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ただの疑問
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「陛下そろそろ……」
そう陛下と僕たちの会話に口を挟んだのは宰相であるオルク・ドナン公爵。区切り時を見極めていたんだろう。そのドナン公爵の言葉に陛下の機嫌が損なわれることはない。
「それもそうだな。昨日エンドが王家の一員になったことでループ公爵家がどういう行動に出るか探るために密偵を放ったのだが、公爵家の当主が不穏なことを実行しようとしていてな」
「不穏なことですか……?」
元はというより昨日までは確かに父だった人がどうなろうと正直何も感じないが、気にならないわけではないだけに陛下の言葉が気にかかる。
「王家に反逆するつもりのようだ」
「反逆……!?」
さすがの行為に驚きが隠せない。いくら僕にとって冷たい父とはいえ、父は僕以外の家族には優しい姿を何度も見ているし、僕を蔑んできた使用人たちも母が生きていた頃は使用人にも優しかったと聞いている。
父は僕を嫌ってはいるが、愚か者ではない。そう考えているからこそ何故そんなことをと思わずにはいられなかった。愚か者だったとしても王家に逆らうなんて普通の貴族じゃ考えない。なんなら高位貴族は特に。
「まあ、エンドには酷かもしれぬが実際はあやつの考えが結果的にそうなるとも言えるだけだ」
「どういう意味ですか?」
「父上、まさかですがループ公爵はエンド様に何かしようと?」
「……そうだ」
陛下に意味を問おうとして勘づいた様子のナイトが口を出せばこくりと陛下が頷いて肯定する。それはつまり元父にとって僕が王家に加入することが王家の反逆行為に該当しても構わないくらいに許せないということ。
「母のことで恨まれているとは思っていましたが、そこまで………」
「エンド様……」
恨まれていても生活を保障してもらってきただけにそこまで恨みが深いとは思わなかったし、受け入れているつもりだった。だけど改めてその深さを知れば、それなら何故今まで冷たくするだけだったのだろうか?なんてことを思う。
ただ生まれただけで罪と言うならば、恨み辛みを言えばいいのに何故今になって王家に逆らう形でそれを実行しようとするのか、僕には理解できない。
「ちなみに内容は?」
「暗殺だろう。段取り的による密偵の推測だが」
「そう、ですか」
本当何故今になって。殺すほどに憎んでいたなら生まれたその日にお腹の中で亡くなっていたとでも言って理由をでっちあげて、最初からいなかった存在にでもしておけばよかったのに。そんなことを思う。
別に父を庇いたいわけじゃないけど、何故今なんだろうと疑問だけが尽きない。ナイトと陛下の同情するような眼差しを受けながら僕はそんなことを考えていた。
そう陛下と僕たちの会話に口を挟んだのは宰相であるオルク・ドナン公爵。区切り時を見極めていたんだろう。そのドナン公爵の言葉に陛下の機嫌が損なわれることはない。
「それもそうだな。昨日エンドが王家の一員になったことでループ公爵家がどういう行動に出るか探るために密偵を放ったのだが、公爵家の当主が不穏なことを実行しようとしていてな」
「不穏なことですか……?」
元はというより昨日までは確かに父だった人がどうなろうと正直何も感じないが、気にならないわけではないだけに陛下の言葉が気にかかる。
「王家に反逆するつもりのようだ」
「反逆……!?」
さすがの行為に驚きが隠せない。いくら僕にとって冷たい父とはいえ、父は僕以外の家族には優しい姿を何度も見ているし、僕を蔑んできた使用人たちも母が生きていた頃は使用人にも優しかったと聞いている。
父は僕を嫌ってはいるが、愚か者ではない。そう考えているからこそ何故そんなことをと思わずにはいられなかった。愚か者だったとしても王家に逆らうなんて普通の貴族じゃ考えない。なんなら高位貴族は特に。
「まあ、エンドには酷かもしれぬが実際はあやつの考えが結果的にそうなるとも言えるだけだ」
「どういう意味ですか?」
「父上、まさかですがループ公爵はエンド様に何かしようと?」
「……そうだ」
陛下に意味を問おうとして勘づいた様子のナイトが口を出せばこくりと陛下が頷いて肯定する。それはつまり元父にとって僕が王家に加入することが王家の反逆行為に該当しても構わないくらいに許せないということ。
「母のことで恨まれているとは思っていましたが、そこまで………」
「エンド様……」
恨まれていても生活を保障してもらってきただけにそこまで恨みが深いとは思わなかったし、受け入れているつもりだった。だけど改めてその深さを知れば、それなら何故今まで冷たくするだけだったのだろうか?なんてことを思う。
ただ生まれただけで罪と言うならば、恨み辛みを言えばいいのに何故今になって王家に逆らう形でそれを実行しようとするのか、僕には理解できない。
「ちなみに内容は?」
「暗殺だろう。段取り的による密偵の推測だが」
「そう、ですか」
本当何故今になって。殺すほどに憎んでいたなら生まれたその日にお腹の中で亡くなっていたとでも言って理由をでっちあげて、最初からいなかった存在にでもしておけばよかったのに。そんなことを思う。
別に父を庇いたいわけじゃないけど、何故今なんだろうと疑問だけが尽きない。ナイトと陛下の同情するような眼差しを受けながら僕はそんなことを考えていた。
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