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わざわざ卒業パーティー真っ只中で人の注目を集めた場所で言うあたり、私を悪役にして真っ当な婚約破棄だと周囲に思わせたいのが丸見えだ。簡単に悪役にされてはあげないけれど?

「……承知致しましたわ」

まるで躊躇いもないが、私は俯き言葉を溜めるようにして返事をする。ここで終わればそれはそれでもいいが、私を悪役にしたい婚約者様はそうはいかないだろう。

「随分あっさりだな」

「カーネダー様は優秀なお方ですからすでに婚約破棄の書類をお書きになられていると思いましたので……それに侯爵家に逆らうなどできるはずもありません」

「ほう?それくらいの頭はあったのか」

まあ婚約破棄万歳な私からしたら逆らう理由もないんだけどとは口には出さない。

「それに元々一方的な婚約破棄は可能という条件でしたので……どうしようもありません」

「ああ、そうだな。既に処理済みだ。お金があれば私が婚約破棄することはないと奢った結果だ。私は私に近づく女性に敵意を向けいじめる女を娶る気などない。お金も契約通り返してやる。残念ながら愛は金では買えないんだ」

ああ、自分に酔ってるのがわかる。私が口車に乗せられた結果だとまるで私が悪いみたいな言い方で。

早くに侯爵家当主となってお金も安定して来たからと自分に酔いすぎだ。それ故に余計私をバカにしすぎて肝心なところが抜けてる男だなと思う。

「ええ、愛は要らないのでお金はいただかないと。不貞の慰謝料に、婚約破棄による契約違反により、今までの支援金の利息を倍にした返金と前当主に貸していたお金の倍額の返金を」

「はは、何を言うかと思えば。不貞とは何のことだ?それに支援に関しては利息なしの契約をしたから支援金はの額で返すのが決まりだろう?それに父に貸していたお金などの話を聞いた覚えはない。大した額じゃないのだろうに随分とお金にがめついようだ」

お金があるからと余裕そうだけど、そのお金がなくなっても足りない額、私の家が支援する前以上に貧困となる未来をこのバカはまだ想像すらしていないのだろう。本当私バカな演技がうまかったようだわ。

「カーネダー様こそ契約をしっかり把握されておられなかったのですね。書いてありませんでした?婚約破棄した場合支援の利息は過去を遡り発生し、倍となると」

「そんなでたらめ……」

「と言われると思いましてこちらに書類の写しがございます。ほらここに」

「ちっさ!!!!」

この時のために用意していた書類で指を差すとおバカさんはすかさずツッコむ。ちょっと詐欺っぽい手口だったけれど書いてあるのは事実だし、この世界の法律にこの書き方はダメなんてこともないので契約は履行されなければならない。

「おほほ、ですが肉眼では見れますでしょう??それと前侯爵当主に貸した額は支援金以上でしてよ。こちらが借用書ですわ」

こんな場でするものではないけれど、婚約破棄という不名誉を周囲のある場でされたのだから、私もしっかり元婚約者様に借金という不名誉を与えないと。侯爵家の存続が危ういほどのね?

「は……?何故父がこんな額……」

「さあ?毎回次こそ勝って返すと言われておりましたが」

「ギャンブルか!!」

あらあらどうやら前侯爵当主はお伝えできなかったみたいね。まあお金の運用を自分に代わって頑張ってきた息子に言えるはずもない。婚約破棄さえしなければ返すのはいつでもいいと言っていたせいもあるだろうけれど。まあ知っていましたけど?

「こんな周囲に人のいる場所で婚約破棄などされて私の価値を下げたんですから端数すらまけてあげたりなんか致しませんからね?私お金にがめついので。ああ、お返しは待ちますが利息はつき続けますので早く返すことをおすすめしますわ」

「あ………こ、これは君への愛を確かめていたんだ!!!」

「はあ?」

真っ青な顔で何を言い出すかと思えば金で愛は買えないなどほざいてたバカが何を言っているのやら。貴方の愛なんてかけらもいらないけどねえ?

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