1 / 27
仲良く気絶するもわざとじゃない
しおりを挟む
「貴様を俺の妻にする!」
「………ほぇっ?」
「ぐぅ………っ愛らしい………!じゃなく………!断るのは許さん!明日………いや、今から貴様は俺の妻だ!」
それは突然のことだった。この国の皇帝たる陛下と遠くから目が合ったと思ったら急に陛下が近づいてきてあっという間に距離が縮まったかと思えばそんな宣言を目の前でされて………あまりの驚きに私の視界は真っ暗になった。
さて、そんな私が気絶する前の話に戻そう。今日は私にとっては憂鬱な、しかしながら陛下自ら開かれる特別な舞踏会だった。陛下は世界の頂点とも言える存在で威厳はもちろん、未来すら見えているのでは?と思うほどに地位に見合ったスペックの高いお方。容姿もそれこそ一度は男女共に必ず見惚れるほどにお綺麗で、欠点なんてあるのだろうか?あっても気にならないなんて思わせる何かがある。
しかし、この皇帝決して聖人君子ではない。見た目は天使、中身は魔王と言えるほどに容赦のない暴君。気に入らないものは女子供にすら容赦はなく、中には陛下に媚びを売ろうとした親子貴族に醜いのは顔だけにしろと言い放ち翌日その貴族は没落したとか。それでも死ななかっただけマシだと言われるのだから余程である。
そんなわけでそんなお人ではあるのだが、嫌なものは嫌とはっきり言えるお方のため、女など選り取り見取りでありながら未だ婚約者がいないどころかなんと婚約者候補すらいないとか。高貴で自分に自信があるお人は私が候補と言う人もいるらしいが、陛下に無視されてばかりでそう言ってるだけでは?と疑われた結果、実際は婚約候補すらいないと言われている………らしい。
そういうわけで陛下………はたまた国の未来のためにもお世継ぎを得るためお嫁さん探しとして婚約者のいない適齢期を迎える、もしくは真っ只中の令嬢は強制参加の舞踏会が開かれたのだ。
その中に私、コルトリア・スモールも含まれていた。いつまでも背が低く、子供みたいな姿をからかわれ続けて自己防衛のために理由をつけて社交界から逃げてきた私が選ばれるはずもないのにそれでも見た目にしても身分の低さにしてもそれ故にろくな相手からの縁談がないため、婚約者を早急に作れるはずもなくせめてと優しい両親たちが共に付き添って来た舞踏会はあまりにきらびやかで家族寄り添って壁に避難したほど。
気分は狼の群れに放り込まれたうさぎの家族。
「お、お父様、お母様!わ、わた、私たち場違いな気がします!」
「そそそそうね!でもあなたが皇帝に挨拶をしないと帰れないのよ………っ」
「う、うむむ……い、いっそ私が女装をしてコリーの代わりを………!」
「お………お父様…………っ!ぐず………っお気持ちは嬉しいですが、父が殺されるのを見たくはないですっ!」
「わ、私も娘の死は見たくない!」
「うう………っもし、もし陛下の機嫌を損ねた場合私たちは死ぬときも一緒ですわ!」
「お母様!」
「メリー!」
きらびやかな舞踏会で似合わない涙を流しながら私たちスモール家の絆が深まったその時は死ぬか生きるかのどちらかの考えしかなかった。それこそ皇帝様と話した記憶がなく噂だけを信じてより怖い想像をしていたから。
だからまさか挨拶までの心の準備前段階で目があって選ばれるなんてそれこそ予想外すぎて気絶しても仕方なかったというのは私の言い訳である。ちなみにその時気絶したのは私だけでなく、親の二人も。
似たもの家族の私たちはそれこそ見事にタイミングを揃えて気絶したのだと後に聞いた。
「………ほぇっ?」
「ぐぅ………っ愛らしい………!じゃなく………!断るのは許さん!明日………いや、今から貴様は俺の妻だ!」
それは突然のことだった。この国の皇帝たる陛下と遠くから目が合ったと思ったら急に陛下が近づいてきてあっという間に距離が縮まったかと思えばそんな宣言を目の前でされて………あまりの驚きに私の視界は真っ暗になった。
さて、そんな私が気絶する前の話に戻そう。今日は私にとっては憂鬱な、しかしながら陛下自ら開かれる特別な舞踏会だった。陛下は世界の頂点とも言える存在で威厳はもちろん、未来すら見えているのでは?と思うほどに地位に見合ったスペックの高いお方。容姿もそれこそ一度は男女共に必ず見惚れるほどにお綺麗で、欠点なんてあるのだろうか?あっても気にならないなんて思わせる何かがある。
しかし、この皇帝決して聖人君子ではない。見た目は天使、中身は魔王と言えるほどに容赦のない暴君。気に入らないものは女子供にすら容赦はなく、中には陛下に媚びを売ろうとした親子貴族に醜いのは顔だけにしろと言い放ち翌日その貴族は没落したとか。それでも死ななかっただけマシだと言われるのだから余程である。
そんなわけでそんなお人ではあるのだが、嫌なものは嫌とはっきり言えるお方のため、女など選り取り見取りでありながら未だ婚約者がいないどころかなんと婚約者候補すらいないとか。高貴で自分に自信があるお人は私が候補と言う人もいるらしいが、陛下に無視されてばかりでそう言ってるだけでは?と疑われた結果、実際は婚約候補すらいないと言われている………らしい。
そういうわけで陛下………はたまた国の未来のためにもお世継ぎを得るためお嫁さん探しとして婚約者のいない適齢期を迎える、もしくは真っ只中の令嬢は強制参加の舞踏会が開かれたのだ。
その中に私、コルトリア・スモールも含まれていた。いつまでも背が低く、子供みたいな姿をからかわれ続けて自己防衛のために理由をつけて社交界から逃げてきた私が選ばれるはずもないのにそれでも見た目にしても身分の低さにしてもそれ故にろくな相手からの縁談がないため、婚約者を早急に作れるはずもなくせめてと優しい両親たちが共に付き添って来た舞踏会はあまりにきらびやかで家族寄り添って壁に避難したほど。
気分は狼の群れに放り込まれたうさぎの家族。
「お、お父様、お母様!わ、わた、私たち場違いな気がします!」
「そそそそうね!でもあなたが皇帝に挨拶をしないと帰れないのよ………っ」
「う、うむむ……い、いっそ私が女装をしてコリーの代わりを………!」
「お………お父様…………っ!ぐず………っお気持ちは嬉しいですが、父が殺されるのを見たくはないですっ!」
「わ、私も娘の死は見たくない!」
「うう………っもし、もし陛下の機嫌を損ねた場合私たちは死ぬときも一緒ですわ!」
「お母様!」
「メリー!」
きらびやかな舞踏会で似合わない涙を流しながら私たちスモール家の絆が深まったその時は死ぬか生きるかのどちらかの考えしかなかった。それこそ皇帝様と話した記憶がなく噂だけを信じてより怖い想像をしていたから。
だからまさか挨拶までの心の準備前段階で目があって選ばれるなんてそれこそ予想外すぎて気絶しても仕方なかったというのは私の言い訳である。ちなみにその時気絶したのは私だけでなく、親の二人も。
似たもの家族の私たちはそれこそ見事にタイミングを揃えて気絶したのだと後に聞いた。
0
お気に入りに追加
4,101
あなたにおすすめの小説
【完結】長い物語の終わりはハッピーエンドで
志麻友紀
BL
異世界召喚されたら、前世の賢者の記憶がよみがえった!
転送の事故により魔力ゼロで玉座に放り出された史朗を全員無視。彼らの目当ては、史朗が召喚に巻き込まれた少女で、彼女こそ救国の聖女だという。
そんな史朗に唯一、手を差し伸べてくれたのは、濃紺の瞳の美丈夫、聖竜騎士団長ヴィルタークだった。彼の屋敷でお世話係のメイドまでつけられて大切にされる日々。
さらに史朗が魔鳥に襲われ、なけなしの魔力で放った魔法で、生命力が枯渇しかけたのを、肌を合わせることでヴィルタークは救ってくれた。
治療のためだけに抱いた訳じゃない。お前が好きだと言われて史朗の心も揺れる。
一方、王国では一年の間に二人もの王が亡くなり、評判の悪い暫定皇太子に、ヴィルタークの出生の秘密もあいまって、なにやら不穏な空気が……。
R18シーン入りのお話は章タイトルの横に※つけてあります。
ムーンライトノベルズさんでも公開しています。
婚約令嬢の侍女調教
和泉/Irupa-na
ホラー
負債を抱える領地への援助と引き換えに、令嬢セレンティアは公爵家への婚約話を持ち掛けられた。正式な婚礼前に、嫁ぎ先で侍女として働くものの、将来有望な嫡男との婚約を嫉妬され、短いエプロンドレスでの給仕を強いられる。
やがて将来の義母となる夫人と出会い、冷酷な女主人となるための調教を施されていく……。
連載小説「姫君たちの傷痕」の番外編、侯爵令嬢セレンティアがサディストに育つまでの物語です。過去話のため、単体で先に読んでも楽しめます。
※作中には、過剰な性描写や残酷な表現が含まれます。
転生悪役貴族、なぜか秘密結社の危険な美少女達に懐かれる~最凶美少女達のせいでシナリオ崩壊がひどいけど、ハッピーエンドを目指します~
救舟希望
ファンタジー
ひきこもりの高校生長嶺暁は、義妹の自殺騒動に巻き込まれて死亡し、大作RPG『デウス』の悪役貴族、サルヴァ・サリュに転生していた。
暁は、これは人生やり直しのチャンスだと奮起するが、問題が一つあった。
それはこの『デウス』世界の原作は、バッドエンド確定の鬱ゲーであるという事である。
原作において、主人公はヒロインをサルヴァに寝取られた上で、ヒロインが持つ女神の力を奪うためにヒロインを殺され、復讐に燃えた主人公はサルヴァをボロ雑巾のように殺す。そして主人公はその後女神の力で自らも死亡し、最後は主人公の事が好きだった秘密結社の少女が、世界ごと女神を滅ぼしながら盛大な自殺をする。それがこの〈デウス〉世界の悲しき運命であった。
だが当然暁は、殺されるのも、世界がバッドエンドを迎えるのも嫌だった。
暁改めサルヴァは決意する。強くなり、自分がこの世界を主人公には出来なかったハッピーエンドに導いてみせると。
だがその過程でサルヴァの下には、ゲーム内に存在する謎の秘密結社〈円環の唄〉の幹部、〈天の秘密を唄う使徒〉などと名乗る使徒たちが集まってくる。
サルヴァは、ヤンデレ美少女ばかりの〈円環の唄〉の使徒達に次々好かれていき、結果として原作シナリオは見事に崩壊していく――
ゲーム知識から来る特異な行動が、サルヴァに原作キャラ達との原作にない因縁を作り、サルヴァは否応なく誰も見た事がないストーリー展開に巻き込まれていくのだった――
【R18】えぇっ、殿下、本気だったんですか!?~落ちこぼ令嬢は王太子の溺愛を肉壁だと思い込んでいる~
春瀬湖子
恋愛
王家の盾であり、そして裏では王家の影をも担うコンタリーニ家に生まれたルチアは、嘆いていた。
なんと盾として頑張る予定が騎士団試験に落ちてしまったのである。
ならば影だ!と思ったのも束の間、ポンコツはいらないと断られてしまって?
「何にもなれないんですけどぉ!」
「なら僕の婚約者になればいいよ」
「王太子殿下、しれっと私を義父と呼ぶのはおやめください……」
両想いなのに伝わらないポンコツ(ヒーロー)×ポンコツ(ヒロイン)+ポンコツ(ライバル令嬢)のラブコメです。
※他サイト様でも公開しております。
異世界トリップして10分で即ハメされた話
XCX
BL
付き合っていると思っていた相手からセフレだと明かされ、振られた優太。傷心での帰宅途中に穴に落ち、異世界に飛ばされてしまう。落ちた先は騎士団の副団長のベッドの上。その副団長に男娼と勘違いされて、即ハメされてしまった。その後も傷心に浸る暇もなく距離を詰められ、彼なりの方法でどろどろに甘やかされ愛される話。
ワンコな騎士団副団長攻め×流され絆され傷心受け。
※ゆるふわ設定なので、騎士団らしいことはしていません。
※タイトル通りの話です。
※攻めによるゲスクズな行動があります。
※ムーンライトノベルズでも掲載しています。
引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?
リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。
誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生!
まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か!
──なんて思っていたのも今は昔。
40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。
このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。
その子が俺のことを「パパ」と呼んで!?
ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。
頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな!
これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。
その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか?
そして本当に勇者の子供なのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる