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知らない真実

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「陛下をどう思うか………怖いなとは思うかな」

「それは噂のせい?」

「うん………でも、顔が綺麗すぎて余計に……」

「まあ、姉様からすれば威圧感も感じるだろうしね」

トールは少し苦笑しながらそんなことを言う。多分身長の差を言っているのだろうけど背ならトールの方が高い。でも家族だから別枠になるんだろうか?

「トール……どうしてこんな朝早くから急に?」

「普段は姉様は父上、母上とで僕に対してひっつき虫になるから二人で話せるのは今かなって。僕は姉様に皇妃は勤まらないと思うけど、相手だけで考えるなら陛下はいい相手だと思うんだ」

「確かにトールは陛下と気があったみたいだけど私は……」

トールが仲良くなれたからと言って私がそうとは限らない。それはトールもわかっていると思っていたけど……。

「姉様は気づいてなかったかもしれないけど、陛下はずっと姉様を気にかけていたし、目がね、姉様にはすごく優しいんだ」

そう言われてふと思い出す謁見の間から退出前の陛下からの微笑み。確かに一瞬だけど優しげな瞳だった気がする……。

「でも………」

「姉様、噂や見た目で辛い思いをすることがあるとスモール家はみんなよくわかってるよね」

「あ………」

トールに言われてはっとする。私はいつまで経っても幼い見た目で色々言われてきた。いつまでたっても大人の仲間入りは無理だなんて言われたりも。それはもしかしたら陛下にだってあるのかもしれない。

世界の頂点に立つ人だからと人の噂は止められないのかもしれない。そう言えば陛下と話しているとき、陛下は一度だって身分の低い私たちに酷いことをするどころか気遣ってくれていたように思う。

なのに私は怯えてばかりで………

「まあ身分も容姿も恵まれ過ぎて逆らえば何かあるんじゃと怯えてしまうのはあるかもしれないけど、それでも陛下は姉様を襲おうとしたくせに脅してくるようなあの伯爵みたいに悪い人ではないように思うんだけどどうかな?」

「それは………うん。寧ろ陛下は怒ってくれた」

その怒りのオーラに怯えてしまったけれど、あれは確かに私の悔しさの代弁とばかりに怒りを抱いてくれていたのだと冷静な今ではわかる。

「そっか……なら、少しは陛下と向き合う努力をするのもいいと思うよ?」

「うん………ありがとう。でもなんでトールはわざわざ………」

「時々ね、陛下が寂しそうに見えたんだ」

「寂しそうに……?」

「僕ら家族を羨むような感じで………なんとなく陛下を応援したくなったというか」

「そう、なんだ」

寂しそう、か………陛下はその地位に本来つくにしてはお若い。それはご両親を亡くしているから。噂ではご自身で殺めたとされている。だからこそ暴君と呼ばれ、私も怖く思っていたけど実際はどうなんだろう?
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