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34~ステイ視点~
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日記によればキャロエという人は犯罪者の子供と敬遠され、貧しい生活を送っていたらしい。そこでそれを知ったミリーナ……様は、これは使えると、秘密裏にキャロエと連絡をとることにしたらしい。
『今の生活は貴族のせいよ。傲慢な貴族によって貴方は今不幸になっているの。そう言って、キャロエという平民に、まずは貴族に対しての不信感を植え付けた。だって、復讐相手はいくらいても楽しいと思うから』
ミリーナ様とやらがいう復讐相手はキャロエによって殺される運命と定めた人だと僕は解釈した。あの幼い字で書かれた人の死に興奮したような文字からして、その性格が落ち着いたようには見えないから。
落ち着いていたならそもそも……復讐劇なんてことを思い付かないだろう。
「待って」
ここまで口に出して話していたわけだが、マリアによって止められる。何か気になる点でもあっただろうか?
「なら、キャロエ様はハワード様と出会う前からミリーナ様と接点があったということ?」
「まあ、洗脳を効きやすくするには会わないといけないみたいに書いてあったし……人気のないところで会ったりしていたんじゃ?」
「………」
的を射ていたのか、ミリーナ様とやらの視線が先ほどから痛い。まあ、話を止める気はないが……。でなければマリアが余計に怒りそうな気がするし……仲直りしたいのに。
「そこからはその観察日記を直接見たいわ。どこにあるの?」
「ロック家の僕の部屋ですね。誰かに見られたら僕の神経が疑われそうなんで、鍵付きの机の引き出しに………」
「十分神経は疑ってるわ。だから心配には及びません」
「え?それって……」
どういう意味?そう続けようとしたが、すぐマリアに言葉を遮られた。
「お母様、その観察日記を回収しましょう」
「ええ、そうね。それを読んだ方が早そうだわ」
「え、あの」
「ああ、そうだわ。ステイ。人を脅すのって罪なの。キスもお金で釣ってしたんですってね。浮気相手を探る中で、出てきた罪は加算されますから、とりあえず、この家は………今日が終わるまでには出ていってくださいね」
「そんな!明日は仕事もあるのにそんなすぐに………」
今日も仕事帰り。いつもならもう休んでいる時間なのにそれさえもできず、今日中に荷物をまとめて出ていけと、マリアは言う。
こんなにも冷たいマリアは知らない。いつもの優しいマリアはどこへ行ったんだろうか?
それともこれは嫉妬した君の僕への愛の試練?
それにしては住む家を奪うなんて………
「酷いよ、マリア……」
そう呟くもマリアの耳には入らなかったのか、マリアには無視をされて僕の前からは先程までいた人たちみんな去っていった。
『今の生活は貴族のせいよ。傲慢な貴族によって貴方は今不幸になっているの。そう言って、キャロエという平民に、まずは貴族に対しての不信感を植え付けた。だって、復讐相手はいくらいても楽しいと思うから』
ミリーナ様とやらがいう復讐相手はキャロエによって殺される運命と定めた人だと僕は解釈した。あの幼い字で書かれた人の死に興奮したような文字からして、その性格が落ち着いたようには見えないから。
落ち着いていたならそもそも……復讐劇なんてことを思い付かないだろう。
「待って」
ここまで口に出して話していたわけだが、マリアによって止められる。何か気になる点でもあっただろうか?
「なら、キャロエ様はハワード様と出会う前からミリーナ様と接点があったということ?」
「まあ、洗脳を効きやすくするには会わないといけないみたいに書いてあったし……人気のないところで会ったりしていたんじゃ?」
「………」
的を射ていたのか、ミリーナ様とやらの視線が先ほどから痛い。まあ、話を止める気はないが……。でなければマリアが余計に怒りそうな気がするし……仲直りしたいのに。
「そこからはその観察日記を直接見たいわ。どこにあるの?」
「ロック家の僕の部屋ですね。誰かに見られたら僕の神経が疑われそうなんで、鍵付きの机の引き出しに………」
「十分神経は疑ってるわ。だから心配には及びません」
「え?それって……」
どういう意味?そう続けようとしたが、すぐマリアに言葉を遮られた。
「お母様、その観察日記を回収しましょう」
「ええ、そうね。それを読んだ方が早そうだわ」
「え、あの」
「ああ、そうだわ。ステイ。人を脅すのって罪なの。キスもお金で釣ってしたんですってね。浮気相手を探る中で、出てきた罪は加算されますから、とりあえず、この家は………今日が終わるまでには出ていってくださいね」
「そんな!明日は仕事もあるのにそんなすぐに………」
今日も仕事帰り。いつもならもう休んでいる時間なのにそれさえもできず、今日中に荷物をまとめて出ていけと、マリアは言う。
こんなにも冷たいマリアは知らない。いつもの優しいマリアはどこへ行ったんだろうか?
それともこれは嫉妬した君の僕への愛の試練?
それにしては住む家を奪うなんて………
「酷いよ、マリア……」
そう呟くもマリアの耳には入らなかったのか、マリアには無視をされて僕の前からは先程までいた人たちみんな去っていった。
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