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唐突だが私はお金が好きだ。お金よりも愛が大事と言う人もいるがそれはお金があってこそ言えることだと私は思う。
さてそんなことを急に言い出した理由は私が前世していた乙女ゲームでいう脇役の成金の悪役令嬢という存在に転生したからだ。
脇役というもののサイドストーリーではメインのキャラではあったのだけど、まあ悪役令嬢に間違いはない。ヒロインを高笑いでいじめていたのだから。とは言ってもヒロインに味方する気もない。乙女ゲームとはわかっているものの、次々と婚約者のいる男を籠絡するのがヒロインだなんて十分な悪女じゃないかと別視点で楽しんではいたから。
まあそれはともかく、私はこの悪役令嬢は実に愚かだと転生前から思っていた。脇役といえど裕福でお金に困らない生まれだというのに不確実な愛を優先したがために悪役となり破滅の人生を辿ったのだから。
どこがよかったのかは知らないが、愛しの婚約者は別の人と結婚するような女に心を奪われて、お金に余裕もできたからと婚約破棄された挙句に、破棄に伴い婚約者の家に支援していたお金は戻ったものの、戻っただけで利息はなし。悪役令嬢の愛故に利息なしの支援にしたことが破棄のしやすさの仇となった。
さらにお金に余裕ができたことで元婚約者も領地での運営以外のお金を増やすため、事業を始めたのだが、それは悪役令嬢の家の事業を真似たもので地位としても生粋の貴族としても上な元婚約者相手に成金一家は抵抗するようにアイデアを出すものの、悪役令嬢によって事業について知り尽くしていた元婚約者に敵うはずもなく一気に貧乏へと転落。そして最後には一家心中とあまりな結末。
愛故に婚約者に何もかも有利な条件、さらには対価もなしに命綱でもある事業の情報を開示するなんてバカにもほどがある。けど、その未来もわかっていて愛よりも金な私はそれを利用することにした。
私に婚約者とやらに恨みはないが、私が惚れずとも婚約は決まっていたようだから。
婚約者の家は侯爵家という地位だけが立派で、その当時の当主の下手な運営と詐欺により領民も合わせて貧困になったらしく必要になった支援に手をあげたのが、成金で爵位を得たばかりで貴族との繋がりを作りたかった今の私の父だった。
それが侯爵家の息子との結婚を条件にした支援というわけだ。ただそれだけだったなら契約時に支援の利息はあったのであっさり婚約破棄される可能性も減っただろう。しかしこの後本来なら悪役令嬢が婚約者に惚れていき婚約者に言葉巧みに騙され、娘に甘い父が契約の変更で利息なしとなるのだ。
正直バカじゃないのかと思った。それはそれとして、どうも婚約者は侯爵家当主と違い多少賢いようで、幼い頃から私を惚れさせようとする様子を見せてきたので、惚れたかのように見せかけ、前世の記憶が幼い頃からある私は、婚約者を後々利用するため娘に激甘な父を使って裏で動いた。
そうして日々は過ぎていき、あまりにも予定通りにヒロインとやらが現れてからヒロインと婚約者が一緒にいる様子が増えていくのを見て私は笑いが止まらなかった。
本当に悪女には感謝しかない。
「君とは婚約を破棄する」
そしてついに待ち望んだ運命の日が来たのだ。
婚約者がお金になる日が。
さてそんなことを急に言い出した理由は私が前世していた乙女ゲームでいう脇役の成金の悪役令嬢という存在に転生したからだ。
脇役というもののサイドストーリーではメインのキャラではあったのだけど、まあ悪役令嬢に間違いはない。ヒロインを高笑いでいじめていたのだから。とは言ってもヒロインに味方する気もない。乙女ゲームとはわかっているものの、次々と婚約者のいる男を籠絡するのがヒロインだなんて十分な悪女じゃないかと別視点で楽しんではいたから。
まあそれはともかく、私はこの悪役令嬢は実に愚かだと転生前から思っていた。脇役といえど裕福でお金に困らない生まれだというのに不確実な愛を優先したがために悪役となり破滅の人生を辿ったのだから。
どこがよかったのかは知らないが、愛しの婚約者は別の人と結婚するような女に心を奪われて、お金に余裕もできたからと婚約破棄された挙句に、破棄に伴い婚約者の家に支援していたお金は戻ったものの、戻っただけで利息はなし。悪役令嬢の愛故に利息なしの支援にしたことが破棄のしやすさの仇となった。
さらにお金に余裕ができたことで元婚約者も領地での運営以外のお金を増やすため、事業を始めたのだが、それは悪役令嬢の家の事業を真似たもので地位としても生粋の貴族としても上な元婚約者相手に成金一家は抵抗するようにアイデアを出すものの、悪役令嬢によって事業について知り尽くしていた元婚約者に敵うはずもなく一気に貧乏へと転落。そして最後には一家心中とあまりな結末。
愛故に婚約者に何もかも有利な条件、さらには対価もなしに命綱でもある事業の情報を開示するなんてバカにもほどがある。けど、その未来もわかっていて愛よりも金な私はそれを利用することにした。
私に婚約者とやらに恨みはないが、私が惚れずとも婚約は決まっていたようだから。
婚約者の家は侯爵家という地位だけが立派で、その当時の当主の下手な運営と詐欺により領民も合わせて貧困になったらしく必要になった支援に手をあげたのが、成金で爵位を得たばかりで貴族との繋がりを作りたかった今の私の父だった。
それが侯爵家の息子との結婚を条件にした支援というわけだ。ただそれだけだったなら契約時に支援の利息はあったのであっさり婚約破棄される可能性も減っただろう。しかしこの後本来なら悪役令嬢が婚約者に惚れていき婚約者に言葉巧みに騙され、娘に甘い父が契約の変更で利息なしとなるのだ。
正直バカじゃないのかと思った。それはそれとして、どうも婚約者は侯爵家当主と違い多少賢いようで、幼い頃から私を惚れさせようとする様子を見せてきたので、惚れたかのように見せかけ、前世の記憶が幼い頃からある私は、婚約者を後々利用するため娘に激甘な父を使って裏で動いた。
そうして日々は過ぎていき、あまりにも予定通りにヒロインとやらが現れてからヒロインと婚約者が一緒にいる様子が増えていくのを見て私は笑いが止まらなかった。
本当に悪女には感謝しかない。
「君とは婚約を破棄する」
そしてついに待ち望んだ運命の日が来たのだ。
婚約者がお金になる日が。
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