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「ルシフェスとお呼びください……お嬢様」

不満げにするルシフェスも可愛いですが、何故そんなにも使用人になりたがるのですか………?私この先が不安でなりません。

「ルシフェス様、あのですね」

「ルシフェス、と」

「………ルシフェス様、さすがに」

「ルシフェス、と」

「………………ルシフェス様、私は」

「ルシフェス、と」

「……………………………ルシフェス」

「はい!なんでしょうか?お嬢様!」

うーん、これは逆らえないです。きっと陛下も似たような攻撃を受けたのかもしれません。貴方が他に恋をしてくれないと私も自分の恋を見つけられないのですよ?

まあ残念美人、変人の私に恋が叶うかと言われれば失恋まっしぐらかもしれませんが。顔だけ見られても………って感じですし、性格を変えてまでがんばる気はありませんし……中々難しいですわ。

さて、現実逃避もそこそこになんとか使用人になろうとする皇子様をなんとかできないかしら?

「ルシフェス」

「はい!」

「貴方は皇子です」

「そう、ですね。あまり自信がないんですが……」

「陛下が認めたのですから自信を持ちなさい」

「お嬢様が言うのでしたら!」

これは……危険かもしれませんね。私の言いなりになるのはよくない傾向です。地位が地位なだけに。もう……本当どうしましょう……?

「ルシフェス、私は貴方と婚約しなくても望めば会いに行くくらいいたしますよ?」

悩んでいても仕方ありません。まずは婚約解消をしてもエンファント家との家族として認められなくなるわけじゃないことを教えなければ。拾った時点で身分がどうであれ望む限りは私たちの家族であると。

「お嬢様は……私との婚約が、嫌なんですか?」

それで安心感を与えるつもりが急に空気が冷たくなった気がします。何よりルシフェス様、その絶望感溢れる表情は一体……?

「いや、嫌では……」

「まさか、慕う方が?だめですよ、お嬢様。私、お嬢様と身分が釣り合うようになった今逃がす気はないですから」

「え?いや……」

身分が釣り合わなくなるのは寧ろ私の方ではないかしら?と思うものの、なんだか普段の可愛らしいルシフェス様はどこへいったのか、表情が随分と暗いです。

「きっとあの日のお嬢様との出会いは運命だったのだと今ならわかります!ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとあの縁談の申し込み書を見る度に相手が羨ましくて殺したくて……」

「る、ルシフェス?」

「でも私がまさかの父上の息子でお嬢様と離されたのは悲しかったですが、それ以上にチャンスで……ふふふ、やっと、やっとお嬢様と結ばれる可能性を私は捨てたりしませんよ?」

………この子、ルシフェス様の偽物じゃないですよね?
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