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意気投合?
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「………というかくかくしかじかなわけです」
「なるほど………宰相を襲撃した犯人はスモール家領地の民だったか」
話を詳しく知った陛下は思ったより怒っている様子はなく、寧ろ感心している素振りすらあった。
「あぅ………こ、この度はうちの民が誠に申し訳ありませんでした!」
なんとかあうあうマシーンから逃れた父がスライディング土下座を披露する。はっとした私と母も出遅れながらもスライディング土下座をし、トールはひとりのんびりと正座をして手を床につけるとゆっくりと頭を下げた………つまり普通の土下座。
「これはまた見事な土下座……いや、謝罪はいい。この騒ぎで結婚手続きが進められないのは腹立たしいが、実はまだ犯人が見つかっていなくてな。皇宮のものを出し抜く手際のいい者がスモール家の民と言うならば寧ろ家臣に加えたいぐらいだ。それに命すら与えられるその忠誠心、民にそこまで愛される貴族も珍しい。まあ、宰相は今眠っているが無事だしな。被害は結婚手続きの邪魔をされたぐらいだ。民の反逆の意思に関してはお前たちを想ってのことならば仕方あるまい。根源はあの下衆伯爵だろう?あれを片付けたあと、民にコルトリアを大事にする意思を伝え、スモール民にも認めてもらってから改めて結婚手続きをするとしよう。コルトリアの両親に認められればと判断した俺の間違いだったようだ」
「お許しをいただけるのですか?」
私も驚きだけど、トールもまた驚いたように顔をあげて再び確認するように問いかける。
「ああ、許す。何よりコルトリアの大切な民なのだろう?」
「え、あ、は、はい………!み、みんな、優しくて、それで、あの」
急に私に話を振られ、言葉がうまく紡げなかったが、特に陛下の怒りに触れることはなく、何故か輝かんばかりの微笑みを向けられた。………はっ!まさかからかわれているのだろうか!?
「なるほど……確かに陛下は姉様を大事に想ってくださるようですね」
しかし、トールが何を見てそう思ったのか、いつの間にか立ち上がってうんうんと頷いている。よく見てトール!私からかわれてるのよ?と叫びたいが、さすがに言えるはずもない。
というか勝手に立って何してるの………?はわわわ………っ
「こう言ってはなんだが、本当にどこまでも似ていないな、弟君は」
「トールでいいです。先祖返りらしいですよ。先祖の中にはスモール家の背を少しでも高くできないかと背の高い人物との結婚もあったようで、その名残か、稀に私みたいに背の高い子が産まれるんです」
「いや、背以外もだがな?」
「産まれたときから色々任せちゃおけないと思って育ちましたから」
「産まれたときからか」
「産まれたときからです」
「苦労してるようだな……」
「わかっていただけますか……」
何故か陛下と意気投合しているトール。もう妻の座トールに譲っちゃだめかな………?いや、だめよ!弟にそんな重荷を背負わせるなんて姉失格だわ!
そんな思考に苛まれている間、私はひとり、無言で首をぶんぶん横に振り、じっと陛下とトール、周りの人たちに視線を向けられていることにしばらく気がつかなかった。
「なるほど………宰相を襲撃した犯人はスモール家領地の民だったか」
話を詳しく知った陛下は思ったより怒っている様子はなく、寧ろ感心している素振りすらあった。
「あぅ………こ、この度はうちの民が誠に申し訳ありませんでした!」
なんとかあうあうマシーンから逃れた父がスライディング土下座を披露する。はっとした私と母も出遅れながらもスライディング土下座をし、トールはひとりのんびりと正座をして手を床につけるとゆっくりと頭を下げた………つまり普通の土下座。
「これはまた見事な土下座……いや、謝罪はいい。この騒ぎで結婚手続きが進められないのは腹立たしいが、実はまだ犯人が見つかっていなくてな。皇宮のものを出し抜く手際のいい者がスモール家の民と言うならば寧ろ家臣に加えたいぐらいだ。それに命すら与えられるその忠誠心、民にそこまで愛される貴族も珍しい。まあ、宰相は今眠っているが無事だしな。被害は結婚手続きの邪魔をされたぐらいだ。民の反逆の意思に関してはお前たちを想ってのことならば仕方あるまい。根源はあの下衆伯爵だろう?あれを片付けたあと、民にコルトリアを大事にする意思を伝え、スモール民にも認めてもらってから改めて結婚手続きをするとしよう。コルトリアの両親に認められればと判断した俺の間違いだったようだ」
「お許しをいただけるのですか?」
私も驚きだけど、トールもまた驚いたように顔をあげて再び確認するように問いかける。
「ああ、許す。何よりコルトリアの大切な民なのだろう?」
「え、あ、は、はい………!み、みんな、優しくて、それで、あの」
急に私に話を振られ、言葉がうまく紡げなかったが、特に陛下の怒りに触れることはなく、何故か輝かんばかりの微笑みを向けられた。………はっ!まさかからかわれているのだろうか!?
「なるほど……確かに陛下は姉様を大事に想ってくださるようですね」
しかし、トールが何を見てそう思ったのか、いつの間にか立ち上がってうんうんと頷いている。よく見てトール!私からかわれてるのよ?と叫びたいが、さすがに言えるはずもない。
というか勝手に立って何してるの………?はわわわ………っ
「こう言ってはなんだが、本当にどこまでも似ていないな、弟君は」
「トールでいいです。先祖返りらしいですよ。先祖の中にはスモール家の背を少しでも高くできないかと背の高い人物との結婚もあったようで、その名残か、稀に私みたいに背の高い子が産まれるんです」
「いや、背以外もだがな?」
「産まれたときから色々任せちゃおけないと思って育ちましたから」
「産まれたときからか」
「産まれたときからです」
「苦労してるようだな……」
「わかっていただけますか……」
何故か陛下と意気投合しているトール。もう妻の座トールに譲っちゃだめかな………?いや、だめよ!弟にそんな重荷を背負わせるなんて姉失格だわ!
そんな思考に苛まれている間、私はひとり、無言で首をぶんぶん横に振り、じっと陛下とトール、周りの人たちに視線を向けられていることにしばらく気がつかなかった。
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