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代償は羞恥

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「うううう………」

「姉様、ごめんって」

「いや、その、あまりにも可愛らしくて………すまない」

「コリー、すまなかった。声をかければよかったね」

「悪かったわ、コリー」

あれから、首をひとりぶんぶん振ってじっと見られていたことに気づいた私は顔を真っ赤にし、俯いた。そんな私を私の家族たちと、陛下に慰められ、余計に視線が集まるものだから穴があったら入りたい気分だ。

父も母もあうあうマシーンをしとけばそちらに視線がまだいったかもしれないのに……変にひとりで思考に陥ったばかりに………!

「そ、そうだ!お詫びに何かひとつ願いを叶えてやってもいいぞ?」

しかし、そんな羞恥も役に立ったらしい。何故か一番焦っている皇帝様がそんなことを言い出した。

この状況で願いなんてひとつしかない。

「しゃ、さ、さ、宰相様を、襲撃した私たちの民を許してあげてくだちゃ………いいぃ………っうぅ………っ」

なんで、なんで今噛んだの!?羞恥を羞恥で上書きしただけじゃないっ!バカなの!?私はバカなの!?

「…………~~っ………ふぅ」

ほら、陛下もぷるぷると口を手で押さえて怒りを我慢してるんだわ!私があまりにどんくさいから!民を許してもらえるチャンスだったかもしれないのにぃ………!

「陛下、悶えるのはそれぐらいにして許可をいただけないと姉様が泣きます」

トール………!?いくらさっき陛下と意気投合したからって………

「そ、そうだな……わかった、いいぞ、許す」

え、あれ、いいの?え、宰相様を襲撃したのにそんなあっさり?え?

「あ、あ、あの、ありがたいのですがよいのですか?」

さすがの父も不安なのか改めて聞き直す。

「さっき言ったように大した被害はない。城の中で起こしたことは問題ではあるが、今回のことで城の警護を見直す機会にもなるからな。いっそ、俺の気まぐれで始めた護衛チェックテストということにするか」

そんな簡単に片付けていいものなのか………でも、陛下がそう言ってくれるなら私たちとしても助かるし、嬉しいと思う。こんなことを仕出かした民にはしっかり叱らなきゃだけど、その前に居所がわからないんだよね。

「苦労をかけます、陛下」

「まあ、コルトリアのためを想ってなら仕方ない。俺も逆の立場なら皇帝の首すらとっていた」

その陛下のお言葉にふと皇帝様に反逆しようと叫んでいた民を思い出す。民たちも陛下と同じ考えで首をとるつもりだったのだろうかと。

…………危ないようなことをしないよう私からも帰ったら父たちと一緒に注意した方がいいかもしれない。今回は許されても次回があるとは思えないし………。

なんて別のことを考えているうちに私はすっかり宰相様を襲った民の居場所についての疑問は頭の隅へと追いやられていた。
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