の言葉に「その意気だよ!」とファイトしてくれた黒田さんだったけど、その直後に今度は「うーん?」と首を傾げ始める。可愛い。
一通り首を傾けてから黒田さんはポンと手を打つ。
「ねえねえ松原君、私の事はこれからみーちゃんって呼んで! 私もいお君って呼ぶから!」
「……え?」
突然のことに何を言われたか頭が少しフリーズする。ええっと……なんで?
「だっていお君は私のあーちゃんの彼氏さんでしょ! だからさ、仲良くなりたいなー、って……だめ?」
そう言って上目づかいで聞いてくる。破壊力!!!
……冷静にその呼び方は、その……
「……いや、でもその、急にそういう感じで呼ぶのは、そのすごく恥ずかしいから……」
恥ずかしいです。てか無理です、、、
「ふふふ、まあ急に言われてもそうだよね。でも、またそう呼んでくれると嬉しいな……あ、そうだ、いお君LIMEやってるよね? ふるふるしよ、ふるふる! LIMEの友達登録ならいいでしょ?」
僕の反応に一瞬残念そうな顔をした黒田さんだったけど、すぐにスマホを取り出して笑顔で横にふるふるする。なんだその可愛い動きは。
取りあえず僕もスマホを取り出してふるふるするとクルクルとロードが入り、「MⅠYABⅠ」という名前が登録された。
おお、本物の連絡先だ……!
連絡先の交換を終えると再び黒田さんはキリッとした目でこっちを見る。
「それじゃあ、いお君お願いします。本当にあーちゃんを……お願い!」
その言葉に「任せて!」と僕は強く胸を打った。
「あ、先輩、お疲れ様です……!」
いざ星月さんのところに行こう! と思い校門を出ようとすると香菜ちゃんがいた。
「いえ、盗み聞きしてたとか待ち伏せしていたとかそういうのではなくてですね……その、忘れ物です! 忘れ物しちゃってそれで帰ろうとしているとたまたま先輩の姿見つけちゃって……あの、その、すみません!」
「なんで謝るのさ……」
「いえ、その……あ、すみません、これで失礼します!」
そういってさっさと少し嬉しそうに走り出す香菜ちゃん。
「サヨナラ―」っと手を振って僕も星月さんの家に向かうことにした。
「まって、松原君!」
僕を呼び止めるとぺこりと頭を下げる。
「……さっきはバカとか言っちゃってごめんね。ちょっと熱くなっちゃって……」
正直全然謝ってもらうようなことでもないし可愛かったからどうでもいいけど、これで謝ってくれる黒田さんありがとう。
「全然大丈夫! 僕は気にしてないし!」
「……本当、それなら良かった! ……それじゃあ、松原君よろしくね」
もう一度頭をぺこりと下げる黒田さんに少しあたふたしながらも廊下を歩きだす。
……少し歩いて怖くなった。
一度拒絶されたからやっぱりもう一回行ってもダメなんじゃないかって気分になって。
やっぱり星月さんに会えないんじゃないか、僕には何もできないんじゃないかって思って。
「……黒田さん、僕大丈夫かな……その僕あかりちゃんにちゃんと……」
不安をぶつけるように、恐怖を吐露するようにつぶやく。
急に振り向いてそんなことを言い出した僕にびっくりしたような表情を見せた黒田さんだったが、すぐに優しい顔になる。
「大丈夫、あーちゃんは松原君の事ちゃんと想ってくれてるよ。あーちゃんはずっと君の事話してたもん」
「でも、でも……」
「でもじゃない、ちゃんと自信もって! 君はあーちゃんの彼氏なんでしょ! だから大丈夫。だって……あーちゃんが選んだんだもん」
そう言って「ね?」という風に笑いかけてくれる。
……ありがとうござます。
もう一回勇気もらっちゃったな。
今日も含めてこれで何回目だろうか……だから僕は黒田さんの事を好きになったのかもしれない。
「……ありがとう、黒田さん。やっぱり頑張ってくる」
僕の言葉に「その意気だよ!」とファイトしてくれた黒田さんだったけど、その直後に今度は「うーん?」と首を傾げ始める。可愛い。
一通り首を傾けてから黒田さんはポンと手を打つ。
「ねえねえ松原君、私の事はこれからみーちゃんって呼んで! 私もいお君って呼ぶから!」
「……え?」
突然のことに何を言われたか頭が少しフリーズする。ええっと……なんで?
「だっていお君は私のあーちゃんの彼氏さんでしょ! だからさ、仲良くなりたいなー、って……だめ?」
そう言って上目づかいで聞いてくる。破壊力!!!
……冷静にその呼び方は、その……
「……いや、でもその、急にそういう感じで呼ぶのは、そのすごく恥ずかしいから……」
恥ずかしいです。てか無理です、、、
「ふふふ、まあ急に言われてもそうだよね。でも、またそう呼んでくれると嬉しいな……あ、そうだ、いお君LIMEやってるよね? ふるふるしよ、ふるふる! LIMEの友達登録ならいいでしょ?」
僕の反応に一瞬残念そうな顔をした黒田さんだったけど、すぐにスマホを取り出して笑顔で横にふるふるする。なんだその可愛い動きは。
取りあえず僕もスマホを取り出してふるふるするとクルクルとロードが入り、「MⅠYABⅠ」という名前が登録された。
おお、本物の連絡先だ……!
連絡先の交換を終えると再び黒田さんはキリッとした目でこっちを見る。
「それじゃあ、いお君お願いします。本当にあーちゃんを……お願い!」
その言葉に「任せて!」と僕は強く胸を打った。
「あ、先輩、お疲れ様です……!」
いざ星月さんのところに行こう! と思い校門を出ようとすると香菜ちゃんがいた。
「いえ、盗み聞きしてたとか待ち伏せしていたとかそういうのではなくてですね……その、忘れ物です! 忘れ物しちゃってそれで帰ろうとしているとたまたま先輩の姿見つけちゃって……あの、その、すみません!」
「なんで謝るのさ……」
「いえ、その……あ、すみません、これで失礼します!」
そういってさっさと少し嬉しそうに走り出す香菜ちゃん。
「サヨナラ―」っと手を振って僕も星月さんの家に向かうことにした。
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