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犯人現れる?

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「陛下ー!私が犯人ですーっ!」

そんなとき、ばーんっと派手に扉を開けて叫ぶ声。あまりの派手な登場に全員がそちらに向く。

「宰相、目が覚めたか」

しかし、特に私たちや他とは違い驚いた様子はなく眉をひそめた陛下は騒がしいとばかりに宰相様を睨み付けながら言った。

「陛下、違うんです!スモール家はなんら関係ありません!今回の騒ぎは私の自作自演でございます!」

「は………?」

宰相様は陛下に言葉を返さないどころか凄く慌てた様子でそんなことを言う。え?宰相様の襲撃事件が、宰相様の自作自演?でも民がすでにそのように行動を起こしたと言っていたようだし、違ったにしてもそれなら民はそんなに早くその宰相様襲撃事件の情報を誰から得たのか?何故わざわざ民が自分達がそのようにしたと言ったのか謎ばかりが浮かぶ。

「確かに私はスモール家の民の中の親戚のそのまた親戚のさらに親戚そのまたまた親戚の筋から養子に出されたとはいえ、多少繋がりはあるかもしれません」

それはもう他人ではないだろうか……?繋がり………ある………?

「もはや関係ないと思うが……」

皇帝様も同じように思ったようだ。

「そうです!関係ないのです!ただ、私にはスモール家に忠誠を誓う血が流れているのです!」

関係ないのに?そんなに遠い血………さすがに薄まっていると思うのだけど………。

「関係ないならその血も気のせいだろう」

さっきから陛下とすごく気が合う気がする。おかげで何故か怖さが半減した。言いたいことをそのまま言ってくれている気がするから。

「そんなわけはありません!私はあの日スモール家に出会った日からスモール家に忠誠を誓っているのですから!そのために宰相という地位になったぐらいです!」

「普通は俺に忠誠を誓ってほしいものだがな?それにスモール家とは関係ないんじゃないのか?」

「はっ!そうです!関係ありません!暴君皇帝にコルトリア様を嫁がせてなるものかと起こしたわけではありません!」

「何故俺はこれを宰相にしていたのか………今物凄く後悔をしている」

「その……お察しします、陛下」

さすがのトールも苦笑しながら陛下を労う。なんだろう、この残念な宰相様は………。疲れてるのかな………?

「トール、お前が宰相になるか?」

「まだ成人もしておりませんのでさすがに………」

「そうか、そうだったな……」

「トール様がお望みなら譲りますぞ!宰相の地位!」

「あ、いらないです」

「そうですか………」

なんで宰相様が残念そうにするのか……。そんなに譲りたいほどに大変だからとか………?

そんながっくりする宰相様をトールと陛下は呆れた様子で見ていた。
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